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65 議論……ぎろん……

 

「それでですねー! 他国の人に話を聞くのはひどく難しいんです! 分かってくれましたか?!」

「そうですね……分かりました」


 部屋から出れると思ったのに、まだ出れない。行動したい……もう椅子に座るの飽きた……

 いつのまにか立ち上がって話を始めたエラさんは、身長が結構高い。もしかしたら他国の血が入ってるからなのかもしれない……そんなこと今考えてどうするんだ……


外界探索隊(がいかいたんさくたい)の目的は聞き込みなんかでは達成されません! なので行動あるのみです! エラは街の外で長期間の探検をするのが一番手っ取り早いと考えています! どうですか!」

(おい。まずは否定しろ)

「でも………………」

「お! でもなんですか!?」

「…………」

(長期間での探検をするために、必要となるであろう矢はどうやって調達(ちょうたつ)するのだ? それと食材は? 他にも問題は山積みだ、はっきり言ってやれ)

「……えっと、例えば、あの、矢とかね?……他にもご飯とかどうすんのかなぁって……」

「そうですよねー!? そこで隊長が頼りになるんじゃないですか!? 隊長は矢という資源を使うことなく、ドラゴンを倒すことが出来ると聞いてます! ご飯はドラゴンを食べればいいと思いますし、どうですかね?」

「……その、剣も長い(あいだ)使ってたら、点検(てんけん)が必要になるし、それに今はその点検してくれるはずの鍛冶屋がないから……」

「そうですね! 仮に旅の途中で損失(そんしつ)してしまった場合、私たちは野垂(のた)れ死にますよね!?」

「はい……その通りです……」

「ですよねぇー!」


 怖い! この子怖い! 大臣の百倍ぐらい変だ! ごめんなさい!

 ヤバさの方向性が違う。いや、ヤバいのか? 単に考えすぎてるだけじゃないのか?……頭がバグりそうだ……

 てかこの人ずっと布を顔に巻き付けながら喋ってるけど暑くないのかな。相当おしゃべりなのになんでそんなの巻いてるんだろ?


「口の辺り暑くないんですか? 喋り続けてますけど……」

「あぁー、確かにー。ちょっと布変えるからちょっとだけ一人にしてもらっていい?」

「じゃあ、部屋の外に居るんで、終わったら呼んでください」

「はーい!」


 なんか知らんが、部屋から出れた。俺もリラックスしとこう……


(おそらくいくら提案しても話は進まないぞ?)

「……ならどうすんの?……」

(指示すればいい。お前が上の立場なんだろ?)

「……でも、それでもアレコレ言われそうじゃない?……」

(我は最初の案が一番マシだと思うがな)

「……図書館に行くやつ? それで行く?」

(もちろん否定されるだろうが、粘り強く推していけばなんとかなるはずだ)

「……分かった……アドバイスよろしくね?」

(もちろん)

「はーい! 終わったよぉー」


 部屋の中から声が聞こえてきたので、入ると朱色(しゅいろ)の布を巻いているミラが居た。よし、頑張って会話を進めよう。


「君さぁ? 独り言(ひとりごと)凄い人? 私もそうなんだよねー」

「あ、聞こえてました?」

「ちょっとね? それじゃあ話し合いに戻ろうか」

「そのことなんですけど……やっぱり図書館で調べ物しませんか?……いや、調べ物します!」

「……あぁ……そうですねー、でも、さっき言った通り他国人を名乗る人って自称他国人が大半なんです。なので本に書かれている他国の情報もそういう自称他国人による創作であることが多いんですよねー」

「……」

(コイツは自分のことを本当に他国の血を引いてると思っている。つまりはあれだけ大量の本の中にはきっと本物について書かれたものがあると思っていてもおかしくない)

「……そうだよね。だけど、実際君みたいに本当の他国の血を引いてる人もいるわけじゃない? そういう人について書かれた本もあるんじゃないかな?」

「それもさっき言ったんですけど、本当の他国の人は隠れて生きてる人なんです。そんな人がどうして自分のことを本に残すんですか?」

「………………」


 情けない……なにも思いつかない……ルドリー! 助けてー! ルドリーの力が欲しいよぉー!


(……例えば……他人について書かれていた場合はどうだろうか? (よう)するに自分のことを記録に残す目的で書かれたものではなく、こんな人がいたんだというのを記録に残す目的だった場合は他国人についての記述があってもおかしくない)

「えっとぉ、なんだろ。隠れて生きていたはずなのに、バレたりとかして、それで書かれちゃったりみたいな?」

「第三者による記述ですか? なるほど……でもそうなったら場合、本を探す範囲(はんい)っていうのはさっきよりも圧倒的に広くなってしまいませんか?」

「あ! それなら俺の友達が本好きだから、いや! 本好きな人に聞いてみたらいいんじゃない? よし! もう行こうよ!」

「ただ、その判断はどうやってするんでしょう? これは本物でこれは偽物だという判断は?」

「…………」

(お前は異世界から来たんだろ? それを元に判断するとかなんとか言え!)

「俺はぁー。異世界から来たからー、そういうのには敏感(びんかん)だと思うんだよねーー……」

「うーーーん……ふぅ……楽しかったですね! 今日も朝まで大臣と外界探索隊について話してて……いやぁー! いい話し合いが出来たと思います! 思いませんか!?」

「思いますしおす……えっと……それじゃあ、今度こそ本当に行こう!」

「はい! 楽しみですねー?」

(おつかれ)


 あばばばばばばば………頭がおかしくなるかと思った……

 やっと作業に入れるぞ! と思ってみた空はオレンジだった……あばばばば………………






読んでいただきありがとうございました!


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