表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/93

第74話 ゴブリン大討伐4

「えーと殿下?このような所までどのような用事で来られたのでしょうか?」

「うむ。俺様はこの世界を救うためにゴブリン討伐に来たのだ」

「なるほどそうでしたか」

「ええぃ!さっさとそこを明け渡せと言っている!」

「大変申し訳ございません。只今この拠点の中は殿下にふさわしいとは言えませんので、今取り急ぎ殿下をお迎えする準備を整えております」

「うむ。公爵そういうことなら待とうではないか」

「しかし殿下…」


殿下にふさわしい対応の準備をしているのは本当だ。

おそらく王子はこっちに来るだろうと誰もが予想していたので、狼煙のあげ方も王子専用のを用意していたから、間違いなく周囲に伝わっている事だろう。

それにしても本当に来るとは思わなかったと言うか、まともな判断力があればこんなに堂々と現れずに、最終局面の時にだけ現れて手柄だけ持って行ったり、こっちに居る貴族達に連絡してある程度兵士を揃えてから動くと思っていた。

他にもこっちには来ずに潜伏して機会を伺うとか、色々と予想はされていたが、その中でも一番直接的な方法で来るとはね。

確かにここの物資を押さえることが出来れば、今回のゴブリン討伐の主導権を取れるのだが、それにしても千人でここを落とそうとするのは、ちょっと少なすぎると思う。

このまま襲われてしまえば俺達はやられてしまうが、本隊からの救援がすぐに来るのだから、王子達も無事では済まない。

それとも本気で王子の威光にひれ伏して、拠点を明け渡すとか考えているのだろうか?


「お嬢。本隊から5千の部隊がこっちに来るそうです。もう少し引き伸ばしてて下さい」


グロスが向こうからわからないようにそっと近づいて教えてくれた。

歩いて1時間かからない位の距離だから、急いでくるのであれば2〜30分位だろうか?

てことは後10分も引き延ばせば到着しないまでも、向こうにも事態がわかる距離にはなるかな?


「そうそう殿下。殿下はお茶の好みはどのような物でしょうか?ここは前線に近いため大したものは置いておりませんが、近い物ならご用意できますが」

「うむ。俺様は甘いのが好きだ。それと香りが強いのはあまり好きではない。遠くから来ているから早めに用意するように」


お茶の準備なんかするわけないけど、これで更に時間が稼げそうだな。




「だだだだましたな!!!!」


あれからしばらくして王子の部隊は全員降伏することになり、王子は今簀巻きにされて転がされている。

騙したなとか言われても、そりゃ騙すよとしか言えないのだが。


遠目でこちらに向かってくる部隊がが見え始めた為、慌てて強硬手段に出ようとしてきたので、ゴブリン対策の油に火を付けて威嚇していたら、あっと言う間に山人が周囲を包囲したので、兵士達はすぐさま降伏し隊長のような者も武器を捨てた。

残った王子とお仲間はなんとか逃げようとしていたが、周囲は武器捨てて伏している兵士だらけなので逃げられず、駆け寄った山人達にあっと言う間に簀巻きにされた。


なんとか誰も傷つかずに事態を収めることが出来た。

まぁ王子達は多少の怪我はしたかもしれないけど、無駄に被害が出なくて本当に良かったよ。


後は本隊の方でお話し合いが行われるだろうからすぐに情報が得られるだろう。

王都とは違って前線であるここでのお話し合いは、かなり厳しい物になるだろうから、根性無さそうなあの王子ならすぐに話すだろう。


そう思ってゆったりとお茶をしていたら、


「お嬢。本隊から緊急に話したいことが有るそうです」


ん?あー狼煙が上がっている。


「わかった。ちょっと行ってくるよ。まだ残党がいるかも知れないから、一応気をつけていてね」


念の為グロス達には警戒をしてもらって俺は本隊に向かおう。

しかしあれからまだ2時間位しか経ってないのに、もう王子は話したのかな?なんて協力的なんだろう。

なにせ移動の時間とか用意とか考えれば、数十分しか時間がないから、お話し合いは本当にお話し合いになったとしか思えない。

さて王子は一体どんな事を話してくれたのかな?

出来れば身のある話だと良いんだけどと思いつつ、わざわざ緊急で集められるって事は、事態に進展があるって事なんだろうな。


俺があんまり急いでも他が集まる方が遅いだろうから、ゆっくり歩いて向かう事にした。




本隊について案内された部屋にはまだほとんど人が居なかったから、隅に用意されていたティーセットを使ってお茶の準備をする事にした。

マーブル先生にお茶の入れ方は教わっているから、形だけなら問題なく入れられる。

他の人にも配りつつゆったり待っていると、山人の人が来てお茶係を交代してくれた。

俺のお茶が不味かったわけではないと信じたいところだ。


部屋に用意された椅子がどんどん埋まってきて、最後に第1王子とアントライア公爵令嬢とスネールズ公爵令嬢が入ってきた。

恐らく集まるのはこれで全員なのだろう。


「皆忙しい中緊急の呼び出しをして申し訳ない。これからすぐに動かなければならない事が起きたから集まって貰った」


アントライア公爵令嬢がいつものはっきりとした口調で話しだした。


「先程第2王子殿下が輸送部隊の方に現れたのでこれを捕縛することに成功した。ティ子爵には協力を感謝する。そして捕縛した殿下に色々と聞いた所、面白いことがわかった」


アントライア公爵令嬢の言葉に、この事態をまだ知らなかった連中が騒然となったが、その後に続いた話にはもはやザワザワなどとは言えないほどの状況になり、何度も静かにしろとの声がかかることになった。


アントライア公爵令嬢が話した王子から聞いた話は、それだけ重要な事だったのだ。


王子が言うにはこのゴブリン達は自然発生した物ではなく、この国の貴族が計画的に増やしたゴブリンでその貴族の指示で動いているらしく、戦略的に動いていたのもこの貴族の指示だそうだ。

それでなんでこんな事をしたのかと言うと、ゴブリンを使って各国の力を落として、現在の秩序の根幹を揺るがし壊し新たな秩序を作るというものらしい。


その新しい秩序を作るのが新生ヒューマ帝国と神光聖声教会だそうだ。


つまりこのゴブリン達の本当のリーダーは神光聖声教会の教皇で、新生ヒューマ帝国初代皇帝なんだそうだ。


もう本当に無茶苦茶になってきた気がする。

流石に王子の妄想と言いたいのだが、ヒューポッド公爵も同じ事を言ったらしい。


つまり今までこちらの動きが相手にバレていたのは、各国の部隊の中にいる神光聖声教会の信者達が情報を漏らしていたためで、これから信者を探すのは現実的ではないものの、総合ギルドを通じて各部隊に周知することで、信者の動きを止めようと言う話だった。


確かに今信者を探していては余計な混乱を引き起こしかねない。

だけど放置も出来ないから全体に教えると。

それでも混乱は起きるだろうけどまだマシって感じかな?


これで少しは良くなると良いのだけど、なんとも言えない感じだ。

本来なら一旦後方に下がって部隊の再編成を行ってから出直すべきだけど、ここまで来て撤退とかなったらそれこそ向こうの思うつぼだろう。

これから信者達は情報漏洩だけでなく流言・怠慢・扇動等あらゆる手段で妨害してくるだろうし、おそらく今までもこれらで妨害し続けてきたのだろう。


これに対してアントライア公爵令嬢が示した解決策は、周知徹底・厳罰主義による綱紀の引き締めなのだが、はたしてうまくいくものだろうか?


ちなみに俺も自分の部隊に帰って皆に教えてみたが、俺達にはあまり関係がなかったようで『はぁ?そうですか?』みたいな感じでポカーンとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ