33 新居はここだよ
荷車に荷物を載せ、我が家へと向かう。ワクワクしてきたなぁ。
だって十代のうちに持ち家をゲットできるなんて思わなかったし、それに前見た時は汚かったがスゲー広い家だったので今からいろんな妄想が膨らむ。
アイラのとこの雑貨屋にあった置き物をドコドコを家に置いてみようかな? それをするお金の余裕はあるし、それをするだけの家の広さがある。
「お邪魔しまーす」
我が家だがなぜか声を掛けてから上がる。ガタガタで真っ黒に汚れていた床はワックスでも引いたのかと思うぐらいピカピカしてた。流石はプロといったところか……
玄関よりも奥に進む。台所があったので水が出るか確かめてみると……出た。
二階に上がり、色んな妄想を始める。自分の部屋はあそこにするだの、なんだの、こうだの、色々考えた結果、今日は親方の家に泊まらせてもらうことにした。
なぜなら二階に寝室を作りたいのだが、今日いきなりベッドを二階に運ぶのはめんどい。
ならば一階に仮置きしたり、布団で寝たりなど色々な案もあると思ったがお別れもせずに今まで寝ていた場所を離れるのが寂しくなってしまったというのが一番大きな理由だった。
荷車の荷物は家の脇にある小さなスペースに置いておくことにした。やろうと思えばここに菜園を作ることもできるかも知れない。多分やらないけど……
まぁ、帰るか。ポトポトと道を一人で歩いて帰宅をする。こんなに近いと寂しいとかもあんまりないな。うん、だって徒歩で5分もかからんし。
「ただいま」
「お、どこ行ってたんだ?」
「家が出来たみたいなんで、見に行ってきました」
「そうか! それは良かったな!」
「なんで、明日から向こうに移ります。今までお世話になりました」
とりあえず挨拶は済ませた。これからも別にお世話になりはするんだけど一応の区切りとしてこういうことを言っておいた。
さて、カエデさんにも知らせないといけないけど本当に毎日忙しそうで今日の夜も会えるか分からないんだよな。
だから明日の朝早くに起きてその時に家が綺麗になったことを知らせよう。それぐらいしか話すタイミングが中々ないから。
そうとなれば今日は早いとこ寝ることにしようか。さっさと寝支度を済ませるといつもよりはうるさい部屋の中で寝た。
そして起きた。まだ日が昇りかけている朝。布団を引っ剥がして外に出ていくも流石にまだカエデさんは起きていない。さて、暇になった。しょうがないので新居に行こうかと迷ったが、その間に入れ違いみたいになっても嫌なので椅子に座って待つことに……zzz
「……おはようございます……あれ? どうしたんですか?」
「……お、おはよう……」
いつのまにか寝ていたみたいだ。最近眠いんだよなぁ。
「私もう行きますけど、大丈夫ですか?」
「あ! そうだ。カエデに用があったんだよ」
「?なんですか?」
「あの、家がさ、リフォーム出来たらしいからもしアレだったら移る?」
「おめでとうございます! そうなんですね!……でも……」
言い淀んでいる様子だ。一体なぜ!
「もう少し私この家にお世話になってもいいでしょうか? ミリアさんには私から話をしておくので」
「え? そうなの?」
「すみません。引越しとかする余裕がなくて……」
「うーん。それなら俺が全部運んじゃおうか?」
「いや、申し訳ないです……」
会話の途中からカエデさんがなんだかアセアセしてきたので時間が気になってるのかも知れない。今度ちゃんと話すとして、今のところは話を打ち切った方がいいかもしれない。
「分かった。呼び止めてごめんね? 仕事頑張って」
「こちらこそすみません……それじゃいってきます!」
「いってらっしゃーい」
初めて会った時よりも距離感がある気がするのは気のせいか? 気のせいであって欲しいけど気のせいじゃない気がする。どうしよっかなーえー。
そこそこ困ってしまった。こんなに話す時間がないとなると色々困ってしまう。
ひとまず今はちゃんと寝よう。今日は引越しの予定だから重たい物を運んだりするだろうし、寝不足のままじゃ危ない。いや、ただただ眠たいだけだけど。
起きてから早速作業に取り掛かる。意外と楽に終わって今日にも住めるような感じになった。親方に挨拶を再びしてから移住することになった。
目の前にさっきまで住んでいた親方の家がある。なのであんまり引越した感はないかもしれないがピカピカの家にこれから住むのだと思うとワックワクした。
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