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8話 訓練と成長

 「シル──マミーと話し合って、これからの教育に妥協はしない、そういうことになった。もちろん体術にも力をいれていく。メル、それでいいな?」


「う、うん。大丈夫だよ(心配)」


 そんな会話があったのが、あの、『親の威厳ポッキリ事件』の1ヶ月後のことだった。


 俺としては嬉しい限りである。だが、娘に体術をさせるのか……結構スパルタだなこの人。いや、良いんだけどさ。


 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「良いの? メルに体術まで教えちゃっても」


「良いわけないだろう! そもそも、俺が、メルを危険な目に遭わせる筈がない!」


「え……じゃあ、どうしていきなり教えるなんて……」


「………あわよくば、修練のキツさで、諦めてくれないかな、と」


「……なるほど、分かったわ。私もスパルタでいきましょう」


「それに………」


「それに?」


「『パピーってこんなこと出来るんだぞ』って自慢したい」


「………そうね…」




 こんな会話があったことをメルは知らない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



それから一ヶ月、俺は……


(キ、キツい……)



        倒れる寸前だった。



 毎日のトレーニングでは、腹筋100回、腕立て伏せ100回、スクワット100回、ランニング10キロを課題としている。


 一体どこのワン○ンマンだよという感じだ。俺まだ2才半なんですけど。少し……いや、かなりスパルタ過ぎるではないだろうか。

 将来ハゲないか心配になってきたぞ。


 今はランニングの最中だ。前をパピーが走って、その後を着いていっている。何キロ走っているのかは知らないが、今までノンストップで走りきったことはない。


 この集落中を走り回っているので、今では、この集落の皆とは顔見知りだ。


「メルちゃーん。頑張れよ~!」

「「「がんばれ~!」」」


 今声援をくれたのは、近所に住むチャイおじさんとその子供達である。


 皆、近くを通るたびに応援してくれる。


 普通、2才半の女の子が父親に連れられて汗だくで走っているのを見かければ、『あそこの家大丈夫かしらキツすぎない?』的なことを言うと思うのだが、皆そんなことは言っていなかった。


 何故かと言うと、それはパピーが色んな意味でスゴいからである。俺が少し息が切れだしただけなのに………


『大丈夫か、メル! 辛ければ()めても良いんだぞ! どうだ!? 止めるか!?(期待の眼差し)』


 それも、泣きながら言われるのだから、どれだけ自分(オレ)のことを大切に思ってくれているのが良く分かる。

……ちょっと引いているなんて、口が裂けても言えないけど。


 もちろん俺は『続ける』と言うのだが、『そ、そうか………辛くなったらいつでも言って良いんだぞ?』と、何故か悔しそうに言うのだ。


 そんな光景が、皆には微笑ましく映るのだろう。


「よし。よくやったぞ、メル。今日のトレーニングがこれで終わりだ」


「あ、ありがとうございましたぁ………はぁ……はぁ……」


 トレーニングが終われば、必ず礼を言うのが決まりになっている。なんでかは知らないが。感謝の気持ちを忘れるなってことだろう。


「その……メル……どうだ。辛いだろ? これからもっと厳しくなるんだ。嫌になったらいつでも()めて良いん──」

「やめない」


「っ……そうか……」


 パピーは、腕で目を擦りながら去っていった。



 これが正午まで。それからはマミーと魔法の訓練である。


 もちろん、MPの関係で、ずっとは出来ない………


 と、思っていたのか?(凄み)


 なんと、マミーはMPパザー(仮)を持っていたのだ! 魔法か、それともスキルなのかは分からないが……

 そう、○ラクエをやってる人なら知っているであろうMPパザーである。


 一応説明すると、その効果は()()()M()P()()()()()()()()()()、というものだった。


 

 そんなことをしてマミーのMPが足りるのか? と最初は思っていたのだが、杞憂であった。

 なんと、この6時間、ほとんど休憩無しであるにも関わらず、マミーは涼しい顔をしていたのである!


 マミー……恐ろしい…………! こっちは何度もMPが底を尽きかけてクラクラしてるのに。

 因みにだがマミーも、パピーと同じようなことを言っていた。


「大丈夫? メル。しんどいなら、止めても良──」

「やめない。ちゃんとやる」


「そ、そう………辛くなったらいつでも言ってね?」


「うん。でも、やめない」


「…………………」



 マミーは顔を背け、目にハンカチを当てていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「俺、辛くなってきた。」


「……………私も」


「メルも結構、いや、かなりキツい筈だ。だが、諦めようとしない。頑張ってるメルを応援したい手前、諦めてほしいという気持ちもある………とても、複雑だ……」


「…………私も……」


「もう、俺はメルを応援すべきだと思っている。もちろん冒険者にはさせないが」


「そうね。うん。私もそうするわ。あの子を見守りましょう。もちろん冒険者にはさせないけど」


「………それと」


「それと?」


「メルに『ありがとうございました』って言われるの、俺に威厳がある感じがして感動する」


「………私にも言ってもらおうかしら」



 こんな会話があったのをメルは知らない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 

 さらに2ヶ月が過ぎた。


俺のステータスはこうなっている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

種族:ラクーン

名前:メル

状態:普通


Lv:1

HP:105/105

MP:78/80

SP:75/94


力:49

耐久:39

敏捷:57

器用:46

魔力:48


スキル:ステータス鑑定Lv1 シャンパーユ語Lv9 キリシス語Lv8 回復魔法Lv5 風魔法Lv7 土魔法Lv6 火魔法Lv1 水魔法Lv2 ド根性Lv-


称号:転生者


ーーーーーーーーーーーーーーーー


まあ、こんな感じだ。そう、なんか3つ増えたのだ。


 ステータス閲覧がレベル8の時に『SP(恐らくスタミナポイント)』。レベル9で『状態』が。そしてレベル10で『称号』が見れるようになった。


 ステータス鑑定については、レベル10になってからも諦めずに使ってたらなんか鑑定になってたのである。暇があればステータス閲覧使っていて良かったな。


 因みにだが、閲覧がレベル10になってから、詳細を知りたいスキルや称号について念じると、スキルや称号の説明が見れるようになった。


 例えば


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ド根性』 戦闘続行時やそれに類似する状況において、SPの減少率を少し抑える


『転生者』 転生者 (尚、この称号は他者からは鑑定されない)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 称号に関してはもうそのまんまだった。スキルには使い所が多そうだったが。


  そして早速だが鑑定を早速パピーに使ってみた。すまんなパピー。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

種族:ラクーン

名前:ガルド

状態:普通


Lv:85

HP:2124/2124

MP:65/65

SP:3014/3036


力:1386

耐久:1670

敏捷:969

器用:675

魔力:0


<Lv1では閲覧出来ない情報です>


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



………あほくさ。なんやこれ! チートやチート! チーターや!(エセ関西弁)


 いや、それにしても、ちょっとパピー強すぎないか? ちょっとバケモノ過ぎるぞ。


 一応確認のために他の人(チャイおじさん)を鑑定したら、パピーの10分の1もなかった。


 いや、チャイおじさんはチャイおじさんで低すぎないか? いや、パピーがやばすぎるだけか。


 因みにだがマミーも鑑定しようとしたら、


<鑑定が阻害されました。現段階で閲覧可能な情報はこちらです>


ーーーーーーーーーーーーーー

種族:ラクーン

ーーーーーーーーーーーーーー


 としか出なかった。恐らくではあるが鑑定阻害、とか持ってるのだろうと思われる。


 俺の親一体どうなってるんだ…………









 なんか一気に疲れたな、……今日は寝よう。




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