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異世界で、なんか、流されるように生きている  作者: 豚煮豚


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230 退龍鐘

 

 結局、俺だけ街の外に出ることになった。この本の保管をしておいてほしいというのだ。まぁ、本棚でも作れば良いってことなのかな?

 それにしてもこんなに沢山の本を持ってきたらバレたりするんじゃないかな。他にも鍵とか、証拠になるような物を残しすぎてる気がする。


 俺が考えるような危険に大臣は対策を(ほどこ)してるはず。いつもそうだしな。コッチが心配するだけして、結果的には上手いこと丸く収まるんだ。

 まぁ、本当に丸く収まっているのかは正直なんとも言えないところがあるけど、それでも一応の形にはなってる。


 さてさて、暇だし本でもペラペラめくってみるか。

 作った本棚の中から一冊を適当に取り出す。表紙には『退龍鐘(たいりゅうしょう)の危険とその思惑(おもわく)』と書かれている。タイリュウショウってそうやって書くんだね。まぁ、この漢字からして、普通にあの大きな鐘がタイリュウショウってことで間違いなさそうだな。

 しかし、それにしても中々物騒(ぶっそう)なことが書いてあるな。危険と思惑ってどういうことなんだろう?

 危険っていうのはなんとなく分かる。だって街の真上にあるアレが落ちてきたら、もうどうしようもない。

 でも、思惑って言葉を使ってるってことは、その危険っていうのは、作った人間にとって想定内だったってことか?……考えるより読んだ方が早いかもな。


 開いた本の初めの方は飛ばして読む。別に本が読みたいわけじゃないからな。しばらくパラパラとめくっていると、面白そうなところを見つけた。そこで手を止める。


『もし、退龍鐘がこの街の上空に出来上がってしまった場合、我々の生き死にはメイの人間に握られることになる。それは、設計予定図に書かれているほどの大きな物体が街に落下すれば、多くの人の命に関わるという、どんな愚か者でも理解出来る理由によってである。彼らはこれを把握していて、尚且(なおか)つ、それが起こる事を期待して、ここに鐘を建造しようとしているのだ。しかも、我々の金を湯水のように使おうとしている。この計画は必ずしも中止にしなければならない。少なくとも金はびた一文たりとも出してはいけない、絶対に』


 あらら。つまりは退龍鐘っていうのは、メイがマーチに仕掛けた罠だったってこと? それは酷いなぁ……だってあんなもん普通に危ないし、てか、そもそも街が真っ暗になっちゃってるし。

 どんな詭弁(きべん)を使えば、アレをこの街の上空に作ることを納得させられるんだろう? おそらくメイには大臣並みに口が上手い人がいるな。


「ルドリーも読んだ?」

(あぁ、読んだぞ)

「なんかさ。大変なことに首突っ込んじゃったね。どうしよ」

(……ただ、これを鵜呑(うの)みにするのは良くないぞ)

「へ?」

(アルファとかいう女が言ってただろ。この国は嘘を付いてるんだ、と)

「あぁー! これが嘘ってこと!? マジで?」

(まだ分からない、が、この情報を完全に信用するのはやめておいた方がいい)

「なるほど、それはそうっぽいね」


 複雑な事情があるみたいですね。それに、今読んだ本は言い方からして、退龍鐘が出来る前に書かれた本みたいだし、この話も時間と共にもっと変化していそうだ。

 やっぱり国同士の交流があるって面倒ですね。俺はセントラルがなんだかんだ一番良いと思ってるけど、それってセントラルが良かったというよりも、隣国がなかったことが良かったのかもしれない。


「他にはどんなのがあるんだろ」

(アイツが持ってきた本だ。どれも意味があるんだろう)

「だろうね」


 ルドリーの言う通り、大臣が選んだ本ってことはめちゃくちゃ意味があるはずだ。どれを読んでもいいはずだから、適当に一冊選んでみるか。

 さっき作った本棚の中から、適当に一冊取り出したところで大臣が帰ってきた。てか、何してたんだろう。


「あ、おかえりなさい」

「ははは。ただいま」

「何してたんですか?」

「あの部屋にもう一回行ってみただけだよ?」

「なにかありました?」

「あったよ? ははは!」


 大臣はあの部屋に何かがあったと言ったが、それがなんなのかを教えてくれる様子はない。もう話す気はないよって感じで、本棚から本を取り出したので、聞いても答えてくれないかもしれない。そもそも集中しようとしてる大臣に話しかけるのはちょっと怖い。


 うーん、俺は何しよ。普通に暇になってしまった。

 昼寝でもしようかな? そこそこの疲労感が体に溜まってるし、寝て疲れを癒すのも悪くない。

 それに、最近は会えてないけど、女神様に会えるかもしれないしな。

 ちょっと前の話にはなるけど、イーリカちゃんに関してのことで質問したいものもあるし、会えたらいいけど、まぁ、会えないだろうなぁ。


 大臣が本を読んでいる側で寝るのもなんか変なので、軽く散歩に出る。ここら辺はドラゴンも居ないし、気楽な感じで歩けていいな。

 勝てるとは言え、普通にいきなり飛び出てきたらびっくりするし。


 それからしばらく歩いて、ちょっとした広場を見つけ、そこにレジャーシートのようなものを敷いて眠りについた。はぁ……昼寝ってサイコーだ。


読んでいただきありがとうございました

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