144 また会った?
思ったより寝てしまった。昨日は夜遅くまで起きてたし、そこそこ魔法を使ったからそれが理由だろう。
そしてまだ大臣は帰ってきていない。さらに外は今日も雨だ。
風邪は多分治っているが、大事をとってドラゴンの解体作業を手伝うのは辞めておいた。これで拗らせたら、帰りがいつになるのか分からなくなってしまう。
寒いから焚火の部屋にでも行った。誰も居なかった。ヘルミーさんが居ないのはなんで? 雨の日に出かけるなんて珍しいな。
とりあえず火を付け、なんとなくポケッとする。ふぅ……
あーあー、親方ー、聞こえますかぁー?
暇だったので親方に交信してみよう。聞こえてるかな?
(聞こえてるぞ。どうした?)
(いや、元気かなって……あの、もうすぐ帰ります)
(そうか。分かった……お前も少しは弓、上手くなったか?)
(いや、魔法ばっかりで……あ、そういえばまた大きなドラゴン倒しましたよ。話しかけてくるドラゴンが増えました)
(魔法で倒したのか?……)
(まぁ、後、大臣が作った剣で……)
ん? これ言って良かったのか? 魔法で作った剣で、大きなドラゴン倒したってあんまり言わない方が……言わなくても絶対いつかバレるか。
(でもアレですよ? 親方の剣とかの方が使いやすかったですよ?)
(気を使わなくて良い。私は私のやるべき事がある。ただそれだけの話なんだ)
(……みんな元気ですか? アイラとかハヤトは)
(おそらくな。私もあんまり顔を合わせないからよく分からない)
(まぁ、とにかくもうすぐ帰れると思います。それまでは……)
それまではって言った後に気付いたが、俺もう鍛冶屋じゃなかった。だから俺が帰ったところで親方的にはなんも変わらないんだ。
(ルイスくんは? どうしてますか?)
(彼も魔法を覚えたよ……たまに仕事を手伝ってくれている)
(俺も、帰ったら手伝います。少しは休めると思うんで)
(また用が出来たのか? それなら手伝う必要もないぞ)
(うーん。また別の他国も見つかったので……ただすぐには行かないらしいので、そうですね……)
(良かったな、それじゃあ私は作業に移るからまたな)
(あ、また)
テレパシーが終わってなんだか虚しくなる。俺はもう親方と仕事することもなくなったのかな。
どうやったらもう一回鍛冶屋を開けるんだ? 鍛冶屋をやらせて貰えないのは店を大爆発させたことだけが理由じゃない気がするから、難しい。
親方の剣を戦闘で使えるようにならないかなぁ。もう隠れて使っちゃう? もう怒られたら怒られたで良いから、親方に剣作ってもらおうかな。
魔法を覚えてるからかちょっと大体になってきてるぞ? 武器が無くても魔法使えない人間相手だったら楽勝だからな。
そんなことを考えていると、玄関から扉が開く音が聞こえてきた。みんな帰ってきたのかな?
「あ! 大臣? おつかれさまです」
「ははは。おつかれ」
「思ったより早かったですね」
「そう? まぁ魔法も使ってたからね? はは!」
昨日の夜には戻り始めてるって話だったよね? もしかして寝てない? それともそこまで遠くないのかな?
「僕は寝るから。それじゃおやすみ」
「あ、おやすみなさい……」
魔法を使って疲れたから眠たいのか、徹夜だから眠たいのか。もしかしたら両方かもしれない。
しかも何故か寝室じゃなくてここで眠り始めた。なんかこの部屋にも居づらくなっちゃったな。でも風邪と、雨のせいで外には出られないし……ちょっと俺も寝るか。
寝る前に軽く手のひらに火の玉を作る。このイメージが一番コンパクトで、分かりやすくて、やりやすい。別に火じゃなくて水でもなんでも良いんだけど、こういうの漫画やアニメでよく見るしな。
結局イメージしやすいものであればなんでも良いわけだし。
そろそろ眠くなってきたかな。はぁ……寝よ
…………………………………………
どこか見覚えがあるような、ないような場所にいる。ここはどこだ?
雲の上? なにこれ。
「久しぶりー! 元気だったー?」
「え? 誰ですか?」
「忘れてるの!? えー、ショック……」
「ごめんなさい……」
目の前の女性は何故か俺のことを知っている。俺もこの人のことを知ってる気がするけど、分からん。
「今回君を呼んだ理由は簡単! もうすぐ大変なことが起こるからそれの忠告ね?」
「大変なこと? どんなことですか?」
「それは言えないの……言っても良いけどね?」
どっちなんだ。この人なんなんだろ。てかここどこ? この人誰?
「アナタには私がついてるんだから、もっと好きなように生きても良いんだよ?」
「好きなように」
「そう。君の役割が終わるまではずっと見てるから。それまではね」
俺の役割ってなに? 何かやらないといけない事があるの? やらなきゃいけないことってなんだ? てか、この人誰だ?
「それじゃあ、またねー」
「あ、はい……」
……………………………………………
目を覚ますと、目の前にはまだ燃え続ける焚火と寝ている大臣が居た。夢だったのか……あ、そういえば見たことあるような気がしてたけど、夢で見たのかな? そんな気がしてきたぞ?
夢って不思議だからな、そんな感じのことが起こってもおかしくはないのか。
変な寝起きだった。そのせいか知らんがなんだか寝足りない感覚がまだある。どうせ明日には帰ることになってるんだろうから今は沢山寝ておこう。
二度寝をすることに決めた。
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