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71 蒸し料理と温泉

 

「この本が他国にどう関係するの?」

「うん。アキラくんは知らないかもしれないけど、この国には蒸し料理ってほとんどないんだよ。僕も一応料理人だから沢山の料理本を読んだんだけど、ほとんど無い」

「なるほどー。それならその著者(ちょしゃ)が他国人である可能性は非常に高くなりますね?」

「そこで、どうして蒸し料理ばっかりなのかなぁって僕なりに考えたんだけど……もしかしたら火山?……そっちの方から来た人じゃないのかなって?」


 火山? 何でだろ? なんとなくイメージはつくけど理屈(りくつ)は分からない。


「日本でもさ? 温泉が湧き出やすいところだと湯気が沢山出てて、それを使った蒸し料理とかがあったよね?」

「そうだっけ? 俺、あんまり旅行とか行ってないかも」


 温泉まんじゅうとかって蒸し料理? だとしたらそうなのかも……


「まぁ……温泉が湧き出るのって火山があるところでしょ? 九州の方とかは今でも……今でもっていうか僕たちが生きてた頃にも活火山があったわけだし……」


 それで火山の先に国があると予想したんだなぁ……ハヤトは頭ィィネ!


「もし仮にそれが正しければ、他国を見つけられてない理由の一つに挙げられそうですよねー。実際に火山の先は探索隊でもいけないみたいですし」

「でも温泉ってセントラルにはないの? 火山に近いのが条件ならここら辺にもありそうだけど……」

「私が知ってるのは火山の近くにある90度の熱湯が出る場所ぐらいですかねー? そんなの誰も近寄りませんし、そもそも遠いです」


 それにドラゴンがビュンビュン飛ぶ中で温泉とか入れないよな。飛んでなくても入れないだろうけど。


「……アキラくんたちがさ。魔法で火山を進んでいったりとかしたら、きっとすぐにでも他国を見つけられるんじゃないかって……」

「ん? 魔法ってなんですか?」

「あ、アキラくん教えてない……ダメだった?……」

「いや? 気にしなくていいよ」


 エラさんになら教えても良さそうだな。みんなに言いふらしたりとかはしないはず。

 でもどうやって説明しよ。


「エラさん? あの……魔法っていうのがあって……」

「魔法ですか? おとぎ話の中のやつですか? それとも……それとも?」

「まぁ、見てもらった方が早いか! えっと、その料理の本見といてください」


 閉じていた本をパラパラとめくり、適当なべージを開く。これが魔法だ!


「今のは(かぜ)ですか? この部屋は密閉してるので、そんなはずはないと思…………えー?」

「魔法です。魔法はイメージしたことがなんでも出来るようになるんです。多分、エラさんも使えるようになりますよ?」

「な、な……なんで今まで黙ってたんですか!! えーー! な、何それー?」


 エラさんは目をまん丸にしている。たまに子供っぽくなるのはなんだ! 可愛いじゃないか!


「ただ! あんまり人にこのことを言わないでほしいんです……実は変な噂もあって……」

「……どんな噂ですか?……」


 コソコソと二人で顔を少し近づけながら話す。


「魔法を使うと王様に捕まるんじゃないかっていう噂」

「えー……なるほど……えー?」

「だから……俺たちが魔法を使えるってことは内緒にしといてくれない?」

「……魔法って……イメージしたことが何でも出来るんですか?」

「うん。今は色が元に戻ってきたけど、俺の右腕も実は魔法……」


 そう。俺の右腕の色は徐々に白から普通に戻りつつある。だから今の俺は右腕だけ執拗(しつよう)に日焼け止めを塗り続けてる人みたいになってる。


「……見せてください……なるほど……触ってもいいですか?」

「いいけど、普通の腕だよ?」


 ペタペタとエラさんが腕に触ってくる。なんか照れるなぁ……


「…………分かりました……魔法ですね? 凄いなぁ……」


 感心して首を縦にブンブン振っている。見てるだけで首が痛くなりそうだ。


「これを使えばさ? 火山とかもきっと通り抜けれると思うんだよね? どうだろ」

「……魔法さえ有れば武器は要らないんですか?」

「いや……一応、魔力っていうのがあるから、魔法だけだと難しいね」

「となると鍛冶屋をもう一度ひらく必要があるんですかね?」

「そうかも……ならどっちにしろ難しいのかもなぁ」


 ハヤトの案は良かったけど、俺たちは親方の鎧や武器を失った状態だ。これで遠出(とおで)は無理がある。

 常時熱から身を守るためには魔力も相当必要になるだろう。スティーの力をまた借りることになるのかな。


「話し合いに戻りますかねー? とりあえずこれからのことを決めましょ?」

「あの、僕も一緒に話を聞いてもいいですか? 興味があって……」

「もちろん、ハヤトもありがとね。方向性が決まったような気がするよ」

「ありがと。アキラくんも凄いことに向かって頑張ってるよね?」

「……そうだ! ハヤトも外界探索隊に入る? 一応俺が隊長だからさ?」

「いいの!? 僕も隊員?」

「それならよろしくね? 新米のハヤトくん?」

「……よろしくお願いします!」


 ハヤトには悪いけど給料とかは出ない。なぜならそこまでの権限(けんげん)が隊長にはないからだ。

 ……勝手に増やして良かったのかな? まぁ……いいでしょ!


「よし! それじゃ、俺としては街に居るであろう、もしくは居たであろう他国人を探すのがいいと思ってる。どうかな?」

「私はさっき言った通り、分類分けからだと思います。ハヤトくんが予想した火山の国はどの本に書かれているのか、もしくはどこにも書かれていない国なのか?」

「僕はこのまま本を調べるのもいいと思うなぁ。沢山の人に協力して貰えばきっと凄い量の情報が手に入るはず」


 それぞれがそれぞれの考えを主張してしまっているので、これは……前と同じような展開になるのか……

 ルドリーの力を借りることになりそうだなぁ……俺は体を動かしたいよ……



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(°し=°)

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