第80話 学院2年目1
レレ「ぴんぽんぱんぽーん」
レレ「今回のお話には多分に同人誌の話が含まれます。読まれます方はご注意下さい」
レレ「ぴんぽんぱんぽーん」
「ティー久しぶりー。心配していたんだよ。結構大変だったんだって?」
「ティ。居ない間のノート見る?それともお茶にする?あ、もしかして私?」
レレとハンナは俺が教室に入るととても喜んでくれた。
なんかハンナの様子は少しおかしいが?
「第1王子に乗り換えたらしい」「ゴブ狩り」「スタン家もおしまいか」「レックス男爵だって」「ナメクジ大好き」「っち女は良いよな」「グチャドロ令嬢」「おねぇさま」
相変わらず俺の噂が泳ぎ回っているらしく、なんだかよくわからないのも混ざって本当にカオスな状況だ。
だが一つだけ意味のわからないザワザワがあった。
「グチャドロ令嬢ってなんだろう?」
つい口に出してしまったのだが、なぜかハンナの顔が青くなっている。
レレも何か『あちゃー』みたいな感じに額に手を当て上を見ている。
つまりこの状況で分かるのはハンナがなにか知っているってことだな。
「ハンナ?ねぇ教えて欲しいのだけど?グチャドロ令嬢ってなに?」
「あ、あ、あ、のねち、違うの。本当だよ!」
「ハンナ落ち着いてそれじゃぁまるっきりハンナのせいみたいだよ!」
俺とレレでなだめながら事情をなんとか聞き出すことが出来た。
ちなみにどういう事情かはわからなかったけど、途中で移動とかしたら余計な噂が増えるからクラスでそのまま話したので、俺の中で色々と翻訳しながら聞いたのだが簡単に説明するとこうだ。
王女の腐界サロンに通っていた2人は、ある時違うジャンルが有ることを知ったらしい。
まずサロンってのはお茶会を定期開催するみたいな物と言ったけど、王女のサロン等の本当に参加者を固定している物の中には、前世で言うサークルみたいな物になっているのもあって、つまり同好の士が集まって薄い本だとか何かを作っていたりする。
ちなみに前世のサロンの様に文化・学問・芸術等のパトロンみたいな所もあるらしい。
それで王女の話に戻るのだが王女は非常に多趣味だったらしく、腐界以外にも似たようなサロンをいくつも持っていて、その中にナマモノを扱うところもあったそうだ。
まぁ何だ一気に要約してしまうとつまり俺のナマモノを、ハンナが生み出してしまったらしい。
ちなみにレレは挿絵で協力したとか…
ナマモノそれは実際にいる人物を使っての2次創作と言えば良いのだろうか?
それでもハンナは俺の名前を出していなかったし、俺の生い立ちだとかやって来たことを、一部脚色して書いていただけで、表紙にも『この話は想像されたものであり、実際の人物・団体とは関係ありません』って書いて、俺じゃないよって言っていたそうだ。
そのナマモノサロンではそういった実名を伏せて書かれるものが多く、周りもそこはわかっていたので特に問題にはならなかった。
それとは全く別に王女の他のサロンで作られている薄い本があった。
その題名が『グチャドロ令嬢今日もイク!』と言う、とてもいかがわしい内容の薄い本だ。
別にここまでは各々のサロンを出るわけでもなく、決して交わるような物でもないので、誰もその後に何が起こるかなんて考えてもいなかった。
ハンナは本当に文才があって俺の半生なんて物を題材に、とても面白い読み物に作り変えてしまったそうで、本来サロンの中だけで読まれていくはずのその本が、何処をどう間違ったのかサロンの外に出てしまった。
気づいた時にはサロンの外でも人気になっていたその本は、沢山の人に続刊が期待されるまでになったそうだ。
ハンナはこれ以上この本が有名になることを恐れ、続きの話を書くのを止めたそうだが、既に作者が辞めた所で止まる物ではなかったらしい。
悪質な改変や虚偽の事実が混ぜられた偽物が作られ、事態は思わぬ方向へと動き出していった。
この時は丁度スタン子爵家が困窮していた時だったため、おそらくは貴族派の妨害工作の一環だったのだろう。
だけどその偽物を見てしまったハンナは、このままではいけないと思い直し、もう一度続編を書き始めたそうだ。
そう『逆風令嬢今日も頑張る!』と言う題名の薄い本を。
そしてそれが起こった。
この時書かれた続編の内容は、俺が兵士を増やして警備範囲が増えてしまった時の話で、世間に嫌われ追い詰められていたナメクジ荷馬車を集めて、輸送部隊を作った話だったのだ。
そして時を同じくして王女の別のサロンでは、『グチャドロ令嬢今日もイク!』の続編、サブタイトル『ナメクジと戯れてみた!』が完成したそうだ。
『逆風令嬢今日も頑張る!』はまたもやというか、当然のようにサロンを飛び出し人気を集め、色々な所で読まれるようになっていた。
そして交わってはいけない物が交わってしまった。
ある時とある王女とは関係のないサロンに2つの新刊が持ち込まれた。
『逆風令嬢今日も頑張る!』と『グチャドロ令嬢今日もイク!』だ。
そして両方を読んだ人がこの2つを結びつけただけでなく、さらに俺までも結びつけてしまったのだ。
おそらくはこれも追い詰められていた貴族派の仕業だが、この話は地味にそして確実に広まっていった。
そして現在俺の噂の一つにその名前が付け加えられたと…
どういえばいいのかまったくわからない…
ティ・レックス男爵になった時も頭を抱えたのだが、これはもはやどう言って良いかすらわからない。
ハンナは全く悪くは無いと言いたい所だが、本人に確認をせずに俺を使って話を書いたのは不味かったと思うし、それに今回の事は俺に敵が多すぎたのも原因と言える。
「ハンナ…貴女は悪くないよ…多分…取り敢えず…その本は続きを書かないでね…」
俺にはそれ位しか言えなかった。
後日レレにお願いして両方の本を手に入れてもらったのだが、ハンナは本当に文才が有ると思う。
俺の話なのに普通に楽しめたし続編を希望する声が有るのも分かる。
でも続編を書いてとは俺からは言えない。
そしてもう一つの方は一回読んで見たのだが、リアリティーが全く無い本当に適当な本だった。
粘液は大人のナメクジは出さないし、子供のナメクジの粘液は結構な毒なんだが。
この本を見て真似でもしたら死人が出るぞと。
取り敢えずこの本は二度と日の目を見ないようにそっと箱の底にしまっておいた。
ハンナ「お久しぶりです。今回はティの代わりにこちらに来ました」
ハンナ「いつも誤字報告ありがとうございます。これからも頑張ります」
ハンナ「よろしくおねがいしますm(_ _)m」




