59 力が欲しいか……
空飛ぶドラゴンも気になるが、やらなきゃいけないこともある。その問題を解決するための方法は微妙に思いつかないままだった。
「それにしてもどうやって空飛んだんですか? 不思議……」
「喋るドラゴンに会った時に、普通のドラゴンも意思疎通出来るんじゃないかって思ってさ、色々試してたの。でも本格的に始めたのはルドリー君が頭に入ってきた時ぐらいからだね」
「結構最近ですね。いや、そんなでもないか……」
「まぁ、スティーもいるからさ。別に難しいことじゃなかったよ」
「そっか、いや、でも凄いですよ!」
「そう? ははは!」
ドラゴンと会話できるのは、俺も慣れてきた。でもそれは一部の長生きドラゴンだけの話だと思ってた。
考えてみればドラゴンも敵キャラとかじゃなくて生きてるんだよな。当たり前といえば当たり前だけど。
……殺しづらくなったりすんのかな……どうなんだろ?
「それじゃ、俺は帰ります」
「ドラゴンに乗りたくなったらまた来てよ。いつでも大丈夫だからさ!」
「まぁ、そん時はよろしくお願いします」
さてと……これからどうしよ。
王子様はまだ機嫌直してないみたいだし、俺に出来ることもそんなにないし、どうしよ……
いつまでも同じような悩みを抱え続けたまま、街の中をプラプラと散歩する。
人気のないところに行くとルドリーが話しかけてきた。
(暇なのか?)
「うーん……暇だね」
(暇なら狩りにでも行こうじゃないか? ダメか?)
「帰って寝たい気分だけど……それもいいかもね」
(……前にも話したが、我の力を許可するつもりはないか?)
「許可するとどうなるの?」
確かグェールと戦ってた最中になんかゴチャゴチャ言ってたよな……
あの時はスティーが助けてくれたけど、なんだったんだアレ?
(我がお前の肉体を操れるようになる。その代わりに……)
「代わりに?」
(我の力の全てをお前は使えるようになる。悪くはないだろう?)
操れるようになる…………ドラゴンに肉体を預けて本当に大丈夫なのか? そもそもこれ以上の力なんて……でもルドリー良い奴だしな……多分。
「今んとこ力はそんなにいらないかな。力じゃなくて権力が欲しいわ」
(ならば話は早い。弓矢でドラゴンを倒せばお前も王に気に入られるのではないか?)
「今更? でも……確かにあり得るのかな……」
俺には弓矢が使えない。そのせいでドラゴンを倒してる割には全然出世とか、なんか王様と対談? とか対話とか出来てない。
そもそも弓で倒したところでそんなこと出来んの?って疑問は果てしないほどあるが、今は藁にも縋りたいような気分ですねぇ。うん。
「やってみようかな。許可って何すればいい?」
(心の底から我の力を求めるんだ。お前にとって今の生活は納得のいくものではないんだろ? それをどうにかして思い通りにしたいんだろ? ならば今までとはまったく違う力が必要になるんじゃないか?)
「力ねぇ……」
そんなこと言われてもどうやればいいんだ? ルドリーの力をくれ!……いやぁ……無理だな、出来ない。
てか、地味にルドリー怖いこと言ってるな。もしかして許可したら体が乗っ取られるとかないよね?
「出来ないっぽい。そこまで力が欲しいわけじゃないのかも……」
(……ふはは! それならそれでも良い。いつか必要になった時は我の力を求めてくれ)
笑ってる。本当に善意で言ってくれてんのか、それとも悪魔的にたぶらかそうとしてんのかがよく分からん!
俺がそう思ってるってことが、ルドリーに力を許可出来ない理由なのかもな。
帰りに鍛冶屋を寄る。この前、いきなり入って驚かせちゃったから外から声でもかけておこうかな。
そういえば全然グェール、話しかけてこなくなっちゃったな。親方と何話してんだろ?
「親方……今、大丈夫ですか?」
「だ、ダメだ! マッテ!」
「え? なんか……どうしたんですか??」
「ウワ!! ソトイクゾ!! メシクウゾ!」
(あぁ、グェールの力を許可したみたいだな。まさかアイツが先にやるとは……)
「え!? 親方!! 大丈夫ですか!?」
「ヤッターーー!! デキタゾ!! アルケルゾ!!」
鍛冶屋の扉を開けると半裸の状態で外に行こうとしてる親方が居た……しかも両手に剣を持っている。これは止めなければ!
これはグェールが外行こうとしてるけど、親方の理性がそれを止めてるって感じか? 右足が宙でプルプルと震えている。
「あ、お、親方!!」
「オマエ! なんでアケタ!」
「俺も協力します! とりあえず……押さえつけよう!」
出来るだけ素肌に触れないように、布の部分を押さえるが、力が強い!
ちゃんと体全体を押さえないと無理そうだぁ……どうすれば……
「オマエ! ジャマすんなよ!」
「……うぐぐ! このまま外出たらダメですよ!」
力が強い!! 流石に俺の方が前線で戦ってるから力はあると思ってたけど、そんなこともないのか? いや、ルドリーがそんな感じのこと言ってたな。グェールの力も加わってるってことか?
「ルドリー! どうしたらいい!?」
(お前も我の力を使うか?)
「そればっかりだな! さっき出来なかったじゃん!」
(はは! お前らは魔法を使うと眠たくなるんだろ? ならばなんとか話しかけて魔法を使って貰えば良い)
「なるほど! ルドリーって頭良いよな!」
ホント頭良い。良いから怖いんだけど……いや、怖い? 怖いと思ってはないくない? そんな……そんなことはどうでもいい!! 親方の身が危ない!!
「親方!! 聞こえますか!?」
「ソトイクゾ!! アソブゾ!!」
「親方!!! 魔法使ってください!!」
「ナゼダ!!」
もしかして聞こえてる?……俺はもう素肌に触れないとか関係なく、親方に抱きついて動きを押さえ込んでいる。これ誰かに見られたら鍛冶屋も終わりだな……
「魔法を使って疲れてください!! そうしたら動かなくなるはずです!!」
「メシーー!! ハラヘッタ!!……」
親方は魔法を使ってリアルなウサギの置物を作り出した……キャワィィ!
それは鍛冶屋の中でドンドン増殖していって、棚やら何やらが隅に押しやられていく。
あぁ、元々汚かったけど、さらに汚くなってきた。これ片付けるのはプロに任せないと無理だな……
「その調子です……ドンドン増やしてください……」
「ツカレタ!! ヤメロ!」
(……そういえばここには爆発物があるんじゃないのか? こんなにめちゃくちゃにして大丈夫なのか?)
「あ!! そうか! ヤベェ……」
親方の力も弱まってるし、離して大丈夫か? 魔法の縄で縛っとこ。最初から魔法で良かった気も……
グルグルと縄で縛る。すると動けなくなった親方は目を瞑って床で眠り始めた。よし!
目的のグェールの鱗を探し始めようとした時、棚がウサギのせいで倒れてしまった……オーマイガー……
ドカーン!!
鍛冶屋は無事……爆発して建物は倒壊した……ギリギリで親方を助けることは出来たが、俺の服もボロボロになって、もはや裸だ。
半裸の親方をほぼ裸の俺が抱きかかえている。
誰にもバレないように魔法で姿を消して我が家に帰った。
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