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第55話 予兆2

プロムナード(仮)からしばらくたった。


入学してから考えると、10ヶ月が過ぎたのだが、俺の日常にはあまり変化がなかった。


相変わらずストーカーみたいなのはついてきているし、陰ではヒソヒソ言われているのも知っている。


噂になっているのはいくつか有るのだが、大まかにまとめると二つだ。


まず俺が孤児だったていう話だ。


これは公然の秘密になっていたのが、側近が騒いだことで、広く知られるようになってしまったのだ。

エスト王国自体は、そこまで血によっての継承を重視してなくて、その家の名前を継いだ責任と能力が有るのなら、問題ないとしているが、貴族派は血を重視していて、孤児どころか、片方でも貴族の血が流れていない者が、貴族家を継ぐのを嫌っている。

要するに、血にしかすがるものが無い奴らが、今回のこの話で騒いでいるって訳だ。


これについては、勝手に噂しているだけなら、実害がないから気にしていない。


それでもう一つの噂なのだが、こっちはちょっと問題があって、実害が無いとは言い切れない。


その噂というのが、俺が6人目って言うやつだ。


以前に王子が女子寮にまで、俺に会いに来たことから、6人目として認識されていたのが、プロムナード(仮)の時に、裏切ったと言われている。

そもそも俺は王子の仲間でもなんでも無かったのが、ぎりぎりになって裏切った、卑怯者だとか腹黒いとか、有りもしなことまで言われているのだ。


俺としては否定して回るわけにも行かないし、黙っていると俺の信用が下がる為、なんとも言えない感じになっている。


それと、今の話しに関係はないのだが、がホルドラン侯爵令嬢に気に入られてしまったのか、度々お茶会に呼ばれるようになってしまった。

俺を悪く言う方から見れば、俺が王子たちを売ったことになるらしく、これも裏切りの一旦らしい。


結局黙ってみているしか無いんだけど、ちょっと悔しい。




それに噂も気になるのだが、もっと気になることが有る。


それは、貴族派への処罰が行われていないこと。


どうもどこからかストップがかかっているらしく、捜査自体は終わっているものの、動き出せていないって、侯爵令嬢から教えてもらった。

まさか無能国王が、止めているのか?

こっちも俺がどうにか出来ることではないから、焦ってもしょうがないのだが、それ次第で俺の今後が大きく変わるから、やるなら早くしてほしいものだ。


そんな事を考えていたからだろうか?

俺は人の接近に気付いては居たものの、特に注意を払っていなかった。


「お忙しいことと存じますが、当家のお嬢様が一度お話をしたいそうです。つきましてはお時間を頂けますでしょうか?」


油断していた所に、いきなり声をかけられて、ちょっとビクってしてしまった。

見た所同じ位年齢の男が、声をかけてきたのだ。

ここは貴族学院だから、より高位の貴族に仕える者のための学部も有るから、おそらくはそういった家の者なのだろう。


「申し訳ございませんが、貴方の仕える家を知りませんので、辞退させていただきたく」

「失礼いたしました。私はボーダー伯爵家に仕えております。先日の貴方様の活躍をお嬢様がご覧になられまして、ぜひとも一度お話をしてみたいと、おっしゃっております」


ボーダー伯爵家か。

確か派閥は中立派で、ホルドラン侯爵家の下だったはず。

なら特に危ないこともないかな?

それにしてもこの人、既に使用人として完成しているような?

まぁ真っ当な貴族家なら学院に来る前に、その辺の教育は終わっているのかな?

そう言えばホルドラン侯爵家は、教育関係の派閥だから、特にその辺しっかりしているのかも知れない。


「わかりました。私の方は大丈夫です。いつごろご挨拶に伺えばよろしいでしょうか?」

「お時間がございましたら、今からでも大丈夫しょうか?お嬢様が学院の個別ティールームでお待ちしております」


おお。専用ティールームほどではないけど、予約を取るのが結構難しい、個別ティールームを押さえていたのか。

そうしたら、あまり待たせるのも申し訳ないし、


「わかりました。私の方は問題有りませんので、ご案内頂けますでしょうか?」

「お嬢様の要望を叶えて頂きありがとうございます。どうぞこちらでございます」


個別ティールームは他のティールームに比べて、ちょっと狭めに作られていて、普通のティールームでは話しにくい時によく使われる場所だ。

まぁ簡単に言うと、個室になっているティールームだな。

今回の場合おそらく、俺の評判があまり良くないため、なにか話したいことは有るけど、周りにあまり知られたくないってところかな?


迎えのチェンバレンの後に続き、個別ティールームに到着すると、軽いやり取りの後、すぐに入室を許可された。


「初めましてボーダー伯爵令嬢様。スタン子爵家長女のティ・スタンでございます。なにかお話があるとのことでしたので、寄らせていただきました」


軽い挨拶をして入室しつつ、ボーダー伯爵令嬢の方を伺う。

座っているから良くはわからないけど、身長は俺と同じくらいだろうか?

かなり可愛い女の子で、髪は明るい緑色、今はまとめてアップスタイルにしている。

そして誰もが目を引かれるのは、胸部分だろう。

前世で言う所の、ロリ巨乳ってやつなのだろうか?かなりの大きさをしていて、身長に合わない椅子のせいか、テーブルに完全に載せていた。


「どうぞそちらにお座り下さい。急にお呼びして申し訳有りません。少しお話をしてみたくてつい」


なんて言っているが、一体何の話なのだろうか?

なにか全身をゆっくりと眺められている気がする。

とりあえず対面の席に座り、後から入ってきたチェンバレンさんが、お茶を用意するまで、ゆったりと待つことにした。


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