178 安心した
食事が終えるとそれぞれのやることに戻っていく。
俺は親方の家を探さないとだし、二人は街のみんなの元に安全を伝えないといけない。
アイラは、こんな状況でも親方の家の大体の場所を教えてくれた。アイラが言ってんなら多分当たってる。信じてそこに向かった。
「ここかな。てか、何にも分かんねぇ」
(瓦礫の下か?)
「となると、やっぱり魔法だ」
と、いうわけで、この辺りにある瓦礫を壊し、地下への入り口を探す。
真っ平らになったこの辺りには、一つだけ違和感のある部分があった。
「これかな?」
そこを探ってみると、やっぱり地下への入り口があった。てか、なんでアイラは親方の家の場所が分かったんだ……恐ろしい……
中を開けると、声が聞こえてきた。
とりあえず、生きてくれてはいるみたいだ。
「あの、大丈夫でしたか?」
「おぉ、アキラか。ここは?」
「……安全な場所です。倒れてたので」
「それがなぁ、倒れた時、君と話をしてた気がするんだがなぁ……いきなりだったから記憶が混濁しているのかもしれない」
「……とりあえず外へ。あ」
「どうした?」
いきなりこの外の様子を見せるとショックを受けてしまうかもしれない。この人たちが戦っていた時は、街の形をまだ保っていたから。
「街はダメでした。先に言っておきます」
「……そうか。俺もそんな気はしてた」
「他の人は? まだ寝てますか?」
「いや、みんな出たいと思ってるよ」
「分かりました」
みんなが外に出る手伝いをしていると、一人一人、この景色を見た時の反応が見れる。
どれも茫然といった感じで、現実感がないみたいだ。
家なんてもうなくて、あるのはドラゴンの死体の山。
「あと少ししたら、街のみんなが戻ってくるそうです」
「そうか……」
「俺は、ちょっと探さないといけない人たちがいるんで、すみません」
「分かった。ありがとう」
「それじゃあ、また後で」
「……」
俺がここにいてもなんにもならない。親方やカエデさん、それに、フーマさんがどこに居るのかを探さないといけない。
今は寝ているはずだから、あんまり魔法を使って話しかけるのは良くないとも思った。
三人とも、近くにはドラゴンがいるはずだ。上から見ればきっとすぐ見つかる。それで見つからなかった時は、その時は色々考えよう。あの人達なら大丈夫だ。
「ルドリーはカエデさんと親方、フーマさんがどこに居るか分かる?」
(我にも分からん。お前にも分からんのだろう?)
「分かんない」
(心配か?)
「ん? もちろん」
(心配してるようには見えないな)
「俺が生きてるんだよ? なら大丈夫」
(心配しないのか? 前はあんなに心配してたのにな?)
「だって、俺よりカエデさんの方が強いし」
(最初からそう言ってただろう。まぁいい)
ルドリーは俺の態度が気になるようだ。
俺だって常にカエデさんを心配してるわけじゃない。今は大丈夫だろうって思ってる。
カエデさんは契約してるわけだし、スティーがいるし、なにより……なにより? なんだ?
まぁ、とにかく大丈夫だと思ってる。うん。
……なんか今更だけど、俺とルドリーって合わない? 色々とその証拠は揃ってきてしまっている気がする。
こんだけピンチになっても契約できないところとか、なんか、根本的な知能の差とか?
どっちかっていうと、大臣との相性の方が良さそうだけど、ルドリー的には嫌なのかな。まぁ、それでも他のドラゴンと契約なんて考えられないんだけどさ。
色々考えながら、ドラゴンに乗って空を目指す。さて、俺は三人を探さないと。
上空から見ても中々見つからない。明るい内に見つけちゃいたいんだけど、大臣なら知ってるかな?
(あの、大臣?)
(なに? いきなりどうしたの?)
(えっと、カエデさん達ってどこにいます……どこにいるか知ってますか?)
(知ってるよ?)
(え? あの、大丈夫でしたか?)
(もちろん。まぁ、寝てるけどね。街で倒れてたのを、ハヤトくん達が見つけたんだってさ? はは)
(ハヤトが……)
(安全な場所に運ばれてるよ。まぁ、死体置き場だけどさ? ははは)
(それってどこに?)
(一番綺麗な建物を見つけたら、それだから。簡単に見つかると思うよ? それじゃあね? ははは!)
てことは、アレか?
大臣の話を聞いてから、いや、聞く前から視界の端に入っていた建物を目指して降りてみる。
……木造の一軒家だ。ただ、普通の建物よりも窓が多い気がする。外から見ただけでは判断できることは少ないが、一階建てだと思う。
その近くには人が沢山居た。それに、村から来た人のほとんども集まっている。てことは、ホントにここにカエデさんがいるのかもな。
「アンタ。無事だったんだね……」
「そうですね。街は守れませんでしたけど」
「……そりゃそうだよ。あんだけ来たらしょうがない。アンタの責任じゃない」
「……あの、カエデさんは?」
「寝てる。大丈夫、息はしてるからさ」
「良かったぁ……」
息はしてると聞いた瞬間、全身から力が抜けたかと思った。自分が思ったより心配してたのか?
どうしてか分からないけど、でも、安心した。
「中に入っても?」
「もちろん。会ってきなさい」
軽く手が震えながら、扉を開けた。




