元の世界の友達
「あ〜、もうお葬式も終わっちゃったね。なんだかまだわかんないなぁ。アキラがいなくなったこと」
「僕も……アキラくんが仮病でズル休みしてるんじゃないかって、ほんの少しだけ思ってるんだ。ほんの少しだけどね」
教室は静まり返ってる。さっきアキラくんの同級生のための告別式が体育館で開かれた。静かになるのも無理はない。
僕たち二人はアキラくんと幼馴染で家が近くだった。親が言うには幼稚園に入る前から遊んでいたらしい。流石にその頃のことは覚えてないけどね。
「今日は授業がないから帰っていいぞ……」
担任の先生が落ち込んだ様子で言ったあとクラスのみんなは静かに帰宅の準備を始めてた。僕はアキラくんのご家族の様子が気になってた。
「あの、アヤちゃん……このままアキラくんの家に行かない?お線香とかあげれたらと思って」
「そうだね。どうせ近くだし、一緒に行こうか」
帰りの支度を終えるとアキラくんの家の前まで向かった。道中では二人とも黙ったまんまだった。傘を持っていなかったのに雨が降り出して少し濡れた。
家のピンポンを押すと中からアキラくんのお父さんが出てきて、入れてくれた。
「アキラに会いに来てくれたんだな。あいつもきっと喜ぶよ」
家の廊下を渡っていくと奥にふすまの部屋があってすすり泣きのような声が聞こえていた。
お父さんが部屋を開けるとアキラくんのお母さんが遺影の前でハンカチを持って泣いてた。
「かあさん、ハヤトくんたちが来てくれたよ。線香をあげていってくれるそうだ」
「お悔やみ申し上げます。僕たちも手を合わせてもいいですか?」
「はい……」
お母さんがゆっくり立ち上がった。僕たちはそこに座る。遺影はいつもの笑顔でやっぱり実感がわかなかった。
「アキラ……」
僕たち二人は涙が出なかった。僕たちは……まだ信じられてないんだ、アキラくんに会えなくなったことが。
もし出来るなら一度だけでもいいから会いたいなぁ。
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