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200 あの子はどの子

 

 大臣の話は大体聞いたから、今度は親方の話を聞こうかな? 多分、あんまり発見とかはないと思うけど、やっぱり気にはなる。


「あ、親方。そういえば、鍛治のことで何か見つかりました?」

「あぁ、見つかった」

「あ、そうなんですか?」

「どうやらここから遠くに鍛治の国があるらしい。そこに行けば必ず新しいものが見つかるはずだ」

「鍛治の国?」

「そうだ。街全体が大きな鍛冶場になっているらしい。機械もあるらしいぞ。知ってるか? 機械は」

「はい。ていうか、この世界にも機械があるんですか?」

「私も詳しくないが、一応セントラルにも少しはあったらしいぞ」

「機械……へぇ」


 この世界にも機械とかあったんだ。まぁ、パソコンとかスマホみたいなのではないだろうけど、それでも機械的なものがあるってちょっと驚きだな。

 それに鍛治の国があるってどういうこと? 弓矢だけで戦ってるのはセントラルぐらいだったのかな。


「私はこの旅が楽しくなってきたよ。お前はどうだ?」

「俺は、俺も楽しいですよ」

「そうか。長い旅になるだろうからな。楽しんだ方が良いだろう」

「長い旅……そうですね」


 この旅の目的は大臣の故郷、そして、母親を探すこと。

 これだけ沢山の国がある中で、どうやって探していくんだろうか? そもそも、大臣の故郷の特徴とか、名前とか何にも知らないんだけど、どうやって探すんだろ? ちょっと聞いてみようか。


「親方は大臣の故郷がどんな所か知ってるんですか?」

「少しはな。どうやら寒いところにあるらしいぞ」

「寒いとこ……もしかして情報ってそれだけですか?」

「名前も分かってるんじゃなかったか? 私はもう忘れてしまったが……」

「へぇ……見つかるんですかね?」

「そんな無計画に行動する奴じゃないよ。それに、出発をしたということは、見つけるまでは私たちも帰れないだろう」

「俺たちも……」

「まぁ、お互いの利害が一致している以上、帰る必要もないが」

「そうですね」


 大臣が何にも考えずに出発するわけないよな。というか、名前が分かってるならすぐに故郷も見つかるんじゃないか? だって、この辺りは国同士の交流があるみたいだし、詳しい人に聞けば一発で場所が分かるかもしれない。

 思ったよりは短い旅になるのかも……でも、親方は長い旅になると予想してたし、どうなるんでしょうか?

 良く分からん。


 色々話していると、自然に時間が過ぎていく。

 仮眠を取ったとはいえ、やっぱりそこそこ魔法を使ったことで眠いといえば眠い。

 明日も今日みたいにここで待機することになるのかな? それはそれで良いんだけど、やることが何にもないのは悲しいもんだ。


「カエデさん。そろそろ寝る?」

「そうですね! 今日は慌ただしかったので……」

「どう? 大臣は」

「お優しい方ですよ? 私が疲れてるかどうかも気にしてくださったり」

「そうなんだ……まぁ、それなら良かった」

「……大胆な方ではありますけどね……」

「……だよね……」


 今の一言で分かったけど、カエデさんも大臣と一緒にいる中で大変な思いもしているらしい。そりゃそうだよな。

 でも、ちゃんと気を遣ってくれてるなら、まぁ、大丈夫なのかな? 安心出来たわけではないけども……


 話も終わったので、寝支度を始める。とは言っても大したことはやらないけど。

 色々と済ませて、布団の中で横になる。なんとなく……あの人に会えそうな気がする……



 …………………………



 やっぱりだ。目覚めると俺は雲の上にいた。

 このままここで待ってると女神様がやってくる。はず。

 しばらく待っていると、思った通り遠くから女神様がやってくる。今日はなんの話でしょうか?


「ヤッホー」

「あ、こんにちは」

「その癖治ってないね? ふふ」

「癖?」

「あ、ってやつ」

「あぁそういえば……すみません」

「私に謝らないでよ。で、そんなことよりも、聞きたいことがあるんでしょ? 聞いてよ?」

「聞きたいこと?」


 なんだっけ? 聞きたいことって……あぁ、国の名前に英語が使われてることか……ん? あれ? それを女神様に聞いてみようって誰かに言ったっけ? 頭の中で考えただけじゃなかったっけ?


「え、もしかして、考えてること分かるんですか?」

「秘密」

「秘密?……その言い方は分かってるってことなんじゃ……」

「実は君の居た世界も私の担当なんだよ! だから、言葉が似てきちゃうんだよね? はははは!」

「えー……ちょっと誤魔化さないでくださいよ……」


 考えてることがバレてるって地味に嫌だなぁ。でも、神様なんだし、そういうこともしょうがないのか? てか、私の担当ってどういう意味?


「え、それってどういう意味ですか?」

「その二つも私が育てたってこと。大変だったぁ」

「育てた……」

「だから似てる部分も多いのね? はは」

「……」


 規模がデカ過ぎてもう意味分からない。それに、頭の中を覗かれてるのが地味にショックでそれどころではないようなところもあったり、なかったり。


 色々と悩んでいると、地面が急に不安定になってきた。え、もう帰るの? ちょっと待ってくれ!


「あ、ちょっと待ってください!」

「あの子には優しくしてあげてね?」

「え? あの子?」

「じゃあまた!」


 その言葉と共に空から落っこちた。あの子ってどの子だーー!



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