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第60話 波乱2

「あらまぁやっとギルド支部長のご出勤ですか?もうお昼を回りましたよ?」

「出勤というかやっと帰ってきたところですよ。それで、今日はどういたしました?見た所かなり本気の交渉に来られているようですが?」


ギルド支部長が帰ってきた?という事はもしかしたら今回の件は知らないのでは?そう思って受付の方を見てみると、何やら青い顔をした人が増えていた。


「とりあえずここでは落ち着いて話もできません。応接室を用意させますからそちらでお待ちいただけますか?少しこちらも準備が必要そうですので」


そう言うとギルド支部長が部下に指示して、俺達は奥の一室に通されることになった。

かなり豪華な部屋で接待係のギルド員であろう人が、俺達にお茶を出してくれたので、ゆったりと待つことにした。

そとでは色々と動きがあるらしく何か慌ただしい音も聞こえてくるのだが、マーブル先生が気にしてもしょうがないからと、ゆったりとしているのでそれに習うことにした。


その後動きがあったのは結構時間がたった後だった。

体感ではおそらく一時間は過ぎただろう。

軽いノックの音がした後支部長と数人の部下の人が部屋に入ってきた。


「お待たせいたしましたマーブル様。こちらでも状況を把握させていただきましたので、すぐにお話ができる状態なっています。念の為確認させていただきたいので、お話をお聞かせくださいますか?」


俺の預け金の問題に俺の名前を使った依頼、それにグロスの方のこちらが知らない契約を話すと、


「なるほど。こちらで把握している話と同じようですね。念の為この後も調査して確認をしますが、取り急ぎそちらの要望通り預け金の全額回復と、依頼の取り消しを行わせていただきます。この件の詳細がわかりましたら被害の復旧に加えて、今回の被害に対する賠償についても考えていますが、何分まだ調査を始めたばかりですので、少しお時間をいただくことになるかと思います」


俺としても被害を復旧してもらえるならばそれで良いし、原因の追求だとか相手にそれなりの報いをとかは考えていないから、後のことはそちらにお任せいたしますと、完全に投げてしまったのだが、


「これは総合ギルド全体の信用問題でもありますので、被害の復旧だけで終わらせるわけには行きません。これだけの事が起きましたのに何もしない訳には行かないのです」

「あらあら?総合ギルドはうちのティちゃんを使って何をする気なのかしら?ティちゃん支部長さんはね貴方への賠償を理由に、向こうへの被害を大きくするつもりなのよ」


なるほど。俺への賠償を理由に被害分を増やすとすると、賠償自体が決まっていないまま話を進めれば、限度があるものの支部長の納得行く被害まで、釣り上げることが出来てしまうのか。

それは流石にわからなかったよ。

これが政治の世界なんだろうなと納得はするけど、あんまり近寄りたくはないな。


「おやおやそうは言いますが、マーブル様の方こそもっとちゃんと教えてあげてはいかがですかな?」


なんか途中から暴露大会みたいになってきていて、知りたくない事実が俺の存在を無視して語られていく。

グロスなんか窓の外を眺めて空気になっているよ。

そうして黙ったまま聞いていると、聞きたくはなかったが色々なことの裏側が話されていった。


総合ギルドの思惑としては今回の件を理由に、エスト王国に対して貴族派の処罰を早めるよう圧力をかけるつもりのようだ。

既に総合ギルドにまで知られているにも関わらず、処罰しないでいる理由が俺にはわからなかったのだが、それは俺が政治を知らなすぎたせいだった。


既に貴族派を含む殆どの貴族は、貴族派が解体された後の権力抗争に向けて準備をしていて、そのやり取りが自分達に傾いた所で処罰をしたいらしい。


引き抜き・切り崩し・裏切りそんな事が俺の知らない所で繰り返されていて、王政派・中立派・貴族派の争いでは既に無く、派閥内の力関係にまで及んでいるらしい。

総合ギルドとしてはその争いは国の問題なので関与するものではないけど、今回のように度々総合ギルドに問題を起こすので、さっさと解体して欲しいのが本音のようだ。


今回の件とゴブリン騒ぎを使って総合ギルドは貴族派を潰し、独立した勢力としての総合ギルドの立ち位置を取り戻したいようだ。


まぁぶっちゃけ俺としてはその辺りどうでも良かったりもする。

貴族派が潰れる際に巻き込まれないように手は打ってあるし、総合ギルドの立場とかも正直どうでも良い。

中立派というかマーブル先生が困らない範囲でならどうでも良いし、逆にマーブル先生や俺が困るような状況になるならそれはすべてお断りだ。


ちなみに支部長が1ヶ月もの間王都支部を離れていたのは、大陸中央で発生しているゴブリン被害に対して、総合ギルドが本格的に動き出すための会議があったらしく、本当ならもっと時間がかかる予定だったのが、貴族派が各地のギルドで問題を起こしていると連絡が入り、急遽戻ってきたそうだ。

会議では大陸中央の国々に有る総合ギルドが、あまり機能していなかったらしく、そちらは幹部連中をすべて入れ替える必要があるとか、総合ギルド本部の方も動き出していて、大規模な作戦が取られる予定だとか、聞いてもいないのに教えられてしまった。


そんな感じでマーブル先生と支部長の話が進み、二人共納得行く範囲での合意がされたようなので、


「マーブル先生。そろそろ時間も遅くなってまいりましたし、支部長も今日帰ってきたばかりで仕事も有るでしょうから、今日はこの辺りにしませんか?」

「そうね。そろそろお暇いたしましょうか。それでは支部長さん今日は帰らせていただきますね。また近いうちにお会いするかも知れませんが、ごきげんよう」


そう言ってやっと総合ギルドを出ることが出来た。

グロスなんか途中から目をつぶって動かなくなっていたし。


俺はマーブル先生の馬車で学院の寮まで送ってもらったのだが、


「ティちゃん。さっきの話を聞いていたと思うのだけど、多分今回のゴブリン討伐から色々と動き出すと思うから気をつけていてね。私からも連絡はするけど、学院の中での情報を見落としてしまわないようにね」


と、いつになく真剣な顔で言われてしまった。


これからの俺の人生がかかっているのだから、本当に気をつけていくとしよう。


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