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第70話 輸送任務3

「やぁ、君の噂はよく聞いているよ。特に妹からよく話しが出ていて、前から一度会いたいと思っていたんだよ。今回は部下達が先走ってしまったができれば許して欲しい」

「殿下が謝るようなことでは有りません。私といたしましては争いにならなかったので特に気にはしておりませんし」


なんて雑談をしながら担当者を待っているのだが、この王子は第2王子なんかとは格が違いすぎる。

なぜ今までこの王子が立太子されないのかはわからないが、こうして話しているだけでも優秀さが伝わって来る位、会話の受け答えだとか流れだとかが上手いのだ。

はっきり言って第2王子とこの第1王子を比べてしまうと、どれだけ第2王子がダメだったのかわかるし、前世風に言うとするのならば月とスッポン・雲泥の差・天と地といったことわざを思い出す位、同じ王子というカテゴリーに入れてはいけないと思える人だ。


おそらくは今第1王子派が王都で出来ているのも、この王子の能力にかけた人がそれだけ居るって言うことなのだろう。

血筋とか肩書とかを抜かしても間違いなく、この王子が国を任せられるだけの能力を持っていると感じる。


俺は特に第2王子と近いと噂されて、一時期なんか6人目とか言われる位だったから、本当はあんまり近づきたくないのだが、こうして向こうから来られてしまえば断ることは出来ないのが、エスト王国民の性だった。


それにしても副官とかお付きの人達の目線を見る限り、俺をかなり警戒しているのがわかる。

おそらくは噂のどれかを気にしているのだろう。

心配しなくても俺が王子になにかする気は無いんだけどな。




そうしてしばらく雑談をしながら待っていると、なんとか応援の人達がやって来たのだった。


「殿下。噂を信じてここまでのことをするのは、やりすぎでは有りませんか?少し調べればこの者が不正をするような者ではない事がわかるはずです」

「すまない。前線ではここの噂がそちらが思っている以上に広がっていて、押さえるためにはいずれ誰かが来る必要があったのだ」


どうやら本隊の方には王子が動いているのが最初からわかっていたらしく、アントライア公爵令嬢(王女)の側近の方が来てくれたらしい。

おかげで話が簡単に進みすぐさま本隊の書類と、ここの書類を合わせて在庫確認が行われた。


「なるほど確かにズレはないね。記載されている量と在庫に差はないし、おかしな表記や計算間違いもないようだ。お前たちもこれで良いな!物資の輸送に関して一切の不正は行われていなかった!今後この件で騒ぐ者は軍法に乗っ取り死罪とする!これはエスト王国民第1王子エリック・エストの命令だ!しかと全軍に周知せよ!」

「「「「っは!」」」」


なんとか部下の人達も納得してくれたのだが、正直これはあまり良くない解決方法だったりする。

そもそも本隊を率いる山人の王女・アントライア公爵令嬢が、この問題を虚偽と発表しているにも関わらず、第1王子がわざわざ出張って確認したのも良くないし、男である王子が女の俺をかばうような発言をすると、ありもしない事を広める奴らがかならず出るからだ。


特に俺の場合第2王子との噂もあったし、それに今回の件では本隊の担当者や総合ギルドの担当者との噂があったのに、そこに第1王子までが加わる有る種当然の成り行きのように見える状況を、わざわざ王子の方で作ってしまったことになる。


とりあえずこの騒動は一段落することになり、貴族の無駄なゴリ押しは減ったのだが、逆に兵士や戦闘要員からは悪女と噂されることになった。

流石に王子のお手つきかもと噂されているから、俺に直接言ってきたりはしないがな。


そんな状態でもほとんど当初の予定通りに行軍は続く。

まぁおそらく俺のような荷物番は不満のはけ口として、ある程度必要なのだとは思う。

噂が広まっても特に対応しない本隊の動きや、ある程度軍歴の長い者達からは慰めのような言葉をもらうから、多分そうなのだろうと思う。

常に緊張を強いられてしまうし不満の吐出口がない状況だから、仕方ないのはわかるとしても、その当事者となればなかなか面倒だと思うのだ。


実は俺の後方に別の補給部隊がついてきていて、そちらは総合ギルドの商人達が運営している。

こちらは物資ではなく不満の吐出口のような役割があって、行軍中の非番の日に兵士や戦闘要員が行っているのは知っているが、そこも無制限に行けるわけでもないから、こういった噂話が流行るのだろう。


ちなみにこの世界のそういった場所には、男女両方の施設があるのだが、森人が同行している関係で両性用の施設もあったとか無かったとか…


それにしてもこの場合俺はどっちに行くべきなのだろうか?

行きたいという気持ちがないから行ったことはないのだが、もし行くとしたらどっちに行くべきなのか?

まだ結論は出ていなかった…




そうして王都を出てから約3ヶ月が過ぎた。


地方にあったゴブリンの拠点もあらかた潰して回ったし、他の地域からの討伐部隊も予定地点に集まり始めているらしい。

俺は本隊の後方なのでここからは見えないが、既に落とされた街が見える地点に到着している。

これから俺達はもうしばらく他の部隊との合流を進めながら、付近のゴブリンを討伐し続け勢力を削っていくことになっている。


これまでエスト王国の部隊にはほとんど被害はないが、それでもここまで来れなかったのも結構いるし、これから周囲の討伐を進めるなら、どうしても被害は増えていくだろう。


そう。

今日からが本番なのだった。

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