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全知全能

作者: 櫛引祐二



生きている価値はないと言われた

犬、と揶揄された

それらが強烈な存在意義を付すのだろうか

最も信頼し合うべき者からの言動だった

命を終わらせて定義させてしまうのは違うと思った

違う、というか、そうは体が動かなかった

自分は自分を傷つけるためにあるのではないと、きっと本能で認識し、悟っていた

悟っていた、というよりも、そこを越えて考えるのが怖かった

やろうとは思えなかったし、しなかった

構築しなかった

あれこれ考える前に終わりを迎えてしまう命があった

たくさんの命があった

たくさん、命が、ある

今、たまたま生を享受していて、たまたま、たくさんの命の、最後の状況を知り得た

伝達された

いたたまれない

ただただ、いたたまれなかった

自分が近くに遺された者、または、当事者だったら、どう乗り越えるかを考えた

思いを馳せた

でも、どうにもならなかった

乗り越えられそうなものと、無理なものと

乗り越える、られない、の、観念ではないような気もした

そして、疑念が湧いた

苦しみや不幸という感情を受承するのも、その人間の使命なのではないか、と

生涯の中で、通じて、決して避けられない場合があると

悲しいけど、やり切れないけど、その人生を彩るもの

負の風情

悲しみの光彩

人は、人はじゃないな、僕は、だな

僕は、言葉に、言葉であることを破綻させるために生まれ、

言葉に、意志を、魂を吹き込むためにも生まれた

そう、生まれた

生まれる

思いを、達成するために、誰かに、何かに、思いを到達させるために、影響をさせ、昇華させるために生まれ、

思いを、宙ぶらりんのまま、頓死させ、決して届かぬ場所へ、叶わぬ時空へ、追いやるためにも生まれた

宿命





真っすぐ机に向かった

真っすぐを見つめ、紙を敷いて、ペンを手に取った


少し、時が、漂う、


ポトンと、手からペンが転がった

なにも考えつかなかった

思わなかった

でも、、、フンっと、ペンを手に取った





空高く浮かんだら、そこがどこでも関係ない

僕と、空と、世界と、心だ

高所恐怖で、股間がくすぐったい



まっさらな快晴に、千切れた薄い雲が吹かれていく

幾つかが跡を追って



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