異世界人4
滝の辺りをボンヤリと歩いていると洞窟を見つけた。即席の松明を作り、中に入っていく。ここに来てから刺激が何もなかったからこういうのはありがたい……
火花をチラチラと散らしながら暗闇を進んでいくと川があったので水を飲む。休憩していると洞穴の奥からドラゴンが数匹出てきた。それに火花の要領で小さな火の玉を作り、それを飛ばして何とか全員殺す……
「お腹減った……」
さっき殺したドラゴンを丸焼きにしてかぶりつく。丸ごと全部平らげるといつもの如く眠気がやってきたが流石にここで寝るのはホントにダメだ……
それでも眠気に負けて寝た。
『おい! だれだ!』
「え?」
キラキラとした声に起こされたと思うと空中に白い光が浮かんでいる……
『だれだって聞いてんだろ!』
「レイだけど……」
『レイな! 分かった! ところでここで何してたんだ?』
「暇つぶしに洞窟探検してただけ……」
『魔力を感じてやってきたらただの人間じゃねーか! とっとと出てけよ!』
魔力って俺がやってる火のやつかな……てかお腹減った……
「分かった出てくよ。その前にちょっと水飲ませてくれ」
洞窟内が真っ暗だったので火花を目の前に散らせる。水が反射してキラキラと輝いたのでそこに向かっていった。
『お前! 魔法使えるんじゃねーかよ! 先に言えよ!』
「まぁ……一応使えるよ」
『お前……よく見たら空っぽじゃん! 俺が薬取ってきてやるよ!』
俺の周りをウロチョロしていた光の玉は洞窟の奥へと消えていってしまった。ソイツが消えた後にドラゴンが天井から俺に落っこちてきた。
極力少ない力で火の玉を作り、ドラゴンに押し当てる。鼓膜を破るぐらい大きな悲鳴が洞窟内に響いた。
「……しょうがない、生で食べるか……」
焼けただれた鱗を剥がしてそこをムシャムシャと食べ始める。外側は焦げていたが内側は完全に生だ。これはこれで美味いんだけど腹壊すんだよな。
『なんだ!? なんの悲鳴だ!?』
光の玉が帰ってきた。
「ん? ドラゴン倒したんだよ」
『おぉ! スゲェ魔力回復してる!』
光の玉は俺の近くをグルグルと回ってからこう言ってきた。
『ちょっと着いてってもいいか? どうせすぐ帰るからさ!』
「いいよ。俺も暇すぎて死にそうだったんだ」
光の玉を連れて洞窟を出て行く。中に入ってみてよかったかもな。
「名前とかあんの?」
『スティー! スティーって呼んでくれ!』
「スティー? まぁよろしくな」
この世界で初めて話せるやつと会えたな。
洞窟を出て行くと夜になっていたがスティーがピカピカ光るので俺は余計な力を使わずに滝に戻れた。
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