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189 なにもない一日にアドバイス

 

 朝ご飯はドラゴンを食べた。

 しかし、当分の間はドラゴンが主食になりそうだな。まぁ、別に嫌いじゃないんだけど、普通の野菜的なやつも食べたい。

 適当にその辺に生えてるやつ食べたらまずいかな? 毒的な意味でも。


「あ、大臣」

「おはよう。ははは」


 朝からいなかった大臣に声をかける。

 なんか、いつも忙しそうですね。


「どこ行ってたんですか?」

「ドラゴンを(しつ)けてきた。だからいつでもドラゴンには乗れるよ? はは」

「あぁ、ありがとうございます。あの、一つ良いですか?」

「ん? なに?」

「ドラゴンを躾けるってどうやるんですか?」


 いつも当たり前みたいにやってるけど、実はスゴイ事をしていると思う。言葉が通じるとはいえ、あそこまで指示に従うようにするのはスゴすぎる。


「別に大したことはしてないよ? 君もやろうとすれば出来るんじゃない? はは」

「そういうもんなんですかね?」

「気になるならやってみれば? ははは」


 たしかに。考えてみればドラゴンなんてどこにでも居るんだし、そんな事もやろうと思えば出来るんだな。

 いやぁ、でも面倒くさいなぁ。俺にとってはそんなにドラゴンが必要でもないような気がしないでもない。


 色々言い訳を考えてみたが、どう考えてもやり方を覚えていた方が将来的に良いような気がした。まぁ、機会があれば……やらなそうだなぁ……


「君はこれからどうするの?」

「え? いやぁ……二人が起きてからじゃないと……」

「ははは。今日の話だよ?」

「あ、今日……今日は……」


 今日はなにをしようかな。直接みんなに会うのも良いかもだけど、もっとやるべきことがありそう。だってもうここから離れちゃうんだし。

 うーん……あ、とりあえずは、のことを思いついた。


「剣とか鎧とか取ってきます。確かまだ残ってたんで」

「はは! それなら僕がやっといてあげるよ。どうせあっちに行くんだし」

「えー、ありがとうございます」


 有難いけど、やることがなくなっちゃった。ならどうしよう……えー、やることなんもないなぁ……


「僕はもう行くから。ははは」

「あ、気を付けて」

「うん。はは」


 というわけで俺はまたここに一人で残された。

 はぁ……なにしようかな。誰かと話す?

 でも、ハヤトとかアヤカは、魔法がみんな使えるものだとバレてから、教えてほしいとか、説明してほしい人達で大変になってそうだ。

 エラさんはエラさんで、色々と忙しそう。みんなも頼れる人はそんなに居ないだろうし。

 アイラは……アイラなら暇だったりするかな? ちょっと失礼だけど、いきなり話しかけてみるか。もしかしたらここに来てくれるかも。親方も居るし。


(アイラ? 今忙しい?)

(忙しいですよ。忙しいに決まってるじゃないですか)

(あぁ……まぁ、たしかに……ごめん)

(で、なんの用ですか)

(いや、暇だったから、来ないかなぁって……)

(ミリアさまが居たとしても、今はいけないです)

(なら出発する直前くらいにまた……)

(分かりました。アナタもお元気で)

(お、お元気で……)


 いやぁ、そりゃみんな忙しいよなぁ。はぁ……出発までなにしてたら良いんだろ?

 そんな感じでまた家の中に戻った。どうせ予定もないし寝ちゃおうかな。いや、その前に魔法の練習でも。


 家の中に家具をドンドンと足していく。必要そうなものから不必要そうな物まで多種多様だ。

 するとまた眠たくなってくる。いやぁ、こんな早い時間に寝てもまた起きちゃいそうだけど……もう寝るか。てか、今日、何にもしてないぞ。

 布団にまた帰って行き、眠った。


 ………………


 ……あ、まただ。

 女神様がどうやら会いに来てくれたらしい。なぜならいつもの雲の上にいるからだ。今日はどんな用事で呼んだんだろうか……いや、会いに来たのか? どっちでも良い!


「こんにちは?」

「あ、こんにちは……」

「今日はなんで呼んだと思う?」

「いやぁ、分かんないです」

「君にアドバイスだよ。あはは」

「アドバイス?」


 今までもアドバイス的なものを貰うことはあったけど、直接そんなふうに言われるのは珍しい気がする。そんな事もないのかな。


「そろそろ自分の意思を持った方が良いかもね!」

「あ、それは……はい」

「お? 自覚してたんだ!」

「まぁ、流石に……それは自覚してます」


 ついに女神様に直接言われてしまった。前にもやんわり注意された覚えがあるけど、直接言われるとやっぱり(こた)えるものがあるような……


「君がなにを選んだとしても、私がついてるから!」

「まぁ……それはありがとうございます」

「と、言ってもね? いずれは私も離れていくから、それまでにちゃんとしないとダメだよ? だって離れてからすぐに死んじゃったら悲しいじゃん?」


 そう言った女神様は笑顔だ。笑顔でそんな怖い話をしないでほしい。怖いから。


「そうならないように気を付けます……でも、ここでも死んだらどうなるんですか?」

「お? それはね……」

「え?」

「…………」


 女神様が長いこと沈黙した後、地面がまた不安定になり始めてきた。あぁ、それは教えてくれないのね?


「じゃ、またね!」

「あぁ……また!」


 そんな感じで女神様との話し合いは終わった。こんなに色んな人に直接言われちゃったら、俺も考えないと……


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