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第67話 輸送任務1

あれからすぐにグロスたちと合流して輸送任務についた。


仕事としてはとても単純で輸送の中間拠点みたいなものだ。


現在エスト王国ゴブリン討伐部隊は、本隊を中心にいくつもの部隊に分かれてゴブリン達の殲滅を繰り返しながら、目的地である大陸中央の占領された街へ向かっている。

ゴブリン達が街を占領する前から千匹ほどの集団を各地に配置していたため、これを無視して進むと補給線を脅かされるし、新たな火種になりかねないからすべて潰す必要があったのと、他の地域から集まってくるゴブリン討伐部隊と、足並みを揃えるためにゆっくり進んでいる為だ。

そのゆっくり進んでいる本隊の後ろを進んいるのが、俺達の輸送部隊になっていて本隊の分の物資だけでなく全体の物資も運んでいる。


ナメクジ荷馬車は低燃費でなかなか積載量も多いからなんだが、それでもこの世界特有の魔法グッズがないと無理なものだ。


今グロスのナメクジ荷馬車は全部で100台ほどあって、1台の荷馬車の積載量は大体1tほどになる。

なので全体で運べる量は100tにもなってくるのだが、実はこれだけだと20万人の物資としては1日分にもならない。

人一人1日食べる分として大雑把に言えば大体1kg程度が必要になる。

これに水を足すと更に倍に増えるのだが、こちらの世界には魔法が有るので水の心配はしなくても大丈夫。

それでも1台で運べる物資は千人分にしかならないし、100台有っても10万人分にしかならない。

これを解決しているのが魔法グッズで、重さを軽減したり容積を減らしたりするグッズが、総合ギルドから大量に貸し出されているので、大体50倍近い量が運べている。

結構高価なもので商人達でも持っている者は少ないのだが、そこは総合ギルドが本気を出しているって事なんだろう。

つまりうちの荷馬車で20万の兵士約20日分を運んでいる計算になる。


それで足りなくなる分をもっと大量に運べる荷馬車が俺達の後から追ってきていて、俺達に物資を渡して帰っていく方法を取っている。

大量に運べたり早く運べたりするのに馬車は適しているが、その分維持コストつまり食料を必要とするから、常に連れて行くよりも運んで戻って貰った方が、その分食料を運べることになるわけだ。


なんでこんな事を言っているかと言うと、俺の仕事がこれの整理に有るからなんだが、


「俺達はもっと食料がないとやっていけない!もっとよこせ!まだまだ有るんだからケチケチするな!」

「こっちは本隊からの割当通りにしか渡せないんだ。まだ有るからと言って勝手に渡せない」


なんてトラブルが毎回のように起こっている。

他にも俺達が物資を無駄遣いしているとか、横流ししているとかの噂も絶えないし、正直面倒を押し付けられているようなものだが、そのために俺が来ているとも言える。


「そちらの都合はわかった。今後は本部に言って食料の分配を増やしてもらってくれ。今回は私の判断で渡すことにするから、この書類にサインをくれないか?」


とまぁこんな感じで、物資の総数だけは押さえつつある程度都合して渡している。

当然本隊には報告しておくしあまりにも多いようなら、本隊の方から注意してもらうようにしている。

本隊には山人の兵站担当者や総合ギルドの担当者が居るから、本当ならこっちに直接言ってこないで向こうに申請すればよいのだが、獣人たちや総合ギルドの戦闘要員達それに個別で参加している者達には、そこら辺がわかっていなかったり、向こうに言えない奴らがこっちに来て直接文句を言っていく。


毎日ゴブリンと戦っているのだからそこら辺の待遇は良くしておかないと、すぐに士気に影響するから難しいところなんだが、とは言え物資も無限にあるわけでもないから、きちんと管理する必要はある。

話によるとこういった輸送任務の時には、物資の横流しや横領は良くあることで、1割2割は消えることがあるらしいが、今後のグロスたちの評判や俺の評判のためにも、常に在庫と帳簿は合わせて確認している。

それでもやっぱり来るのが、


「私は貴族だぞ!お前たちのような平民に命令される筋合いではない!さっさと言われた物をよこせば良いのだ!」


なんて馬鹿が必ず出てくる。


「私は子爵家の者ですがどうかしましたか?とりあえず指示書がない方には物資のお渡しは出来ません」

「なに?貴様がここの責任者か?女のくせに生意気な!」

「私はスタン子爵家の長女ですが何か?ここでは私に物資の受け渡しの権限が与えられております。文句があるなら本隊の方に言ってはいかがですか?それともまさかとは思いますが?」

「っな!お前があの首切りか…っく覚えていろよ!」


ああいった馬鹿には俺が少し強く出て、さっさとお帰りいただくようにしている。

ちなみに今のは名前も名乗らずに貴族とだけ言ってきていたから、覚えておけと言われても覚えられないんだけどね。

一応誰かは知っているので本隊の方に連絡はしておく。

あまり酷いようなら戦場で不慮の事故にあってもらう事になるんだけどね。


他にも運ばれてくる物資の量が書類と合わなかったり、そもそも書類を持ってこなかったり、横流ししろと怪しげな商人がやってきたりと、本当に毎日忙しく働いているのだが、やはり気になるのは王都の方の状況だ。


パレードから1月が過ぎようといしているのだが、あれから王都はかなり混乱しているらしい。

流れてくる話をまとめると、混乱具合がわかるものだ。



まずあのパレードの後ゴブリン討伐部隊が王都を離れて1週間もすると、王政派が貴族派の処罰に動き出したらしい。

おそらく中立派の核とも言える2公爵家の部隊が、王都から離れるのを待っていたのだろう。

一時的にでも王都にいる貴族の勢力が王政派に傾いたと思ったのか、かなり大胆に貴族派の処罰を進めだしたのだが、王都に残っている中立派を中心にかなりの貴族が、王政派とは別に貴族派の処罰に動き出し、王政派の勝手な処罰を妨害していったらしい。


そもそもそういった仕事は中立派が押さえていたのだから、王政派の行動自体が犯罪行為だったりしたのだが、ここでもはっきりとした動きを見せない国王のせいで、現場は大混乱になっていったそうだ。


そこで仲裁に動き出したのが王政派の中でも第1王子派の派閥で、元々中立派だった第1王女と連携していたらしく、王族特権をフル活用して王政派の動きを止めて、今では完全に中立派主導で貴族派の解体が進められているそうだ。


まぁ今回のゴブリン討伐の時点で第1王子と第1王女は連携しているから、元々そういった筋書きだったのだろう。


現在は元王政派の国王派と元王政派の第1王子派、それに中立派の3派閥でのにらみ合いに変化しているらしい。


ちなみにスタン子爵家は見事にお取り潰しになったそうだ。


それなのに俺がスタン子爵家を名乗っているのは、結構面倒な理由があったりするが、まぁぶっちゃけて言えば輸送任務に必要だからだな。


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