表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/334

158 夜はみんなでお話し

 

 村かぁ、良いなぁ。

 元々帰りたいねって話はしてたし、どうせここに居ても出来ることなんてないし、それなら村でみんなの手伝いでもした方がよっぽど良いな。


「村かぁ」

「お二人はそれで良いかもしれませんけど、私はどうすれば?」

「私たちの家で住んでみるとかどう? アキラさんも良いですか?」

「それは良いよ。てか、それが一番良さそうじゃない?」


 なんとなく色々と決まりそうになっている。意外となんとかなりそうなのが、怖い……まさかそこまで大臣もお見通しだったりしないよね。


「まぁ、なんか、なんとかなりそうだね」


 独り言みたいに(つぶや)いた言葉に、二人とも共感してくれてるみたいで、(うなず)いていた。

 不思議な安堵感(あんどかん)から、口数は自然と減り、いつの間にか食事の時間が終わっていた。


「……美味しかった?」

「そうですねー。こういう豪華なご飯を食べれるのも、これで最後かもしれませんし、気が済むまで味わいました」

「もし、ダメだったらみんなでもう一回他国にでも行けば良いだけだよ。うん」

「それはどうですかね。そもそも、私たちは国同士の交流を最終目的に旅を始めていた訳ですから、そんな簡単な話でもないと思いますよ」

「でも、俺たちには魔法があるから。なんとでもなるよ。多分」


 結局そこなんだよな。下手したら俺たちだけで文明を(きづ)くみたいなこともありえんのかな。それは流石にやりすぎ感……飛躍(ひやく)しすぎてないか? まだそんな段階じゃないはず。


「片付けはやっとくから、寝る場所適当にみつけちゃって? 布団とかあったっけ?」

「いや、大丈夫です。布団ぐらいなら作れますし」


 そう言って、少し空いた場所に作り出したのは立派なベッドだった。まぁ、これからここで生活するならそれぐらいあった方が良いのか。

 それにしてもちょっと気が早いような気がしないでもない。


 そもそもエラさんってどういう人なんだ? 理屈っぽいけど、別に人を避けてるわけでもないらしい。

 最初の方は人目を気にしてる感じがあったけど、他国に行ってからは全然そんな感じもしないし、なんなら顔の布外してるし。


「まぁ、とりあえずもう寝る? やることも大体終わったし」

「私、普段もっと遅い時間に寝てるんです。なのでまだ寝ません」

「どんぐらいに寝てるの?」

「明るくなる前には眠るようにしてますね。流石に体調が悪くなるのでそうしてます」


 そうなの? 割と朝早い時間でも起きてたりしてないっけ? 大体起きて待ってたような記憶があるんだけど、どうなってるんだ?


「え? いつもどれぐらいの時間、寝てるの?」

「普通の人よりは短いですよ。昔から短いんです」

「眠くない?」

「眠いですよ。ただ、別に眠くても良くないですか?」

「へぇ……」


 眠くても良い? そういうもんなのか?

 そもそも国の中で内政的なことを任せられてるって実は超エリートだし、ちょっと普通の人とは違うところがあるのかもしれない。大臣にも似たようなところあるしな。


「カエデさんはもう眠い?」

「眠たいんですけど……なんとなく眠れなさそうです」

「そう。それならもうちょっと話そう」


 俺も今日は眠れそうにない。夜が、考えないといけないことや、不安なことを無理やり見せてくる気がする。うん。


「あのー。お二人はいつ頃からお付き合いされてるんですかー? そもそも出会いは? 聞いてませんでしたよね?」

「えっと……その……」

「あ……」


 カエデさんは動揺して、ビクッと体が軽く震えた。ちなみに俺もそうなった。

 まさかそれを聞かれるとはなぁ……てか、それぐらいしかもう話すことないか。


(私も聞きたいなぁ。教えてよ)


 エリーまで……顔なんて見えないから分からないけど、多分、めちゃくちゃニヤニヤしてんだろうなぁ。

 はぁ……沈黙が辛くなってきた。カエデさんは顔が真っ赤になってるし、ここは俺が説明するしかないのでは?


「……そうだなぁ、えー……何から話そう……」

「では、出会いから、よろしくお願いします」


 最近も思い返した気がするけど、出会いは俺がこの世界に来た直後だ。寝てたところを起こしてくれた。はぁ……懐かしい。


「俺が、この世界に来てすぐ……草原で寝てたところをカエデさんが起こしてくれたんだよね?」

「はい、あの時はアキラさんも少し混乱してましたよね?」

「うん。来たばっかりで、何にも分かんなかったけど、でも、カエデさんに会えて」

「ふふふ……懐かしいですね……」

「ノロけてますね」


 はぁ……そっちから聞いといてなんなんだぁ……もう疲労感が溜まってきてるんだけど、眠気は飛んでるけども。


「告白はどちらからですか?」

「……俺から……」

「へぇ。なんて言ったんですか?」

「なんて……」


 覚えてる。覚えてるけど……あれ? なんて言ったんだっけ? あれ?……相当大胆な事、言ってなかったっけ? あれ?……今思えばあの時の俺どうかしてないか?


「……」

「まさか、忘れたんですか?」

「いや……忘れてはないけど……」

「……一緒に暮らそうって言ってくれたんですよね? 私と一緒に暮らそうって……アキラさんがそう言ってくれて」

「……はは……うん」

(めちゃくちゃ大胆じゃん。ホントに?)

「……うん……はは……」


 恋人にもなってなかったのに? おいおい……ちょっと……ホントに俺なのか?

 今日はもしかしたら眠れないかもしれない。情緒(じょうちょ)がめちゃくちゃになりそうだね。はぁ……






読んでいただきありがとうございました!


よろしければ下の☆マークからの評価等よろしくお願いします!


ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ