表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/334

163 門番とドラゴン達

 

 荷物の準備は終わったらしい。

 これから出発すれば、夜中には向こうに着いているかもしれない。というか、魔法を使えばすぐにでも着く。

 うーん、出発だな。


「もう行く?」

「そうですね。このままだとずっとここに居ちゃいそうなので……」

「行くんですね? なんか私のせいでみたいになってしまって……今更ですが、少し申し訳ないですね」

「それは気にしないで良いよ。だってここに居てもね」


 荷物を抱えて、家を出ようとする。


「出来るだけ汚さないようにします。いってらっしゃい」

「好きに使っちゃって良いよ。それじゃ、いってきます」

「いってきまーす、エラ、元気で!」

「はーい! お元気で!」


 いやぁ。こうして旅立ちの時になると、地味に楽しみになってくるな。別に村に行くだけなんだけどな。

 俺は剣の箱と革の袋を持って、街を出るために街を歩いた。


 門のところまでいくと、門番に話しかけられた。相当高いテンションだったのでちょっと驚く。


「あ! 久しぶりだな! ていうか、あれからずっとここにドラゴン居るんだけど、これどうなってんだ?」

「え? ずっと?」

「……これはここだけの話だぞ? たまぁに食べ物とかやってるんだ……可愛くなってきちまってさぁ!」

(おそ)ったりとか、ないですか?」

「ないなぁ。むしろ俺のこと覚えてくれてるみたいなんだよ。見たらわーわー、鳴いてくれてさ?」


 あの時のドラゴン達は殺されずに済んでるみたいだな。しかも、門番はドラゴンに愛着を持ってきてる。やっぱり大臣の言う通りなのか?


「ていうか、どこに行くんだ? そんな大荷物持ってさ」

「うーん……ちょっと村に帰ろうかなって」

「あれ、あ! そうか! お前たちって元々村から来てたんだよな?」

「そうなんです。それで」

「そうか……なら馬車呼ぼうか? 歩きじゃ流石にキツイだろ?」


 馬車呼べるのか? そういうのは許されている?

 というか、普通にドラゴンに乗って帰っちゃえば良くないか? どうせ国にはバレてるんだし、門番はドラゴン好きみたいだし。


「いや、大丈夫です。ちょっと、カエデさん、ドラゴンに乗っていく?」

「え? 大丈夫なんですか?」

「もうバレてるし、問題ないんじゃないかな?」

「そうなんですかね?」

「ちょっと必要なやつ取ってくる。待ってて?」


 縄と留め具は流石に持ってきていなかったので、一回家に取りに行く。駆け足で向かった。


「あれ? 忘れ物ですかね?」

「まぁ、みたいなもんだね」

「お疲れ様ですね」


 そう言って二人分の縄をカバンに入れ始める。

 それをエラさんは不思議そうに見ていた。


「ドラゴンに乗るんですかー?」

「うん。まだ待っててくれてたから」

「まだ待っててるんですね。そうなるとやっぱりドラゴンって知能高いですよね?」

「まぁ、喋れるドラゴンもいるしね。相当高いと思う……てか、カエデさん待たせてるからもう行くね? ごめん」

「もうちょっと話しましょうよ。カエデならいくらでも待ってくれますよ」

「え? いや、ごめん。もう行くよ」

「はは。それなら、いってらっしゃいませ」

「いってきます! エラも気を付けてね」

「はい」


 カバンを背負いながらだと、中々上手く走れなかったが、出来るだけ急いだ。

 ちょっとしてから家の方を振り返ると、エラさんが二階からこっちを見ているような気がした。


 はぁはぁ……と取りに行った時よりも急いで戻る。これなら荷物持ってない時に全力で走った方が絶対疲れなかっただろ。


「あ、待った?」

「いえ……汗だくで……そんなに急がなくても大丈夫でしたよ?」

「まぁ、急いだ方が良いかなって」

「ドラゴンに乗るんだろ? 俺にもちょっと見せてくれよ!」

「良いですよ」


 少し休憩してから、ドラゴンと俺に縄を巻き、留め具でグッと固定する。それを見ている門番は「ふむふむっ」みたいな感じで頷いていた。

 出発の準備のために、カエデさんは地上で荷物をドラゴンに()せてくれていた。


「えー、飛んで?」


 俺の指示でドラゴンは空高く飛んでいく。その様子を門番は「うがぁー!」って感じで驚きながら見ていた。

 心地良い風を感じながらの飛行は楽しかった。ここはいつでも晴れてるから見晴らしが良いし。

 それからは軽く、空中を旋回してみせたり、降下してみたりと色々やった。これぐらいでもう良いかな?


「降りて」


 地上に緩やかに着地していく。しかし、なんかいつのまにか怖い気持ちがなくなってきてるような気がする。


「すげぇなぁ! へぇ……空飛んでたな……」

「門番さんも乗ります? 多分、出来ると思いますけど」

「えーー! いや、でもあの距離から落ちたら……」

「落ちたら拾います。だから大丈夫ですよ」


 支度を終えたカエデさんもこちらに来た。二人いればなんとかなるだろう。誤魔化しながら魔法使おう。


「……うーん。やっぱり難しいな、ドラゴンに乗るなんて心の準備が出来てないな!」

「まぁ、また今度?」

「その時は頼むよ! そろそろ出発だろ? 無事を祈るよ!」

「ありがとうございます! 行きますか?」

「行こう」


 というわけで、さっき降りたばっかりのドラゴンに乗って、また空の旅に出る。

 やっぱりドラゴンに乗るって普通は怖いよな。てか、俺たち、どこで降りれば良いんだろ?

 疑問はまだまだあったが、細かいことは気にしないことにした。気にしてたら頭がおかしくなる……



こんにちは!


読んでいただきありがとうございました!


よろしければ下の☆マークからの評価等よろしくお願いします!


ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ