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12話 皆の心がメンタルブレイク

 俺は6才になった。(アル)は3歳9ヶ月だ。


 アルは、なんと言うか……シスコンに育ってしまった。ずっと俺にベットリなのだ。いや、まだアルは4才にもなってないから、これが普通なのか?


 ずっと俺に着いてきて、俺が何かやるごとに「スゴイ!」って言ってきて目を輝かせているのはシスコンじゃないのか?

………前世で独りっ子だった俺には分からないが。


 今はアルにキリシス語を教えている。アルは去年までは興味が無かったようなのだが、急にやりたいと言い始めたのだ。


 というのも、去年フィーネ達が来てくれたのだが、そこでキリシス語をペラペラと話す俺に憧れたらしい。まあ、知らない言葉を使える人はカッコいいからな(自画自賛)。憧れるのも仕方ないかもしれない。

 

 パピーとマミーはどうしているのかと言うと、俺がアルに教えているところを、いつかのドラ◯もんのような生暖かい目で見ていた。

 パピーが、少し、いやかなり気持ち悪かった。


 因みに俺は今でも地獄のトレーニングを続けており、内容は最初の倍にまでなっている。徐々に増やしてきた結果がこれだ。


 魔法に関してもそうだ。今では土魔法Lv9 風魔法Lv10にまで上達した。相変わらず火魔法と水魔法はLv4ではあるが、回復魔法はLv8まで使える。もっとも、上級(Lv8~)魔法は一回使っただけでMPが半分近く無くなるので今のところ使う場面はないだろうが。


 というより俺のレベルまだ1なんですけど。

 他の子供とかのステータス見たら皆最低でもレベル6にはなってるんですけど。


 

 ちょっとパピーに頼んでみるか。


「ねぇ、パピー、メルもそろそろ魔物倒しt──」

「ダメだ! 魔物を倒したかったらパピーを倒せるくらいにならんと、ホーンラビットにすら負けるぞ! 魔物はパピーを倒してからにしろ!」


 無茶言うな。そして嘘言うな。

 そんなんもう世界滅んどるわ(エセ関西弁)。


 そうだ、マミーに助け船を要求しよう。


「ねえ、マミー、パピーはあんなこと言ってるけどほん──」

「そうね。パピーの言う通りだわ。パピーがいつも狩ってきてくれるホーンラビットでも、命懸けだもの。少なくともパピーを片手で捻り潰せるくらいの力はないと、許可出来ないわ」


 無茶言うな。そして嘘言うな。

 俺が5才の時にパピーが狩ってきた魔物を忘れたとは言わさんぞ。


 ()()は、デカさは俺の家の倍、手には鋭い牙、大きな口には鋭い爪があった。そして、極めつけの容姿はラノベでも何度か見たことがある、翼のついたトカゲ…………そう、ドラゴンである(白目)。


 いや、確かに美味しかったけど。違うじゃん。そうじゃないじゃん。あれがホーンラビットよりも弱い分けないじゃん。


  というより、ドラゴンを単騎で倒せるパピーを片手で捻り潰す力? 魔王かなにかですか? いや、裏ボスでも無理だろ。


 そろそろトレーニングでは能力は伸びなくなってきたから、魔物を倒してレベルを上げてみたいと言っているのに、この始末である。


 この様子だと絶対に無理だ。

……仕方ない。あまり使いたくなかったが、そっちがそう出るなら俺も容赦はしない。あの禁断の魔法を使うことにした。

 

 俺は大きく息を吸い込む。そして。



「パピーマミー、キライ!」

「「グハァッ!?」」


 苦悶の声を洩らしながら床に沈むパピーとマミー。

……そう、これが俺が編み出した魔法──『精神崩壊(メンタルブレイク)(パピーとマミー専用)』である。


 娘から『キライ』と言われるそのダメージは計り知れない。

 パピーに至っては何故か吐血すると言う意味分からんオマケ付きである。


「め、メル……すまなかった。今度、パピーと一緒に狩りに行こうな? マミーもそれで良いな?」


「そ、それなら、もちろん……メル、無理しちゃダメよ?」


「うん、ありがとう! パピーマミー! 大好き!(解呪)」


 途端にパピーとマミーの顔色が良くなる。よし、魔物狩りの言質は取った。ミッションコンプリートだ。


 だが、言い過ぎだったとはいえさっきのパピーとマミーの言葉は俺のことを想った上でのことだから、少し心が痛いな……


 と、考えていると、今までずっと黙っていたアルが口を開いた。


「お姉ちゃん!スゴイ!」


「がはっ」


………やめてくれ我が弟よ。俺も罪悪感でメンタルブレイクしそうだから──



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