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第21話 10歳までのあれこれ

あれからも色々あったが、無事に10歳になった。


エルダー伯爵に呼ばれて、兵士の増員を指示されたり、今後の街道警備の計画の提出を求められたり、俺に言うなって事ばかり言われて、仕方なく総合ギルドに募集をかけたものの、全く募集に来なくて皆に情報を集めてもらったら、スタン子爵家の評判が悪すぎた事がわかった。


エルダー伯爵にはお金もないし、評判悪すぎて無理でしたって遠回しに伝えたり、それでも頑張って少しづつ人を増やしたりもしたのだが、スタン子爵家の評判の回復と、エルダー伯爵の下請け達の反発を抑えるために、ゴブリン討伐の命令が度々来て、流石に兵士たちにも被害が出るようになり、残念ながら何人かは死んでしまったりした。


当主は一切関与してこないから、俺が葬儀に出たりお見舞金を出したりしたら、元々評判の良かった街道警備の方につられて、スタン子爵家の評判も少しは回復した。


そんなこんなでなんとか、目標の50人まで兵士を増やした所で、エルダー伯爵から街道警備の範囲を拡大されてしまった。


街道警備の範囲が広がると、どうしても必要になってくるのが荷馬車だ。


だいたい片道5日ほどかかる距離を、荷物を全部背負っていったのでは、疲れてしまうし移動も大変だ、だから荷馬車が必要なのだが、荷馬車を用意するお金がどうしても用意できなかった。


俺が直接エルダー伯爵の命令を受けるようになると、討伐命令の予算とかは、俺の方に渡してくれるようになったのだが、いかんせん全く足りない。

予算の殆どは、臨時雇と糧食の準備それに、ナメクジ荷馬車のレンタル料で消えてしまい、大した金額が残らないのもあるが、単純に荷馬車が高いのが原因だ。


荷馬車本体はそれほど高くはないのだが、荷馬車を引く馬が高いのだ。

それに、荷馬を買ってくるとその維持コストが必要になる。

馬小屋の増設や毎日の食事代、専門の御者も必要になってしまう。

そう考えると全くお金が足りず、かと言ってどっかを削るわけにも行かない。

一見すると臨時雇をやめれば良いように見えるが、これは単純な戦力の増強だけでなく、被害の軽減にも関わり、さらにはスタン子爵家の評判を上げる役目も有るため、お金がないから雇いませんって事はできない。


ではどうすればと考えた結果、ナメクジ荷馬車を利用することにした。



元々ナメクジ荷馬車の御者は、行商や荷物運びも行っていて、その間に時間があれば御者ごと貸し出しますって感じの、スキマ時間の利用だったのが、ナメクジの悪評が立った頃から、行商や荷物運びの時に護衛が雇いにくくなり、他の商人たちの隊商にも入りにくくなっていた。


街道はそこまで危険でもないのだが、護衛を一切雇わずに移動するのは、大変危険なだけでなく、信用問題にもつながるため、ナメクジ荷馬車はどうしようか悩んでいたのだった。


なのでナメクジ荷馬車の御者を、総合ギルドを介して集めて、俺がお互いの問題の解決策を示した。


内容は簡単で、街道警備の荷物を運んで貰う代わりに、兵士が一緒に行動して護衛する。

当然全部の荷台は使わないから、そこに御者が運びたいものも載せる。

荷台を半分にして俺たちも少しは、儲かりそうな荷物を運ぶ。

道中で討伐したゴブリンとかは、ナメクジのご飯にする。


みたいな感じで、ナメクジ御者も護衛がただで付いて、ナメクジのご飯も手に入り、兵士と行動することで評判の回復も狙える。

こちらも、荷馬車のお金がかからなくなるだけでなく、ついでに運んだ商品で少しは稼げて、困難に陥っているナメクジ業者を助けることで、スタン子爵家の評判回復も狙えて、一石二鳥以上の効果がウィンウィンで得られる、素敵な解決策だ。


これには総合ギルドもナメクジ御者も、一旦は疑っていたものの、取り敢えず試しにと初めた所、少し問題もあったが、軌道に乗らせることが出来た。

問題になったのは、兵士が本業以外で儲けるのはどうかって、周りから言われてしまったのと、護衛では有るものの、緊急時には兵士が離れてしまう事があったが、直接儲けるのではなく、ナメクジ御者と兵士で8:2の比率で、儲けを分けるようにしたことで、ナメクジ御者も8なら緊急時に離れるのも仕方ないと、納得してくれた。


この間俺は、総合ギルドに説明に行ったり、マーブル先生に法的問題を確認して、契約時に助けてもらったり、問題の折衝を総合ギルドにしに行ったりと、なかなか忙しかった。



こうした対応の間も、勉強したり訓練したりと頑張っている。

俺はまだ未成年で当主でもないから、街道警備については指示出しだけに徹しているから出来るが、本当に大変な日々だった。


その代わりと言って何だが、かなり動けるようになってきたし、殆どの攻撃も受け流せるようになってきた。


グロスに貰ったナイフは今も愛用していて、握りが古くなって衝撃に耐えられず割れた時も、木工店で作り直してもらったし、突きの練習をしていた時に、角度が甘くて刃が折れてしまった時も、鍛冶屋で新しいのと交換したし、受けそこなって鍔に当たり曲がった時も、鍛冶屋で打ち直してもらったり…


はたしてこれはグロスに貰ったナイフなのだろうか?


なんて考えたりもするけど、これはグロスに貰ったナイフだと、俺ははっきりと言っている。



勉強の方もマーブル先生の教え方がうまいから、初級魔法についてはだいたい使えるようになった。ついでにいくつか、自分専用の魔法も作ったが、あんまり目立ちたくないから隠れて使う事にしている。


他にも計算と読み書きに関しては、合格点を貰っているし、歴史についてもだいたい大丈夫だ。後は貴族特有の言い回しや礼儀作法等、そういった事をしっかりすれば、おそらく入学試験は大丈夫だろうと言われている。


ん?まずくね?やりすぎてね?今からでもごまかすべきか?


そうそう、最初のゴブリン討伐の時に見つけた、豪華な箱なんだけど、なんか変な書類ばかりが入っていた。

マーブル先生と一緒に開けてみたのだが、マーブル先生にもよくわからず、おそらくはなにかの暗号になっているのだが、詳しく調べるのも面倒なので、マーブル先生に預けたままだったりする。一応総合ギルドを通して、あの時の皆にも伝えたが、特に所有権も主張されなかったし、なによりゴブリン討伐の責任者は俺なので、所有権は俺にあったしね。


これについては未だに進展はない。まぁ拾ったものだし、何かあったら良いなくらいだから、あんまり思い出すこともない。


そうして、やっとゆっくり出来るななんて思っていると、必ずやってくるのが、またやってきたのだった。


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