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172 街とお別れ?

 

 目の前にはもう見慣れた風景。

 フワフワの雲の床で寝ていた俺は、この後に会うであろう人の予想を大体付けていた。それが誰なのかも。


 どうせあの女の人でしょ?


「久しぶりー! 元気してた?」

「してました……あの、一つ良いですか?」

「え? なになに? 良いよ?」

「あなたが女神様? ですよね? 多分」

「おぉー、よく分かったじゃん! なんで分かったの?」

「うーん……なんとなく」


 考えてみればこんな場所、普通の人間は住めない。だって雲の上だし、しかもこれはただの夢じゃないし。

 ……これでただの夢だったら恥ずかしいけど、夢なら誰にもバレないし、間違いでも自分の考えを言っちゃった方がいい。


「なんとなくかぁ。大事! それが一番だね!」

「え? そうですか?」

「大事だよ。だって人間に全てを理解することなんて出来ないんだから、さ!」


 大臣には出来そう。いや、女神様が言うってことは大臣にも理解出来ないことがあるのか? これ、夢か?


「この街ともお別れだね」

「え? この街ってセントラル?」

「そう。お別れ」


 街から出て行くの? となると、みんなともお別れ?


「みんなは?」

「それは秘密」

「てか、なんでですか?」

「それはすぐに分かるよ」

「目覚めたら?」

「目が覚めたら分かる。それじゃあね?」


 また雲が形をなくし、地上? に落下して行く。はぁ……もっと普通に現実へ戻してくれ!



 ………………………


(聞こえる? 起きて?)

「……ん? 大臣?」


 目覚めると共に大臣の声が聞こえて来る。いや、大臣の声で目覚めたのか。

 はぁ……嫌な予感。でも、応答しないと。


(はい……起きました……)

(お。起きたね? ははは)

(何かありました?)

(もうすぐでドラゴンが来るから起きて?)

(もうですか?……てか、いま夜ですか?)

(夜中だよ。誰も起きてない)

(分かりました。なにすれば?)

(二人を起こしてから、門のところに来て? もちろん剣を忘れずに。ははは!)

(はい)


 あれか。大臣はまず俺から起こしにきたのか。なぜ?

 まぁ、言われたとおりにカエデさんとエラさんを起こす。

 二人ともぼんやりとしていて、そして、俺もぼんやりしていて、もしかしたら仮眠はしないほうが良かったんじゃないかと思ってきた。


「……随分と夜遅くですねー。おはようございます」

「……こんな時間に起きるの初めてで……」

「あの、俺はもう出発するから、ごめんね。後は二人に任せるから……もし! あれだったら、話しかけるから、うん」

「いってらっしゃーい」

「いってらっしゃいませ」


 そんな感じで家を出て行く。

 街には誰もいないだろうから、剣を箱に入れることなくそのまま持ち歩く。それぐらいに夜中だ。

 どうせなら鎧も貰っておけば良かったな。


 今頃二人もどこかに出発してるのだろうか? 親方の家か? まぁ、エラさんが詳しいだろうし、きっとなんとかするでしょ。うん。

 二人も仲良いし、なんとかなるよ、ちゃんと考えもあるだろうし。


 暗い道を歩いていると、不安な気持ちになってくる。そういえば、夢でこの街とお別れだと言われた。それって、ここがダメになるってことなのか? そんな不安を抱えつつ、門に来た。


「おはよう。はは」

「あ、おはようございます」

「もう来たんだってさ? 行こ?」

「どこにですか?」

「僕の従えたドラゴンのとこ。飛んでいこうよ」

「分かりました。あれ? フーマさんは?」

「先に向こうで待ってる」


 いつも門で待ってくれていたドラゴンに乗って、大臣の後を着いていく。

 飛んでいる時に、いつもよりめちゃくちゃ空が暗いと思い、よくよく観察してみるとドラゴンの大群の影があった。なんていうか……ドラゴンが居るっていうより、空が暗い。

 ……血の気が引いていく。これは無理?


「多いですね」

「アレが全部じゃないよ」

「……そもそもどこから来てるんですかね。巣は壊したのに」

「さぁね。もしかしたら僕たちが思ってるよりも、おかしな事になってるのかも」

「ルドリーは分かる?」

(人を食いたいんじゃないか? 奴らは)

「なるほどね」

「でも、ここ以外にもあるんですよね? 国って近くに」

「僕が見た限り、そこは大きな国じゃなかったからね。ははは」

「なるほど」


 理由を聞いといてアレだが、今更そんなことどうでも良いな。これをなんとかしないとだし。


「居ますね。めちゃくちゃ」

「そうでしょ? ははは!」


 目的地に向かっていると、めちゃくちゃ大量のドラゴンが静かに広場で待っているのが見えた。ざっと見ただけでも、三十くらいは居そうだ。なんでそんなに静かに待てるの?

 そこに着地すると、フーマさんが居た。


「少年。来たか」

「来ました。はい」

「さて、もうすぐだよ? 準備は出来た?」

「……いやぁ……」

「出来るわけないか。ははは」

「親方達も今頃、頑張ってくれてますかね?」

「多分ね。やってくれてるといいね」

「……」


 沈黙だ。なんだかんだ、大臣も緊張してたりすんのかな。まぁ、流石にしてないわけないか。


「これからどうするんですか?」

「翼の音が聞こえるまで待機。聞こえてきたら、出発」

「出発って? どこに?」

「ははは! 空にだよ」

「えぇ……飛びながら戦う?」

「うん。楽しそうだね! ははは!」

「……」


 緊張してなさそぉ。

 ただ、いつもの変わらない様子の大臣を見て少し安心する。

 はぁ……吐きそうだけど、頑張るぞ……マジで。


 しばらくして、遠くから翼の音が聞こえてきた。





読んでいただきありがとうございました!


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