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6 名誉ある栄光の素晴らしい大臣の部屋

 

 王様に言われた通り、部屋を出てから右に曲がりまっすぐ進む。しかしどこまで行けば大臣の部屋なのか詳細(しょうさい)は教えてくれなかったので心配しながら行くと明らかにおかしな部屋を一つ見つけた。


  名誉ある栄光の素晴らしい大臣の部屋!


 何だこの部屋は? 扉がカラフルな小麦粉をぶちまけたように汚れている。おそらくこれが大臣の部屋だろうけれど本当に入って良いのだろうか?

 やばい匂いしかしない……明らかに異質(いしつ)だ。

 部屋の前で入るか迷っていると汚れた部屋の扉が開いて中から人が出て来た。


「はへはへはへはへ、、、、

 はへはへはへ、、、」


 全身にカラフルな汚れのついた男が奇声を上げながらこちらに歩いて来た。それに目を合わせないようにしていると


「ぃやあ! 君はぁ、誰だイィィィィ!!」


 ついに話しかけられてしまった……とりあえず答える。


「あの、俺は、王様から大臣に会うように言われて……よろし……」

「あぁぁぁ! そうかーぁぁ僕に用があるんだねぇ、!」


 食い気味に答えられる。

 早く要件を言って帰ろうと話を始める。


「あのー、この街で働きたいんですけど」

「わかったぁぁ、君ぃ! いままでわ無職だったのかぁ!」


 あんまり大きな声で言わないでほしい……


「分かったよぉ〜、それはぁ僕の仕事だぁ! 僕の部屋においで!」


 素晴らしい大臣の部屋に入ってみると色々なところからカラフルな煙が立っており、吸ってしまって良いのか不安になる。


「ここにぃぃい、座ってくれたまえ! はへはへはへ、、」


 またあの笑い方だ。王様には悪いがもう帰ってしまおうか……


「ドーヒィた? 座らないのか?」


 あぁもう身をまかせるしかないかもしれないと思い、出された椅子に座ろうとするがこれまためちゃくちゃ汚れている。すこし手で汚れを払ってから腰を落とす。


「さっそくだがぁ! 君にぴったりノォ仕事があるんだ! ちょっっとだげぇ待ってくれ?!」


 一体何をすることになるんだろう……


「この煙を吸ってほしいんだよぉ〜。これは甘い甘い香りがしてとっっても素敵ぃなぁんだよぉー!!!!」


 ガラスのような容器からモクモクと煙が上がっている。まさか……この人、やばいおクスリをやってるのでは? どうりで話し方も変だし……そうなるとこの煙は本当に吸っても良いのだろうか?

 いや……ダメだ! 今すぐこの場から離れよう!!

 あぁ、でもどうやってぇ!!


「あの……すみません……ちょっと、いやぁ」


 ためらっていると大臣が容器を顔に押し付けて来た!


「スエエーースエエーー!」


 押し付けられた容器からついに煙を吸ってしまった!


 あぁぁ、、ほんとうにあまいまあいかおりだぁぁ、、

 あーわらいだしたくなるなぁ、


「はへはへはへはへ、、、、

 はへはへはへはへ、、、、」


 そのままいしきがとおのきあたまがはたららくなってしまった………


「「はへはへへへはへはへ、、、、

 はへはへはははへはへへへはははへへ、、、」」




 いつの間にか肩にブランケットがかかっていた。


「またやってしまったかぁぁ。はぁー……あ、目が覚めた? いやー悪かったね、僕のミスだよ、ごめんね?」


 さっきまでとは比べ物にならないくらいまともな人だった。ほんとうに同一人物なのだろうか?


「僕の趣味はドラゴンの研究でね。今の煙も実験の一つなんだ」

「あの煙は一体何だったんですか?」

「ドラゴンのうろこを粉末にしたものに火をつけたらカラフルな煙が立ったから好奇心で吸ってみたんだよ。そしたらあんなことになっちゃったんだ」


 笑いながら言っているがそんな煙は絶対吸ってはいけないと思う。


「危なくないですか? そんなこと」

「でもねぇ、良いことも分かったんだよ。ドラゴンの種類によって立つ煙の質が違うってことが今回のことで分かったんだ!」

「なんで今回の事でそんなことがわかるんですか?」

「今までも沢山のドラゴンの煙を吸ってみたんだけどね! これまではなんだか怒りっぽくなったりとか、肩こりが楽になったりとか、はっきり言って煙の効果なのか僕の体質なのかがよく分かってなったんだけど」


 これまでも沢山の煙を吸っていたのか……

 やっぱりやばい人かもしれん……


「今回は煙を吸った直後からはっきりと! 意識が遠のいてだんだんと頭が働かなくなっていったし、それに僕だけじゃなくて君も一緒に吸ってくれたしね!!」


 吸いたくて吸ったんじゃなくて完全に吸わされていたけど……


「お役に立てたならうれしいです……」

「協力してくれてほんとうにありがとう! それでね、詳しい話を聞かせてほしいんだけど大丈夫かい?」


 そろそろ本題に入らないと一生帰れないかもしれないと思ったのでこちらの要件を伝えた。


「もちろん僕が覚えてることはお話させていただきたいんですけどあの、王様に仕事を大臣から紹介してもらえるって……」

「あぁ! それならぴったりの仕事があるよ!」


 なんだか聞いた覚えのある言葉だけど大丈夫だろうか?


「ずっと鍛冶屋さんが不足していてねぇ。今すぐにでも誰か働いてほしいんだよ!」


 思ったよりもまともな就職先だったな。でも鍛冶屋か、まぁ元の世界でも大変なバイトをやったことあるしなんとかなるかな?


「明日また僕の部屋に来てよ! その時までに手続きを済ませておくからさ!」

「あっはい分かりました! それでは俺はこれで失礼します!」

「また明日ね! さよなら〜」


 マトモな人だと一瞬思ったがやっぱりやばい人だった。またこの部屋に来ることになってしまったが思ったよりも仕事が順調に決まったことだけは安心できた。

 明日に備えてこれからのことをカエデさんと合流してから考えようと思っているとある事に気付いてしまった。


「待ち合わせ場所決めるの忘れた……」


 どうやらこれからまだまだ急がしくなりそうだ。



読んでいただきありがとうございました!


よろしければ下の☆マークから評価の方をしていただけると、嬉しいです!


ありがとうございました!

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