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179 魔法を使う

 

 外にもそのニオイは漏れ出していたが、中はもっと酷い。本当に腐ってるニオイだ。

 ただ、そのお陰か、建物の中には誰も居なかった、親方とカエデさん以外には……

 フーマさんは? まだ見つかってないのかな?


「寝てる……」


 二人とも普通に寝てる。死んでなかった。

 ただ、こんな臭いところで寝てて大丈夫なのか? もう綺麗にしちゃおうかな? どうせ死体なら外に沢山あるし。

 聞いてみれば良いか。ちょっと外に出よう。


 外に出て、一番近くにいた人に話しかけてみる。これなら許可とる意味ないとか思ったけど、すでに話しかけていた。


「あの、この中、掃除しちゃいます」

「え? あ、はい……」

「はい……ははは」


 完全にヤバいやつになってしまったけど、作業に移ろう。

 まずはドラゴンの死体からだな。これを外に出して、それに火を着けて……いや、それは難しいなぁ。だって死体から入り口までの間に二人が寝てる。つまり、二人を動かすか、入り口以外から外に出さないとダメだ。


 魔法で消せないかな。やるだけやってみるか。

 ドラゴンの死体をただただ見つけて、消えるようなイメージを持つ。うーん……消えろ……無くなれ……


「出来た……」


 死体はどこかに消えてしまった。魔法ヤバ。どこ行ったんだよ……

 しかし、問題はまだある、ニオイと汚れだ。せっかくなので、それも魔法で終わらせた。早い……

 これで普通の、窓が多い家だ。二人も寝やすいだろう。と、考えてから、俺自身も相当眠いことに気付いた。うーん……寝よう。


 元々死体があったスペースに移動して、横になる。すると、すぐに眠気が来て、もう、一瞬で、寝た……


 ………………


 またここか。

 雲の上にいる。女神様に会いに来たのか。いや、呼ばれてるのか? どっちでも良いけど、今度はなんの話だろう。


「お! 頑張った人だ! 握手してください!」

「え? なんですか……どういうこと?」

「お疲れさま。どうだった?」

「女神様が言った通り、街とはお別れでした。分かってたんですか?」

「うん、分かってた。あと、お別れってそういう意味じゃないよ?」

「え、いや」


 聞きたいことがありすぎてパンクしちゃった。まず、お別れがそういう意味じゃないってどういう意味? あと、分かってんなら助けようとかないのかな? 女神様なんだし。いや、逆にそういうことはしないのかな?

 どうでもいいと言えば、どうでもいいけど、女神様の名前ってなに?


「あの、名前とかって……」

「ないよ。だから適当に呼んで?」

「ない?」

「私は今回、おつかれって言いに来ただけだから。もうじゃあね!」

「え……もう?」


 いつものごとく雲から落下する。こんなクソ怖い状況にも慣れてきてるのが怖い。


 ………………


 目覚めた。

 はぁ……なんだったんだあの夢は。よく分からない。今までは予言とか、啓示(けいじ)的なもんだと思ってたけど、「おつかれ」を言いに来ただけってどういうこと? そういうもんなのかな。やっぱりただの夢?


 さて、夢の事は忘れて家の中を見渡してみる。まだ親方とカエデさんはぐっすり寝ていた。

 多分、何日も寝てるんだろう。こういうデカい戦闘の後はめちゃくちゃ長く寝ることになってる。そういうもんなのだ。


 伸びをしてから家を出る。

 家の外に人はいなかった。ならどこに居るんだろう。探してみようとしても、外は真っ暗だ。夜に起きちゃった。二度寝でもしようかな。いや、ちょっと試してみるか。


(大臣? 起きてます?)

(起きてるよ? どうしたの?)

(みんなはどこに? あの、いま俺も起きたんですけど)

(仮の家に住んでるよ)

(え、それって魔法?)

(いや、普通に建てた家)

(……魔法って、みんなの前で使っちゃっても良いですか? その方が早いし)

(ん? 別に良いよ? その代わり大変だと思うよ? ははは!)

(あ、良いんですか?)

(もちろん良いよ?)

(分かりました。じゃあ、また)

(またね? ははは)


 魔法も使って良いってよ。なら思う存分使うとするか。

 まずは街の跡地から、瓦礫とかを退かそう。ん? 一人であれだけの規模って相当大変だぞ?

 みんなにも覚えさせる……それは、どうなんだ? だって魔法ってマジでなんでも出来るから、悪用とかし放題だし。となると俺一人でやるのか……まぁ、出来る限りやろう!


 ドラゴンに乗って街の方向へ向かう。さっきまで寝てたから、腹も減ってる。色々とちょうど良い。

 見ると地上に炎の光と思われるものがあった。それを凝視(ぎょうし)してみると、確かに近くに家がある。

 家が出来るぐらいまで寝てたのか。まぁ、良い。


 月の明かりを反射する鱗を目印に街の跡地に降りる。そこには誰もいない。

 火を起こして、肉を入れる。焼ける間に近くの瓦礫をさっきの死体と同じようにどこかに消していく。

 どこに消えてるんだ……


 そんなことをしていると気付く。これはキリがない。前から分かってたけど、本当にキリがない。だから、みんなにも魔法を……うーん……良いの? 全然分かんない……


「魔法って、教えた方が良いのかな?」

「あれ? ルドリー?」


 最近ずっと返事してくれてたと思ったら、すぐに戻っちゃった。まぁ、返事をしないってことは大した悩みだと思ってないんだな。

 ……成るように成る、それ以外無いな。


 焼き上がった肉を食べながら、ただひたすらに瓦礫を消していた。はぁ、また眠くなりそう。

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