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異世界人13

 

 ある日、スティーが大騒(おおさわ)ぎし出した。


『ぉおい! とんでもない魔力が近づいてきてるぞ!?』

「なにそれ?」

『山みたいにバカでかいぞ! 街に近づいてる!』

「見てみる?」


 なんのことを言ってるか確かめるために空を飛んだ。フワフワと浮かびながら、遠くを眺めているとマジでバカでかいドラゴンがいた。


「キモっ! 首二つあんじゃん!」

『うあ! キモい! 目がギョロギョロしててヤバそうだな』


 全身に真っ黒な(うろこ)(まと)った生物がいた。二つの首の先にはトカゲの頭が付いているのに、首から下はほぼニワトリだ。しかし鱗がテカテカと輝いていてモフモフとした感じはない。


 太陽光に反射してギラギラと光っているその姿はどこかゴキブリを思い出させた。

 ここからでは正確な大きさは(つか)めないが、ニワトリはそこら(へん)の山なんかより何倍も大きい気もする……マジか。


『おい! 街に知らせに行くぞ!』

「ここから大声で叫んだら良くない?」

『そんなの誰も信用しねーわ! ほら行くぞ!』


 空をぶっ飛んで、まず一番近くのエドワードのところに行く。みんなの注目を集めるために空中で爆音を鳴らした。


「おーい。危ないから逃げたほうがいいぞー」

「レイか!? 何があったんだ? さっきの音は?」

『おっさん! ちょっとこっち来てくれ!』


 エドワードが(ちゅう)に浮かんで俺たちと同じ高さにきた。俺が指差した方向にキモいニワトリがいること、そしてそれがこっちの方向に歩いてきていることに気付くと顔面蒼白(そうはく)になりながらも、口を(ひら)いた。


「君! まずはありがとう! そして降ろしてくれないか!? みなを避難(ひなん)させなければ……」

「俺はフータのところにも行くんで、ここは任せてもいいですか?」

「あぁ! もし、余裕があったら他の小さな集落にも連絡してほしい……」

「ならやっときます」


 エドワードを地面に戻した後、俺は体を分身させる。その分身に俺を知ってる限りの人の住む場所を(めぐ)らせた。そして本物の俺はフータの街へと急いだ。


 道中、空を飛んでいたドラゴンを捕まえた。口を大きく開けて、1メートルほど大きさのドラゴンを丸呑みにする。


「フータ!! おーい!!」


 空から聞こえる声に街のみんなが振り向く。異常なまでの悲鳴が上がったので、不思議に思っていると顔がデカいままだった。元のサイズに戻したところでフータが下から声をかけてきた。


「どうした! 何かあったのか!」

「空飛べる? 飛べるなら来れる?」

「そんなに高くは飛べない! 君が飛ばしてくれないか?」


 フータを飛ばしてここまで持ってくる。さっきと同じようにみんなを避難させるよう指示した。しかしさっきよりも近くに来たニワトリはより不気味だ。胴体と首から先のバランスがおかしくて頭が触覚(しょっかく)みたいに見える。

 左右それぞれ自由に動くその頭は胴体とは違う生き物が(あやつ)ってるみたいだった。


『フータ! 俺たちが足止めしておくから、ここは任せたぞ!』

「俺も?」

「当たり前だろ!」


 大きな音とか立てて注意を引きつけると、もしかしたら街と逆方向に移動させることも出来るかもしれない。


「……こんなこと言っていいのか微妙だけど……楽しいね」

『俺もそう思ってたよ! 行くぞ!』


 空中で爆音を鳴らす。するとニワトリの重く()れる首が気怠(けだる)そうにこっちを向き、トカゲの目がギロリと俺を見た。そこに挑発(ちょうはつ)代わりに火の玉をぶつけると今度は全身が俺たちの方を向いた。


「よし! やるか!」


 山みたいに大きなドラゴンの短い脚が猛スピードで動き、俺たちに走って来た。

 ……思ったよりヤバそうだなぁ……



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