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第86話 パラセッツの街2

取り合えずその日は既にお昼を過ぎていたので、ギルドの用意した宿舎へと向かった。


明日は朝から市場に向かう事にするので、取り敢えずポーションについて確認しておこう。


まず、ポーションの種類についてなのだが、この世界のポーションには怪我用とか毒用、それに体力や魔力を回復する物や前世の薬のようなものも有る。

それとは別に回復系統の魔法も存在していて、そちらにも怪我を直すだけでなく病気や毒に対しての魔法も有る。

簡単に言ってしまうならば安いポーションの効果は、魔法で出来る事を薬で代用する位の物で、そこまでの需要があるわけではない。


もちろん個別の症状に対応したポーションも有るし、逆に魔法でしか直せない病気とかも有るため、一概に同じとは言えないけどまぁだいたい同じようなものだ。


俺が売るのは低級ポーションを中心に安いのを集めている。

理由としては作るのが簡単だし量が作れるからだし、それに誰でも回復系統の魔法が使えるわけでは無いからそれなりに需要があるのだ。

当然医療関係の場所もあるには有るが、街に戻らないと直せないのと持ち歩けるのとで棲み分けは出来ている。


エスト王国では安いポーションをまとめて作って販売しているし、値段を決めて値崩れしないようにしているからとても売りやすいのだ。

それに俺はこのエスト王国のポーションの売り方からヒントを得て、安く大量に売る方法を考えてきたから大丈夫なはずだ。

屋敷から持ってきた物は既に部屋に運んでもらっているし、今日は明日に備えてゆっくり休むとするか。




翌日、総合ギルドで買った荷車に荷物を載せて市場に向かう。


市場の受付で昨日聞いたように1000Eを払い、手続きを済ませて俺の指定された場所に向かおうとすると、


「おい姉ちゃん。お前錬金術師なんだろう?だったら商人連合に参加したほうが儲けられるぞ」


なんて受付のやつが話しかけてくる。

総合ギルドの職員のはずなのに商人連合の方を進めるとは…


「私は流しの錬金術師なので、いつまでこの街にいるかはわかりませんから」


なんてちょっと可愛く言いつつ(可愛いとは言ってない)さっさと離れる。


ちょっと離れた所にある俺の指定場所に着いたので、


「おはようございます。今日からこちらで薬を売ります。よろしくお願いしますね」


と、周りに挨拶をしていく。

右隣はおばちゃんが野菜を売っていて、左隣は穀物を並べたおっちゃんだった。

まぁ競合する相手ではないから仲良くやれればそれで良いだろう。


荷車から折りたたみのテーブルを取り出して商品を並べて開店準備をしていくと、


「おい姉ちゃん。これはなんて書いてあるんだ?」


結構ゴツい虎?獣人のおっさんが、俺が書いた商品説明の紙を指差し話しかけてきた。


「はい。これは低級ポーション1本500Eと書いてあります」


その後もこれは?これは?と度々聞かれて準備がしにくいが、エスト王国ではまだ識字率が低くだいたい30%位だろうか?なので読めない人も多いから仕方ない。

それに、こうして話す機会があれば情報収集もしやすいというもの。

だから細かく教えていくのだが、周りの状況がなにか変だ。


「あの、どうかしましたか?」


取り敢えず一番近くにいる話しかけてきた虎?獣人のおっちゃんに聞くと、


「あーなんだ、こういう事は俺が言うのはなんとも言いづらいのだが、この辺じゃ俺達のような獣人にはあんまり親切にはしないもんだ。それにこれは定価の値段だろう?それもここらじゃあんまりしないことだ。大体定価の倍が相場だな」


おおっと。

いきなり犯罪の臭いがしてきたぞ。

国が値段決めてるのに倍で売るとか正気の沙汰じゃない。

それに種族差別とかエスト王国では法律で禁止されているんだが。

まぁ今はまだその辺詳しく調べないほうが良いから、


「そうなんですか?私、昨日この街についたばかりなのでわかりません」


と軽く首を傾げながら笑顔で答えておいた。

虎のおっちゃんはこっちを見ながら『ふっ』とか言って、紙を指差すのに戻った。


「はい。それは空きビンを持ってきた方は100Eお支払いしますと書いてます」

「は?空きビンを買い取ってくれるのか?あんなもんそこらに捨ててきちまうぜ」


そう、エスト王国と言うかこの世界では、ビンを回収する。いわゆるリサイクルがされておらず、ビンはそこらに捨てられてしまうのだ。

前世と違ってしばらくすると地面に溶け込むから、環境破壊にはならないのだが。資源がもったいないと、俺はビンの回収をすることにしたのだ。

ビンがなぜ地面に溶け込むのかは実は全くわかっていない。

おそらくビンを作る時に錬金術を使う関係で、ある程度地面に放置すると魔力が抜けて元の形に戻るのだろうが、あんまり気にしてもしょうがないから詳しくは調べていない。


「今度から割れなかったのは持って帰ってくるかな?で、こっちはなんて書いてあるんだ?」

「はい。専用のビンではなく容器であれば何でも構いませんが、低級ポーションの量り売りも行っております。こちらはビンを売らない分少しお安くなっていまして、一本100mlの低級ポーションをビン詰の場合は500Eなのですが、こちらですと100mlで300Eになりますね」

「はぁ?姉ちゃん、ポーションは安く売ったりしちゃいけねえんだぞ?」


そう。低級ポーションは国が値段を決めているので、高くするのはもちろん安くするのも禁止されている。

ところがここに抜け道が存在していて、ポーションの値段の基準は100mlで300Eで、ビン代が200Eと細かく決められているため、ビンを売らないのであればその分安く出来るのだ。

まぁ、ビンは200Eっていうのはポーションの所に書いてあるわけではなく、全体の値段表の所に100mlビンは200Eって基準が書いてあるのだが、ポーションの値段とビンの値段を考えればこんな売り方も有るわけだ。

実際医療関係者がまとめて買う場合は1lで3000Eで買うのだから間違いない。

その場合専用のビンが別売りされて1000Eだったりするのだ。

まぁ1lビンを持ち歩いたら割れる可能性が大きいから、普通はそれで売らないってだけの話だ。

ただしデメリットも存在する。


「ポーションの値段は100mlのビン入で500Eと決まっていまして、個別で売るのなら300Eで問題ないんですよ。でもちゃんとしたビンに入れないと保存性が下がりますので、容器によりますが2〜3日経つと効果が無くなってしまうので、すぐ使う人向けの物ですね」


そう。ポーションには魔力を染み込ませてあるので、専用の容器以外では魔力が抜けていってしまうのだ。

だから元の効果が発揮されるのは1日だけになってしまう。


「なるほどな。だとしたら怪我してもそこまで問題じゃなければ、ここまで来てすぐ飲んでしまえば良いんだな」

「はい。そうなりますね」


結局虎のおっちゃんは、ビンの低級ポーションを3本買って帰っていった。

この話が広まってくれれば帰りに一杯低級ポーションとかにならんかなと、5l入る樽に低級ポーションを入れてきたのだ。


さて、虎のおっちゃんに時間を取られたけど、今日はまだまだ時間が有るから頑張って売っていこう。


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