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第24話 剣術大会2

翌日は昼くらいから行くのが普通らしく、ボサと一緒に訓練をしていたら、リサさんから注意を受けてしまった。


いつも気にしていなかったのだが、兵服一枚しか着ていないから、汗をかいて服が張り付いたりするのは問題が有るとの事だ。

言われてみればそうなのだが、まだ10歳だし気にしていなかったし、何よりそういった事を教えてくれる人が居なかったのだ。

今までは屋敷の訓練場だったし、外では胸当てを付けているから、問題はなかったのだが、今いるのは宿の裏庭なので、人目もあるし気をつけたほうが良いと。


リサさんも交えてその辺りの事を、今後どうするか相談していたら、時間が結構すぎていた。


慌てて部屋に戻り、全身に洗浄をかけて着替えてと急いでいたら、リサさんが服とか用意してくれて、メイドさんの居る生活の楽さを感じてしまった。


ちなみに洗浄は風のようなものが体にまとわりつき、汚れとかを落としてくれる魔法で、何というか風の洗濯機みたいな感じで、遠征時も体を洗えて便利だけど、部屋で使うと色々と巻き込んでしまうし、外で使うと色々と見える可能性がある為、使う場所を選ぶ魔法だったりする。

これから俺も成長するし、この魔法も使う時は気をつけなければいけない。




闘技場につくと受付の方が来て、まずは大人の方へ案内される。

本来なら親御さんが挨拶と社交の為に向かい、子供は別行動になるのだが、俺は親が来ていないから、挨拶から向かわなければいけない。


昨日のように、まずはベスター伯爵に挨拶した後、エルダー伯爵に挨拶をして、昨日挨拶した他の貴族に挨拶していく。まだストラディ侯爵には呼ばれていないので、こちらから声をかけたりはしない。


一通り挨拶が終わったら、子供たちの方に行くと断って、向かうことにする。

この辺の挨拶とかは、リサさんに言われていたので、失礼に当たることはなかったと思うし、リサさんからも何も言われなかったので、大丈夫だと思う。


ちなみにボサは俺の護衛役では有るのだが、より高位の貴族がいる前に、下位の者が護衛を伴うことは出来ないため、護衛用の控室の方に居る。

なら連れてくる意味が無いのではと思うかも知れないけど、貴族として護衛の一人も連れていないのは、恥ずかしい事なので、侮られないためにも、連れてこなければならないのだった。

こういった時に備えて、メイドや執事が戦闘訓練を受けたり、騎士を執事やメイドとして伴うため、貴族の当主も性別にはあまりこだわらないのだが、うちのクズ当主の中では、跡取りは男となっていて、俺は男のふりをさせられているのだった。


ちなみにリサさんは、戦闘自体は苦手なものの、貴族家の出でもあり、それなりに戦うことができるそうだ。



案内役の人に連れられて子供の方に来たのだが、予想通り既にグループが出来ていて、俺の入り込む余地はなさそうに見える。

案内役の人が俺を紹介してくれたので、全体に向けて挨拶をした後は、隅っこに有る無人のテーブルに着いて、周りの確認をしていく。


中央に女の子の沢山いるスペースが有るから、きっとあれがストラディ侯爵家の次男目当てだろう。他はと見ると、数人ずつのグループに分かれているものの、全体としては3つの大きなグループになっていて、数人俺と同じく孤立しているのも居る。

リサさんに確認すると、やはり派閥ごとに分かれているようだ。


俺は派閥としては中立派なため、中立派の所に行けばよいのだが、実はそういう訳にもいかない。養父のクズが貴族派と見られているために、現状俺は宙に浮いた存在になっている。

なので、本来なら俺の方から中立派に挨拶に行かなければならないのだが、それをしてしまうと色々と疑われてしまうので、こうして離れて見ているしか無いのだが、どこにでも浮いた存在にちょっかいをかける奴は居るもので、


「おいお前!何でこんな所に来た!お前のような下賤な者が、居ていい場所ではない!さっさと出ていけ!!」


おおー、わざわざいびりに来てくれるとは、余程の暇人なのだろう。特に名乗りも受けていないし、相手が誰かわからないので、貴族的な対応をするとしよう。

ちらっと周りを見たら、案内の人も今の所動く気はなさそうだ。


「おい!聞いているのか!チビのくせに生意気なんだ!部屋が汚れるから出ていけ!!」


リサさんが特に慌てた様子でもなく、部屋に置かれていた茶器で、俺にお茶を出してくれたので、それを飲みながら周りをうかがう。あれ?こいつの取り巻きみたいな子供は居るけど、付き添いのメイドさんかチェンバレンさんが見当たらない、居るはずなのだが?


「知っているぞ!孤児のくせに子爵家に入り込み、手柄のために部下を殺した悪党だってな!」


俺が黙っていてもイラッとしたのがわかったのか、


「下賤なお前はクズみたいな部下を、手柄の為に無駄死にさせているって、誰でも知っているぞ!」


すっと立って相手に近づく。一瞬リサさんが肩に手を置いたことで、頭が冷えた。


「まだ名乗りも受けていませんので、どちら様か存じ上げない私の不明は謝罪いたします。また無駄に部下を死なせたと言われれば、確かにそういった面も有ったかもと反省する次第です。

ですが、部下に対して酷い事を言われては、黙ってはいられませんし、彼らの死はより沢山の生の為のものであったと、確信しています。

私に関してはどの様なそしりも甘んじて受けましょう。ですが部下に対する誹謗中傷はおやめ下さい」


なんとか落ち着いて言えたと思う。誰だが知らないのに、挑発に乗って喧嘩を売ったりしたら、大変なことになるところだった。

ちらっと周りを見たら、案内の人がこちらに近づいてきた。

大事にする気がないことを示すために、俺は椅子に座りカップを持つ。


「バーカー男爵令息様、見た所少し体調がよろしくないご様子、こちらへどうぞ」

「っ何で俺様が!こいつをつまみ出せ!なんせこいつは」

「こちらへどうぞ」


なおも騒ごうとするも、有無を言わせない態度を示すと、ぐぬぬぬとか言い始めた。

こんな時に何処へ行っていたのか、馬鹿のお付きと思われる男性がやってきて、案内の人と一緒になって馬鹿を連れて行った。


その後は、なんだかしらけた感じになってしまい、どこのグループもあまり動かずに、時間になってしまった。

結局俺は誰とも交流できなかったんだが、俺の立場を思えば仕方ないのだろう。


寂しくなんて無いぞ、ボッチじゃないんだぞ…

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