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31 なんだか仲良さそうだなぁ

 

「あれ? 大臣背ぇ伸びてません?」

「そうなんだよ、よく気付いたね? 服の丈が合わなくなってきちゃってさ」


 山登りをした後はいつも通りの日常に戻っていた。なので非日常の(かたまり)みたいな大臣に会うこともなかったんだけど、久々に会ったらちょっと体格とかが良くなってる気がする。


「でも君もだいぶ(たくま)しくなったよね。最初あった時……なんかヒョロヒョロだったもんね」

「まぁ、成長期なんで……あとこの世界ってドラゴンとか食べるじゃないですか? それのせいで最初は太りそうになっちゃってました」

「うーん……何で背が伸びたんだろ……もしかしてアレのせいかな?」

「煙ですか?」

「うん」


 確かにあんだけ気持ちに変化があったり、力が強くなったりするなら身体(しんたい)にも影響はあるかもしれない。

 考えてみればドラゴンの(うろこ)を吸ってるわけだからなぁ。


「よし! 決めた!」

「どうしたんですか?」

「今から鱗を食べてみることにするよ!」

「えぇ?」

「だって煙を吸うことによって身体が強くなってるかもしれないんでしょ? それならその大元(おおもと)の鱗を食べたらもっとわかりやすく効果が出るんじゃないかな?」

「硬くて食べれないんじゃないですか?」

「大丈夫だよ」


 大臣は棚に置いてあった赤の粉を手ですくって、口に入れ出した。


「あぁ! 大丈夫ですか!」

「ゴボ! むせちゃった……これ水がないと飲めないね」


 大臣は水を持ってくると粉薬(こなぐすり)を飲むみたいに鱗の粉を飲み込んだ。


「大丈夫ですか?」

「おぉ! すごい! 全身が熱い!」


 ここからでも身体が熱気(ねっき)を感じられるほど大臣の体は熱くなっていた。ホントに大丈夫なんだろうか?


「これ、最初から飲んだら良かったんだ。うん。絶対飲んだ方が効果出るよ」

「……そろそろ本気でやめた方がいいんじゃないですか? だって絶対体に良くないですよ」

「そう? まぁ、どっちでもいいよ。君も飲んでみる?」

「いや! 流石にそれは無理です! 煙ならまだいいですけど粉を飲み込むのはちょっと……」

「まぁ、でもきっと必要になる時が来るよ。多分ね」


 もしかしたらそんな時もあるかもしれない、うん。この間めちゃくちゃ煙吸ったし。


「まぁ、俺もう帰りますね。また来ます」

「うん! それじゃまた」


 あの人は怖いとかっていう感情がないのかな。

 城から出る前にカエデさんの様子を見に行こうと考えた。確か前に部屋の場所を教えてもらったことがあったはずだけど、忘れちゃったなぁ。

 この人に聞いてみるか。


「あの、すみません」

「ん? なんだ? 何の用だ?」

「カエデって人知ってます?」

「んん? 確か王子の世話をしている?」

「あ、そうです。その人にちょっと会うことって出来ます?」

「うーん……ダメだ! 王子に近づけるわけにはいかない」

「ダメですか……」


 俺みたいな奴がいきなり会いたいって言って会えるような人でもないか。でも何で王子の世話することになったんだろうな。


「それじゃ帰ります。時間取らせてすみません」

「君の頑張りは聞いてるよ! 今度二人で飲みたいな?」

「ははは。そうですね」


 そうか無理かぁ。会えないとわかったので城から出て行く。道中でちょっとした雑貨屋に入った。

 この世界には割と文化があってこういう民族品みたいなものを売ってる店がよくある。


「いらっしゃい」


 眠たそうな女性がこちらを見ずに接客してくれた。俺は棚に(かざ)ってあるキラキラと輝く宝石に目が入った。


「これ買います」


 お金には困ってないので気に入ったものはすぐに購入する。ドラゴン狩りのストレスを発散するのに買い物はちょうどいい。


「また来てね」


 そこそこ高い買い物だったのだけど変わらず低いテンションで眠そうだった。まぁ、なんでもいいけどさ。


 親方の家に入ろうとしていると川の向こうの我が家で作業をしているところが目に入った。てか、まだなのかな? 俺がここに来てから大分経ったような気がするんだけど……

 そんな風に家の進捗状況しんちょくじょうきょうについて想いを()せていると家の中から親方が誰かと話してるのが聞こえてきた。

 しかも相手は大工の人の声だ。あの背が高くて色白で今にも死にそうだった大工がこの家にいるということはなにかあったのだろうか?


「ただいま帰りました」

「お! ちょうどいいな帰ってきたみたいだぞ」

「……どうも……」

「あ、こちらこそお久しぶりです」


 相変わらず元気がないな。何食べてるんだろ。


「……遅くなって申し訳ないね……臨時(りんじ)の工事が二つも入ったからさ……」

「そうなんですね……それってこの川沿いの家ですか?」

「……そうだ……」


 あの二人も頼んだのかな? 俺が手伝うことになってたような気もするけど……まぁ、それぐらいの余裕は二人ともあるか。


「……明日には終わっているから……」

「ん? 工事がですか?」

「そうだ……早ければ今日の夜にでも帰れるよ……遅くなってすまない……」

「いや! 全然大丈夫です!」


 やっと我が家に住めるのか。今まで親方にもだいぶ世話になってきたなぁ。寂しい気持ちも湧いてきた。


「あ、アーノルドさん? どうかしたんですか?」


 声の主はハヤトだ。あれ? この二人知り合い?

 俺はちょっと不意を突かれてしまって驚いた。だって何の繋がりがあるんだろうか?


 俺の知らない間に色々なことが起こっている。何かコワ。



読んでいただきありがとうございました!


よろしければ下の☆マークから評価等、よろしくお願いします!


ありがとうございます!

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