オットセイの恩返し~襖の向こうからお爺さんの鳴き声が聞こえてくるんですが……~
しいたけ先生ェ!!!
ごめんなさい!!!!
ツルは襖の前でしばし悩んでおりました。
──オウッ!オウッ!
虎挟みで捕まっていたところを助けてもらったお礼に、お爺さん好みの熟れっ熟れフェロモンムンムンで最近旦那とご無沙汰のせいで欲求不満になっている爆乳人妻に化けて家に赴いたのはいいものの、襖の向こうからお爺さんの妙な鳴き声が聞こえてくるのです。
──オウフッ!オウフッ!
やや興奮した声をお爺さんが上げる度、畳がギシギシと音を立てているのです。
(な、何なのこの状況……!)
──ヒャー!たまらん!
お爺さんの快楽に溺れる声が聞こえてきます。
ツルは恩返しする前に探偵社に寄ってお爺さんの身辺調査を依頼していたのでお爺さんが天涯孤独の身であり愛人の類いもいないことを既に掴んでいました。
(まさか、最近になって愛人を……?)
ツルは襖に手をかけ、開けるか開けないかの瀬戸際で理性と煩悩のデュエルに耐え忍んでいます。
──オウッ!オウッ!
──オウッ!オウッ!
すると突然、お爺さんの鳴き声に混じってオットセイの鳴き声も聞こえてきたではありませんか。
─ガラッ!!
辛抱たまらずツルが襖を開け放つと、そこには大きなオットセイの背中をクッション代わりにしてくつろいでいるお爺さんの姿があったのです。
「オウッ!この柔らかな触感、たまらん!」
お爺さんは言います。
ここにきてようやくツルには理解できました。オットセイも、このお爺さんに助けてもらった恩返しにやってきたのだと。
ツルもオットセイも、お爺さんという優しい虎挟みに引っ掛かったもの同士だったというわけです。
おしまい。
追記:秋の桜子 様よりFAを頂きました!ここに張り付けて自慢します!!!
秋の桜子 様、素敵な贈り物をありがとうございます。