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第82話 学院2年目3

歴史の話には興味を持たない!


そう決めた翌日またしても授業の間が空いてしまったため、レレとハンナと共に図書室へと向かった。

まぁ今回は歴史の方に近づかなければ大丈夫と思い、結構広い図書室の中を散策していたら、


「君がティ生徒かね?私はエスト王国史を担当しているラシャリダと言う者だ。君が歴史に興味があると聞いてね良い話を持ってきたのだよ。あぁ大丈夫私は気にしないよ。君にはこれを渡しておこう。何気にする事はない今度会う時に感想を聞かせてくれたまえ。歴史は良いものだ!あれは嘘はつかないからなぁ!」


メガネに痩せた体に白衣を着ている年配の教師に、黒表紙の本を渡されてしまった。

正直最初から返事も出来ないでいた位、勝手に話して勝手に本を渡して去っていってしまった。


ラシャリダ先生のことは聞いたことが有る。

何でも歴史の編纂に命をかけていると言われている人で、正確に確実に編纂するのが正しいと主張しすぎて、歴史の編纂をしている貴族家から追い出されたところを、今の学院長が歴史の教師として迎え入れたとか?

教育熱心でとても親身に生徒に教えると噂だが、その反面とにかく正確に歴史を教えようとするあまり、かなり行き過ぎた教育を行う事でも有名で、一部教師からも嫌われているとか?


うーん。

そんな先生が渡してきたこの黒表紙の本は、ものすごくマズイ気がするのだが…


「ティ。そんな所で固まってどうしたの?そろそろ次の授業の時間だよ?」


おっともうそんな時間だったか。

レレとハンナが俺を迎えに来てくれたらしい。

今は取り敢えず移動するとしようかな?


しかしこの本。

絶対マズイ本なのは間違いないだろう。

なにせラシャリダ先生は『君が歴史に興味があると聞いてね』と言ったのだ。

一体誰からという事もあるが昨日のボーダー伯爵令嬢の事を考えれば、間違いなくタブーとなっている部分の歴史を調べようとしたことを言っているのであろう。

ラシャリダ先生自身もエスト王国史の教師だと名乗っていた位だし、何より俺の知る限りラシャリダ先生は歴史の教師では有るものの、エスト王国史の教師ではないのだから。


この本持っているだけで罪になったりしないのだろうか?

かと言って捨てられるのか?

まぁあれだ。

ここは黙ってこの本を読んでしまおうと思う。

多分俺は既にマークされているのだろうし、今更この本を読んだ所で変わらないだろう。

それよりも、ラシャリダ先生はこの本を持って歩くことが出来たという事実が証明している。

エスト王国史を調べたり探したりするのは問題でも、その件について話たりすること自体は問題にならないのだと思う。

昨日ボーダー伯爵令嬢が止められたのも、国王の話をしようとしたからだ。

そう自分に言い聞かせてカバンの中にその本をしまった。


ちなみにこの件についてレレとハンナには一切言っていない。

もしかしたら聞いたらすぐに解決するかもしれないけど、変に巻き込むことを避けたかったからだ。




その後普通に授業に出た後グロス達に手紙を出して寮の部屋に帰ってきた。

まぁ普通に過ごしていたとも言うな。


部屋に帰ってカバンを下ろした時にふと思い出して、黒表紙の本を取り出して読むことにしたのだが、俺の予想とは全く違う内容が書かれていた。


だがこれは本当にマズイ本なのかもしれない。

書いてある内容を簡単に説明すると、現国王の行った政策がまとめられた本だった。

恐らくだがこの本は歴史編纂の資料として書かれていた物で、現国王が退位した後に編纂して本にする時に使うのだろうが、そういう見方をしなければただの日記帳にも見えなくはない。


そして読み進めて行くとなんで100年前以前の歴史が隠されているかもわかった。


凄く入り組んでいて面倒な話なので簡単に説明すると、


先先代の王であるアドレイト王は今の歴史では、沢山の人を処刑してその当時の秩序を破壊した事になっているが、実際にはアドレイト王のずっと前から続く、貴族派の専横を止めるべく立ち上がった王だったようだ。

細かい部分はこれには書かれていないものの、現国王は貴族派に弱みを握られていたらしく、歴史を書き換えて自分の祖父を悪者にしたようだ。


読み進めていると大体の事情もわかってきた。


どうやら現国王はやらかした張本人だったようだ。


青年までは聡明で優しい王太子として将来を期待されていたのだが、学院に入学した時に現王政派でこの頃の貴族派の伯爵令嬢と恋に落ちたそうだ。

それでプロムナードの時に婚約破棄をしてその伯爵令嬢と結婚に至るわけだが、その際のドタバタのせいで貴族派と王政派が入れ替わっていたり、あまりの所業に当時の王政派で今の貴族派から抜けたのが、今の中立派だったってことかな?


ちなみにその当時婚約破棄されたのが当時の王政派の侯爵家の令嬢で、今回取り潰された侯爵家の中にその名前があったと記憶している。


つまり何だ。

最近起こったことの本当の理由の全ては、現国王のせいだということか。


なるほどね。

だから第2王子が婚約破棄騒動を引き起こした時も、強く出れなかったのを今更納得したよ。


青年の時の聡明で優しいって評価は、蓋を開けてみたら判断力に乏しい無能だったてことか。


おそらくはラシャリダ先生は現国王のしたことを後世に残す気なのだろうし、今は隠されている先先代の歴史についても現国王が退位したら、もう一度戻して貰うようにしているのだろう。




それからしばらくしてラシャリダ先生にあったので、黒表紙の本を返しながら『先生が努力が実を結ぶ事をお祈りします』と応援しておいたのだが、


「ティさん。歴史には手を出さないと言ってくれたと思っていたのですが?どうしてお祖父様を応援なされたのですか?」


なんてボーダー伯爵令嬢から詰め寄られてしまった。

なるほど、追い出した貴族家はボーダー伯爵家だったのか。

知らなかったとは言えちょっとヤバイかなと思ったら、


「お祖父様の言いたいことは一族として分かるのですが、せめてもう暫くは我慢していただかないといけません。なので今後はこのような事はなさらないで下さいね」


と、なんとなく許されたのだった。


まぁマークはされているのだろうけど…


今回は結構危ない橋を渡ってしまったが、これを知らないままだと今後の判断を間違うかもしれないし、まぁ良かったとは思って居る。


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