149 ホントダ!
大臣はお城の方向ではなく、俺たちの家がある方向へ向かう。俺の家になんか証拠があるのか? それとも……もしかして親方に会わせる? 親方はドラゴンと契約してるし。
うん、その予想は当たった。今、大臣が家の前で、親方が出て来るのを待っている……全然出て来ないけど。
「入るよー!」
気にすることなくズカズカと大臣は入っていく。勝手に入って良いとは言われてるけど、これはどうなんだ?
てか、なんか模様替えした? 物がスゴイ少なくなってる気がする。いや、絶対気のせいじゃないぐらい少ないぞ? なにがあったんだろ?
「どこだっけ?」
「地下じゃないですか?」
「地下ね?」
元物置の地下に伸びる階段まで案内する。
階段を降りていくが、中が暗い。もしかしたらここでもないのかな。
「あれ? 居ないみたいですね」
「へぇ。どこに居るんだろ?」
「聞いてみますね」
「ん? あぁ、アレで?」
テレパシーで親方に話しかけてみるか。
あーあー、親方ーー。
(なんだ?)
(あ、親方。実はもうセントラルに帰ってきました)
(そうか。無事か?)
(はい。あの、親方って今どこに居ますか? 家に行っても居なくて)
(私か? 私は……そうか。お前たちはまだ知らないか)
(え?)
(そのままそこで待ってろ。迎えに行く)
(あ、ありがとうございます)
どうやら親方がここに来てくれるらしい。それを大臣にも伝え、みんなで親方が来るのを一応外で待っていた。もう一回中には入ってるのに。
「久しぶりだな」
「はは。ミリ元気そうだね」
「まぁな」
「ミリアさん! 帰りました!」
「無事で良かったよ。心配はしてなかったがな」
親方とみんなが仲良さそうに喋っている。俺はテレパシーで何回か話したので特別言いたいことも無かった。
「ミリにやってほしいことがあるんだけどさ? ちょっと中に入れてよ」
「もう入ったんだろ? 中で待ってれば良いのに」
「ははは! 良くわかったね?」
みんなで親方の家に入る。やっぱり物が少ないなぁ。もしかして引っ越しとかしたのかな?
「それで? やってほしいことってなんなんだ?」
「ミリってドラゴンが中に居るよね? グェールくんだっけ?」
「ああ。それがどうした」
「この人がグェールくんと喋りたいんだって。ちょっと話してくれない?」
「……」
「ん? 他国の人間を連れてきたのか?」
「そう! 連れてきちゃった。ははは」
「分かった」
親方はリアシーさんの目を見始め、相手がなにか言うのをじっと待っている様子だ。
「なにもないのか? 別になんでも聞いて良いぞ」
「……ドラゴンは喋れるんですか?」
「シャベレルゾ! ホラ!」
親方じゃない声が親方の辺りから聞こえてくる。多分口から発声してる訳じゃないんだよ。魔法でも使ってんのかな?
「……本当ですか?」
「ホントダ!」
「用はそれだけか?」
「どう? 信じてくれた? 僕たちの中にエリーが居るってこと」
「まだ信じられないところもあります、が、大臣さん、アナタの言うこと少し信じます。ホントに私を助けてくれたドラゴンはアナタたちの中に居るんですね?」
「うん。言いたいことがあるなら言ってみたら?」
困惑した表情の親方は暇そうに家の中を眺めている。親方は、なにがなんだか分からないだろうし、しょうがないな。後で説明しないと。
「あの、あの時は助けてくださりありがとうございました」
(そんなー。別に感謝なんかしなくてもいいのに)
「感謝しなくていいって。はは」
「……」
「もう無い? 無いならタグュールさんのとこ行っちゃおうよ」
案外言いたいこととかないんだな。神聖なものだと思ってるから恐れ多いみたいなことか?
この二人が助けられた理由は恋人だから。それなのに、助けられたはずなのに、どうしてか二人は遠く離れてしまっていた。だから感謝してるけど意味なかったよ。みたいな感じ? いやぁ、良く分からん。複雑だ。
「それじゃあ、ミリはまた後でね?」
「私はもう帰るぞ。会いたかったらこの通りで一番大きな家に来てくれ」
「え? 引っ越したんですか?」
「見れば分かるだろ。ここじゃ狭いからな」
「はぁ、後で行っても良いですか?」
「もちろんだ。カエデと一緒にな」
「ありがとうございます。その時はよろしくお願いします!」
そんな感じで親方の家を出て行く。さて、やっとタグュールさんとリアシーさんが再会するぞ。俺個人的にはこれの為にやってたみたいなところもあるしな。
「ミリアさん元気そうでしたね!」
「うん。そうだね……」
ちょっと前から親方が元気なことは知ってた。テレパシーで。
てか、親方の引っ越し先ってどこら辺? もしかしてアーノルドさん達が工事してたとこかな。ここより大きいとこも少ないし。
(いやぁ、もうすぐ再会するんだね! 楽しみぃー)
「大丈夫なのかな?」
(え? なんで?)
「だってもう結構昔のことじゃん。仲良くできるのかなって」
(ここまで来てるんだよ? 普通は来れないよ)
「そうなのかな?」
ここまで来てはいるけど、ほとんど大臣が無理やり連れてきたようなもんだしな。もちろん来たいって気持ちはあっただろうけど、でもなぁ。
それとこれから仲良く出来るかどうかって別の問題じゃないか?
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