表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/93

第64話 波乱6

それから1ヶ月たった。


だけど勇者関連の情報は殆ど集まらずパレードの準備は一切行われていない。

動きがあるとすれば神光聖声協会だろうと思い、各地の協会には見張りを付けているにも関わらず、ほぼ何の動きも見せていないのが現状だ。


こういったことの情報収集が得意なマーブル先生の派閥でも、これと言った動きを確認できていないようだし、勇者関連はとりあえず様子見するしか無くなってしまった。


かわりにと言ってはいけないのだが、大陸中央で動きがあった。

数を増していたゴブリン達がついに動き始めたのだ。

おそらく既に10万を超えているゴブリンたちは、近くの街を攻め落としてしまった。


この事態になっても各国の協力体制が全く整わず、各国どころか国内でさえも足の引っ張り合いに終止していて、全く進展の無い各国の動きに総合ギルドがついに動き出した。


かなり前の時点で総合ギルドは各国に警告していたようだが、なんだかんだと後回しにしてきた各国の対応に切れたとも言う。


まず各地の総合ギルドが一斉に通常営業を休止し、全業務をゴブリン絡みのみに変更した。

これにより各国の物流は事実上完全に停止し、エスト王国はもちろん他の国も現在大混乱に陥っている。


それに変わり食料や武器等のゴブリン討伐に必要な物資の運搬が行われ、中継地点に物資の集積所が作られ始めている。

それに並行してギルド員の戦闘要員に多額の準備金が支払われ、総合ギルド本部の依頼であるゴブリン討伐に多額の報奨金が設定された。


エスト王国でもこの総合ギルドの動きは行われ、各地にいた戦闘要員が大陸中央の方へと移動し始め、グロスのナメクジ荷馬車も今王都に集まっている。


少し話がずれるがエスト王国には公爵家が3つ有る。

帝国に対抗した主要種族の代表が公爵となっているため、平原人・森人・山人の3種族が1つずつ公爵家を出している状態だ。

この3公爵家の内2つが今回のゴブリン討伐に参戦を表明したのだ。

参戦を表明した森人のスネールズ公爵家と山人のアントライア公爵家は、既に軍を引き連れて王都に来ているし、これに呼応した獣人族も各集落から戦士を集めてやってきている。


もともと平原に暮らす平原人よりも、ゴブリンの被害が大きい他の種族のほうが事態を重く見ていて、今までも討伐作戦を行うべきと主張していたものの、一向に動かない国王に見切りをつけた形での参戦だ。

実際には国王が動かないのではなくその下の王政派が、他の派閥が大きくなるのを嫌がっているのもあったが、それを統制できない今の国王は同罪と見られている。


今回参戦した各陣営の兵力は、山人10万・森人1万・獣人2万・その他種族3万と16万に達しているし、これはそのまま今の国王への弾劾署名とも言える。


ちなみに各勢力の兵力差は単純に人口差と言えるので、森人のやる気が無い訳ではない。

逆に少数民族である森人が、1万もの兵力を出してきたことが凄いのだ。


このエスト王国の貴族軍16万に対して、総合ギルドが集めた兵力は現在3万程。

これからまだ増える分もあるだろうから、最終的にエスト王国正規軍以外でのは兵数は20万を超えてくると思う。


俺の所にもグロスを通じて総合ギルドから参戦要請が来ている。

グロス達は総合ギルドからの依頼で、辺境からの物資輸送を行っているが、これからその物資の前線への輸送に仕事が変わる予定で、現在微妙な立場の俺もこれに参加する事で自然に王都を離れられるし、それにこの世界の一大事とも言えるゴブリン討伐を、他の誰かが頑張っているのをそのままに、家でお茶を飲んでなんかはいられない。

直接前線には行かないが物資の輸送で少しは協力したいのだ。

それに輸送とは言え安全な仕事とは言えないし、状況次第では前線に取り残されてしまうかもしれない。

そんな状況にグロス達を送るだけでは、後で後悔するのは確実だから俺も参戦することにした。


出立に際してマーブル先生や学院の友達、それにエルダー伯爵や侯爵令嬢達等、今までお世話になった人達にお礼と戦場に行くことを告げて周った。


みんなからは色々言われはしたが、快く送り出してもらえた。


だけど出立前に一つだけ見ておかなくてはならない。


それは明日行われる、2公爵家による王家への最後通牒の仕上げとも言える、ゴブリン討伐出陣式典とパレードだ。

ここまで事態が動いているのに未だに国王からは何の発表もないし、王国騎士団はおろか王国兵士ですらも参加を表明していない。

おそらくは貴族派の牽制のために動けないのだろうが、それでもこの世界の問題に対して何もしないのは不味いだろう。

せめて後追いでも良いから、この動きを支援するとか言えばまだマシなのに。

多分貴族派をどうにか出来たとしても、国王はもう終わりだと思う。

それを確認するためのパレードをするのだが、そこにも国王の名前がなかった。

あったのは第1王子と第1王女の2人だけで、この2人は連名で支援を約束している上に、第1王子が自身の私兵と王女の私兵を束ねて参戦をすることになっている。


ちなみにエスト王国のゴブリン討伐部隊の指揮を執るのは、山人の王女と森人の王女が執ることになっていて、第1王子は外様としての参加になっている。

本来であれば第1王子が指揮を執るのがすじだが、国王がなんの発表もしておらず何の支援も無いので、第1王子は1貴族の私人としての参加なのと、単純に大規模戦闘の指揮経験の差でそうなっている。


さて国王はここまで来ても何もしないのかな?

パレードの終着点は王城前の広場になっているから、これが本当に最後の機会になるわけだけど。


俺はゴブリン討伐が終わった後の予定まで、マーブル先生と詰めているから、政変には巻き込まれないと思うけど、国王次第でエスト王国自体の未来が変わってしまうから気にはなる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ