表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/334

135 エリーさん

 

 服を着替える時は流石に分かれた。こんな狭い部屋で一緒に着替えるなんて流石に頭がおかしいと思う。普通にヤバい。

 服を脱いだときに軽く自分の背中を触ったが、予想通り汗が滝のように流れていた。これを流すため早いとこ温泉に入りたい。

 そういえばみんなしてないけど、かけ湯とかしなくても良いのかな? まぁ、良いか!


「あ、カエデさん……」

「あ、はい……」


 変な空気で再開し、また腕を組んで歩く。ちょっとは慣れて来たけど、まだまだ緊張するな。

 そろそろこの謎を解決するために頑張ろうか。間違いなく俺が寝てる間に何かあったはずだからそこを聞いてみよう。


「……カエデさん?」

「え? なんですか?」

「えーーと……いつ頃起きたの?」

「私は次の日の夕方ぐらいですね。みんなもう起きてると思ってたんですけど、アキラさんが……」

「あぁ、それから大臣達とまたあそこに?」

「はい、あ! そういえば荷物も見つかったみたいですよ? 重いのでまだ置いてあるみたいですけど」

「その時に何話したの?」

「話したことですか?……うーん。大臣さんがずっとあの……ドラゴンさんに話しかけていて……それを聞いてました」

「ドラゴン? あぁ、あの大きなドラゴンかぁ……そっか、そういえば今も居るの?」

「え!? い、今もですか? えー……………」

「どうしたの?」

「い、いや! なんでもないですよ!……」


 いきなり大きな声で驚いたのでこっちも驚いた。そんな変な質問だったかな。もしかしてドラゴンのせい? ドラゴンの質問した途端に今までよりも動揺し始めたからな……

 ルドリーとかグェールのことを考えるとそれぐらいしてもおかしくはないのかもなぁ。ただなんの目的で?


「あ、あ! 綺麗な色ですよ、は、入ってみませんか?」

「う、うん。入ろっか」


 カエデさんは話題を切り替えるためか目の前の水色をした温泉に興味を示した。少し足を入れるとハッカみたいに少しヒンヤリする。それでもお湯は暖かいので不思議な感覚だ。ふぅ……リラックスできそう。


 はぁ……落ち着くなぁ。ただそれ以上に頭が働く。分かってきたぞ?

 今回、カエデさんがこんなに積極的になったきっかけはおそらくドラゴンだ。まだ名前は決まってないけど、俺が倒した蛇のドラゴン。


 だってドラゴンの話をした時のカエデさんの反応が明らかに何か隠してる時の反応だった。

 それに俺も経験があるから分かるけど、ドラゴンは意外と普通に話しかけてくるし、普通に仲良くなれる。


 俺も長く寝てたから、二人? で話す時間も十分にあっただろう。それにこれはイメージだけど女性って恋バナ好きそう。まぁ、ドラゴンの場合もそうなのかは分からないけどさ。あのドラゴンも女性だ。


 なんか頭が冴えかけてるような気がする。俺もそのドラゴンに話しかけてみようかな。


「あの……今見てますか?」

「え? 何がですか?」

「蛇のドラゴン……名前分かんなくてすみません……」

「……エリーって名前らしいですよ? エリーさん」

「エリー?」


 へぇ。ルドリーが名前なかったからそういうもんなのかと思ってたけど、普通はドラゴンも自分に名前つけるもんなのかな? グェールもそうだったし。


「……気付いちゃいました?」

「……エリーさんに言われてたの?」

「でも私の、私の為なんです……」

「え? そうなの?」

「相談に乗ってもらってたんです。エリーさんに」


 俺はそんなに長いこと寝てたのか? 恋の相談が出来るほど仲良くなってるの? 流石に早くない? いや、三日もあればそうなってもおかしくないかぁ……


「どうやったらもっと仲良くなれるのかなって」

「そっか……そうかぁ……」


 うーん。よく分からんけど、エリーさんは良い人?っぽいな。ちょっとどういう流れで恋の相談をすることになったかは分からないけど、でも、そういうドラゴンが居てもおかしくはないか。


「それなら……てか、ちょっと温泉変える? 身体の芯が冷えてきた……何故か」

「そうしますか? 他の場所も探してみましょう!」

(なら私のオススメはどう? せっかくだしね?)

「あ、エリーさん」


 ここに来て会話に入り込んでくる。俺にも聞こえるように話してくれたみたいだ。

 てか、ドラゴンってなんなの? なんでこんなに普通の人みたいに喋れるんだ?

 そもそもドラゴンが勧める温泉ってなんだ! たまに入ったりしてんのかな。


(こっちの方を進んで? その先にあるから)

「はい!」


 カエデさんがエリーさんの指示通りに道を行く。俺にもその会話が聞こえてきたが、思っていた異常に仲良さそうだった。もしかしたら俺より先に契約しちゃうかもしれないな。


(おせっかいなドラゴンだな)

「いいじゃん。悪いことはされてないし」

(お前らで遊んでるだけだぞ)

「まぁ、しょうがないよ。これから長い付き合いになるんだし。多分」


 ルドリーもそこそこおせっかいな気がする。俺から助けを求めることも多いけど。

 ひたすら道を歩いた。二人で歩いてるはずなのに会話は四人でしている。

 今は腕を組んだりとか、手を繋いだりとか、そういう恋人っぽいことはせず普通にしている。


 うーん……なんかされないならされないで寂しいな。もうちょっと知らんぷりしとけば良かったかな?

 なんだか見覚えのある道を歩きながらちょっと後悔していた。




読んでいただきありがとうございます!


よろしければ下の☆マークから評価等もよろしくお願いします!


ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ