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第8話 子爵家4

8歳になった。


正式に貴族のアレコレや歴史等それに、魔法も教わることになった。


当主は最初から教育を受けさせる気は無かったようで、貴族なら本来もっと前に専門の教師を招いて、色々なことを教えていくものなのだが、その辺り全く手配していなかった。


俺も兵士たちもそ事に気付いていなかったのだが、お隣のお菓子をよくくれる元伯爵様と、お菓子の時間にこんな話しをしたことがきっかけだった。


「そう言えばティちゃんは、いつも体を鍛えているようだけど、お勉強は進んでいるのかしら?いえね、私がよく行くサロンで話題になっていたのよ。どこそこの子供は行儀作法がなっていないだとか言う話がね」

「特にはなにも学んでいませんね。私は街道警備のための体作りしか言われてないです」

「それは駄目よ。次期当主なら今のうちから学ばないと間に合わないし、サロンとかで全く話が出ない子供は、貴族社会から取り残されてしまうのよ」


なんて言われて焦ったのだが、俺に選択肢が有るわけでもないし、一応執事を通して子爵には伝えたのだが、返ってきたのは「必要なし」って言葉だけだった。


どうしたものか考えていたのだが、無邪気を装いつつ元伯爵様にそのまま伝えた所、一気に事態が動き学ぶことが出来るようになった。


まぁ簡単な話だったのだ。

子爵は俺を取り敢えずの跡取りとしか見ていないから、勉強させたり他の貴族と交流させる気は一切なかったのだが、それは上司であるエルダー伯爵の意思に背くことで、お隣の元伯爵様がエルダー伯爵に「貴方の所どうなって居るんですの?」みたいなことを言うだけで、エルダー伯爵の方からかなり怒られたらしい。


それに子爵は安易に考えていたみたいだが、こういった事をおろそかにするということは、貴族としてとても恥ずかしいことで、それは子爵家だけの問題に留まらず、上司であるエルダー伯爵の評判にも関わってくる問題で、当然黙っていられる問題ではなかったそうだ。


それでも子爵は金銭面と人脈を理由に、断ったりもしたのだが、お隣でありエルダー伯爵と同じ派閥の、ベラ・マーブル元伯爵が教えてくれることになった。


ベラ・マーブル元伯爵は50歳位の女性で、伯爵位を持っていたのも旦那さんではなく、本人の方だったりする。

前にも話したが、息子さんに伯爵位を継承してしまったし、旦那さんも流行病で他界してしまって、時々は相談事も持ち込まれるものの、ひましている時間も多く、サロンに顔を出すくらいしか用事がないため、俺とお茶の時間を作っていたのだが、状況を聞いてすぐさま教師役に名乗り出てくれた。


前にもちらっと言ったがこの世界では、基本的に女性の方が魔力が高く、男性の方が体力が高い傾向にあるため、女性差別はあまり無い。

もちろん個人差も有るから、この法則通りとは言えない場合もあるし、個人的な嗜好や私怨で、女性を低く考える人もいたりはする。

でも女性だから爵位が継げないとかはなく、ベラ・マーブル元伯爵のように、女性が当主になっている貴族家も多い。


こうしてマーブル先生による授業を受けることが出来るようになったのだが、スタン子爵家では現在、元とは言え伯爵様をもてなす時の様式を、詳しく知っている者がおらず、また、それ相応の品も持ち合わせていないので、俺がマーブル先生のお屋敷にお邪魔して、色々と教わることになった。


子爵家なのにおもてなしの仕方や道具がないのは、バルサー・スタン子爵が子爵位を継いだ時に、屋敷に居た使用人を全て解雇していて、代わりに雇った使用人は商人の子供等の、貴族のしきたりに詳しくない者ばかりなったためだ。

しかもこの商人の子供等は、バルサーが遊び歩いていた頃に、借金をしていた商人たちで、借金の返済の為に、それらの道具も持っていかれてしまったとのこと。


一応養父では有るのだが、本当にどうしようもないクズだ。


周囲の話を聞いた感じでは、それなりに優秀な父親と兄に嫉妬して、勉強も訓練もせずに色々と遊び歩いてみたり、家の派閥と敵対している派閥に近づいてみたり、借金をかさねてそれを家につけたり、本当にろくなことをしないクズのようだ。


最近は家にもあまりおらず、ほうぼう遊び歩いているみたいだが、一体その金はどこから出ているのか?最悪全てを俺になすりつけようとしていないか?もしもに備えてマーブル先生の授業では、法律関係も学ぶ必要がありそうだ。


ちなみにマーブル先生なのだが、もともと呼ぶときには、元伯爵様だとかマーブル夫人とかと呼んでいたが、教師役を引き受けてもらうにあたり、その辺の呼び方をどうしようかと聞いてみたら、今後はどんな時でもマーブル先生と呼ぶように言われた。ちょっとワクワクしたような顔をして言っていうるのだから、かわいいおばちゃんだ。


どんな時でもっていうのは、公式行事でもってことなのだろうが、それは許されるものなのだろうか?それも聞いておく必要があるかも知れない。


そうそう、特に言及してこないし、はっきりと聞かれたこともないので、微妙なところなのだが、おそらくはマーブル先生は、俺が本当は女なのを気付いているようだ。


礼儀作法とかの授業では、いちいち男性ならこう女性ならこうって、両方の説明をしてくれるし、何より魔法の授業の時に、


「生活魔法には色々なものがありますが、特に重要な魔法を教えます。これは、平民・貴族・王族問わず、使えることが前提で考えられていることが多いです。貴方も知っておいたほうが、もしもの時に役立つでしょう」


なんて言われて教わったのは体調整の魔法。


身体強化の派生のようなもので、自身のコンディションを整える働きがあり、毒や病気に対抗しやすくするために作られたものの、イマイチ使い勝手が悪く広まらなかったのだが、特殊な効果が確認されてから一気に広がったそうだ。


そして、特殊な効果とは避妊だ。

副作用として女性特有の症状が無くなったりもするそうで、普段から使っておくものだそうだが、まぁ男性でも使えないこともないのだが、これは多分わかっていっている気がする。


ちょっと恥ずかしくなって、顔が熱くなってしまったが、まぁ大丈夫だろう。


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