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第75話 ゴブリン大討伐5

前世の記憶がある身としては情報を開示して静観するのは悪手だと思ったのだが、こちらの世界ではそうでもなかったらしい。

そもそもこの軍を構成している人員にも差があると思うのだが、神光聖声教会に味方している人間はかなり限られているのだ。

思い出してほしいのはこの軍の編成で、山人10万・森人1万・獣人2万この13万が基本の人員で、後からこれに呼応した他種族と言うか貴族の人員が3万。

それがこの部隊の最も最初期に用意された人数なのだが、他種族3万のほぼ全てが第1王子と第1王女の集めた兵力であって、この後に合流した総合ギルドの戦闘要員3万に関しても、信頼の置ける人員で構成されていたのである。

つまり公称20万のうち16万については完全に問題がなく、残りの4万の内平原人で構成されている貴族系の部隊のみに注意すれば、軍は問題なく制御できてしまうのであった。


実際に王子の発言を公表してからは露骨に貴族派の配置換えが行われていて、今まで疑わしいからこそ前線に置けなかったのが今では、疑わしいからこそ前線に配置されることになったのだ。

今までは前線で非協力的な行動をされて全体の動きを阻害されるのを嫌っていたが、今ではその疑いを払拭したいのなら前線に行けと、他との連携を考えないで済む場所で捨て駒になっている。


それによって大きな変化が訪れた。


なんと今まで偵察や連絡係をそこまでしないだろうと任せていた貴族達から、森人達に変更した事で本当の状況が判明したのだ。


まず南東の街は落ちていなかった。


どういうことかと言うと、南東の領主達が街の人を見捨てて逃げた後、住民による抵抗で街が落ちずに保たれていたのを、南から来た部隊が援軍として参加して防衛戦を頑張っていたらしい。

南の部隊はかなり初めのうちに自分たちの行動がどこかに漏れているのを感じ、信用できる人員を選抜して独自の行動に出た所、南東の街がゴブリンに囲まれているのを見つけて、今まで防衛戦を戦っていたのだとか。

情報を得た山人はすかさず応援の部隊を組んで救援し、南東の街を囲んでいた数十万のゴブリンを殲滅することに成功した。

これにより南部の部隊が南を完全に掌握したことにより、半包囲の形を取ることが出来たため、一気に戦況が変化したのだった。


更にもっとも被害が大きかった東の部隊については、西南が完全に包囲体制を敷いている上に、今まで東の部隊を惑わせていた勢力の排除に成功して、ついに前線に戻ることが出来たのだった。



こうしてゴブリン討伐部隊が結成されてから実に5ヶ月を要して、ついに当初の予定の配置に各部隊が着くことになった。


現在では完全に周囲のゴブリンたちを殲滅を終えているし、この国の妨害工作も既に封じている。

今までこの国からもたらされていた地理や街の情勢などの情報は、殆どが時間稼ぎのための欺瞞情報ばかりで、事前に入手していた情報の違いから前線での混乱を招いていたのだ。

今ではその情報が虚偽であるとわかってしまったので、地道な情報収集と総合ギルドからの情報のみを信じて、作戦が立案・実行されるようになり、先に得ていた情報と現地の状況の混乱が解消されて、まさに流れるように全てが動いているのである。


こうなって来ると今までの情報が何だったのかわからなくなってしまうが、正直今でもおかしいと思うところはいくつも有る。


例えば神光聖声教会が勇者として第2王子を立てたこととか、今ならそうなのだろうと思う豪華な箱をゴブリンが持っていた理由だとか、豪華な箱がこちらの手に渡ったのに同じ暗号を使い続けたとか、本当に意味がわからないことも多々あるものの、もうすぐそれら全部が終わりになるのだ。


全部全部神光聖声教会の仕業として終わらせてしまえば、きっと全てがうまくいくのだろう。


とは言え実はまだ最後の難題が残っている。

戦線の活気とは裏腹に戦局はマズイ方向に傾き始めている


ゴブリン達は南東の街に数十万の兵力を割きつつ、それでも他の場所の戦線を維持していた。

これはつまり現在のゴブリンの総数が100万を優に超えている証拠で、妨害工作もあった物の今だに戦線を支えている現実を見ると、あと一歩何か戦況を覆す事が出来る何かがないと、このゴブリン討伐が終わらないことを示していたりもする。


正直今の現状は膠着と言ってよく、その最後の一手を指せる人はどこにも居ないのだ。

もう一度現状を説明するのならば、当初の予定戦力が戦場に到着していて、こちらの戦力は当初の予定の全てが揃ってしまった事になる。

それなのにゴブリン達の本隊とも言える奴らは、現在戦線を維持しているし維持できている。

もっと簡単に言うと今戦力は拮抗していて、向こうはこれから戦力は増えるばかりなのに、こちらは増える可能性がなく減るだけなのだ。


正直上層部やこの状況に気づいている者達は、全員その事を話さなくなっているし、部下達にはここから押し込んでいけばなんとかなると言っている。


要するに神光聖声教会の策略によりこの膠着が作られてしまったのだ。


今更後には退けない。


今から前には進めない。


グロス達にも説明はしていないがこの状況は本当にヤバイ。


正直前世から今まで生きてきた中で初めて、心の中から全てで神に祈っている。


どうにかしてくれと。


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