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147 「早朝からはじめまして」まで

 

 翌朝、まだ陽が昇って間もない頃。

 俺は起きた。なんだかいつもより眠りが深いような気がしたので、もしかしたら昨晩(さくばん)(こころみ)は成功してたのかもしれない。

 そもそも魔法を使ったことにより疲れて眠ったのか、魔法にかかって眠ったのかは分からないが、そんなことはどうでもいいくらいいい目覚めだ。晴れだし。

 ちょっとだけ雨が(こい)しいような……うーん、晴れしかないのも退屈かもな。


 みんなはまだ寝てる。そして朝はちょっと寒い。遠くで火でも焚こうかな。


 コソコソと布団から抜け出し、森の中を歩く。ちょうどいいような広い場所があったので、そこに焚火を作った。


 はぁ……今日もドラゴンに乗るのか……しかも長時間……ダルいなぁ。


 そんなことを考えていると上空にドラゴンの群れが見えた。うーん。めんどくさいからバレないようにしようかな。

 そう考えながら火を消して、みんなの所に戻った。


「あ! おはようございます!」

「起きてたんだ。おはよう」

「朝ごはん用意してますよ」

「あ、ありがとう」


 目の前にはスープがあった。水なんてどこにあったんだろ。

 中身はドラゴンの肉とちょっとした野菜。ぶっちゃけそこまで美味しいわけではなかったけど、旅の途中ならこんなもんだろう。


「食べ終わった? ならもう行こうよ?」

「え?……早くないですか?」

「だって寄り道するんでしょ? ね?」

「……」

「ははは! とりあえずもう準備始めるからね?」


 大臣は朝から元気そうだなぁ。さっきまで使っていた寝具とかテントとかをガンガンカバンの中にしまっていく。

 俺もそれをボーッと見てるだけというわけにもいかないので、火を消したり、スープが入っていた鍋を洗ったりした。


 ……リアシーさんも一応俺たちを手伝ってくれてる。まぁ、なんとなく敵意は感じるけれども。

 そんなこんなでいつの間にやら出発することに。目的地はおそらくレイの居る山。そこまで行ったらなんか帰ってきた感が出てくるな。


「君はどうする? また気絶する?」

「……乗らないといけないのでしょう?」

「ははは、そうだね。乗り方はみんなにエラに教えてもらってよ」

「あー、私ですか? 私がリィーアシィに乗り方を教えるんですね?」

「そう。よろしくね」

「はい。分かりましたー」


 エラさんが乗り方を教えてる間に、俺たちはもう縄をグルグルに巻きつけ、いつでも飛び立つ準備が出来た。まだかなぁ……


「それじゃ行こうか! ははは!」


 楽しそうに号令する大臣について行き、空を飛ぶ。あぁ、この瞬間はやっぱり緊張するな。

 上空に飛び出ると不思議とドラゴンが沢山居た。あれ? 前もこんな感じだったっけ?


(おかしいな)

「え? どうしたの?」

(この時間に群れが移動していることは珍しい。巣が無くなったことで生態系(せいたいけい)が狂ったか?)

「狂った? 狂うとどうなるの?」

(次の定住(ていじゅう)の地を見つけるまでは凶暴になる。おそらく街に突っ込んでくる奴らも増えるだろうな)

「あっちは普通だったのにね」

(ドラゴンの腐敗臭(ふはいしゅう)を感じて危険だと判断したのだろう。それか魔力の流れのせいか)

「あぁ、そんな話し前にしてたね」


 確か魔力が上空に漂うことでドラゴンが凶暴になるだのなんだの。え? てか、人間は大丈夫なの?


「え、それってみんなは大丈夫なの?」

(魔力の過剰摂取(かじょうせっしゅ)か? 間違いなく影響はあるだろうな。ただ、それでいきなり人間同士が殺し合うようなことはない)

「へぇ……」

(……それか、自らの中に溜まった魔力を排出するための魔法を覚えるかもしれないな。どちらにせよ人間に無害だということはないだろう)


 はぁ……また問題だよ。しかも俺達のせいだし。ドラゴンの巣にもまだまだ死体が残ってるし、うーん。なんかなぁ。

 そんなことを考えていると目的地の山に着いた。もうここに来るの何回目だ。


「ふぅ……それじゃあここからは歩いて行こうか」


 適当な場所にドラゴンを止め、頂上を目指す。

 道中は全然会話がない。みんなちょっと眠たいんだろう。

 あれ? 考えてみればカエデさんも初めて話すのかな。いや、エラさんも?


「ここだよ。ここなら君でもドラゴンと話せる」

「これはなんですか?」

「さぁ。レイくんが作ったんじゃない?」


 人工物っぽい建物を不審がりながらも、みんなで中に進んでいく。カエデさんはちょっと不安なようで、手をギュッと握ってきた。

 目の前には現れたレイは白い鱗がキラキラと光っていて、死ぬほど神聖な雰囲気を(かも)し出しまくっている。


〈またか〉

「うん。また来たよ? はは」

〈何をしに来た〉

「彼女と話してあげて? 話したいんだってさ」


 そう言われて出てきたリアシーさんはめちゃくちゃ驚いてる様子だ。

 カエデさんやエラさんは意外と驚いてない。ルドリーとかのこと知ってたからかな。あれ? エラさんに話したっけ? 大臣が話したのかな?


「あ、わ、私は……」

「ははは! そんなに緊張しなくて大丈夫だよ!」

「……ドラゴンが神の使いだと言うのは真実でしょうか?」

〈それは違う。我々には神の声は聞こえない〉


 あらら。神の使いじゃないんだ。

 リアシーさんは動揺が収まらずに、その場にしゃがんでしまった。なんか残酷だなぁ。もっとやり方あったんじゃないの?

 大臣は楽しそうニヤニヤしてる。ホントに性格は悪いんだな。




読んでいただきありがとうございました!


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