134 たらふく食べる
起きた時にはヘルミーさんの家だった。起きてもまだ眠たかった。でもそれ以上にお腹が空いてたので起き上がることにした。
(おはよ。アキラさん)
「あ、おはよう……あれ?」
(前の蛇だ。お前、三日も寝てたぞ)
「マジで?……なんかそういうの懐かしい……」
三日間もずっと寝てたのか。はぁ……だからこんなにお腹が空いてるんだなぁ。
なんか街が騒がしいような気もするが寝ぼけたまま焚火の部屋に向かう。廊下にも熱が伝わってきたので、おそらく中にも誰か居るぞ。
「おはようございます
「あ……おはようございます……」
「あ、ヘルミーさん……」
「……はい」
なんでこんなに慌ててるんだってぐらい俺と目が合うと動揺していた。
しばらくして落ち着きを取り戻したヘルミーさんが俺に向き直って一言。
「お疲れ様でした」
「あ、どうも……ここは大丈夫でした?」
「はい。被害はほとんどありませんでした。本当にありがとうございます……」
深々と頭を下げられる。今までは勝手にデカいドラゴン倒してたから、こういうの無かったな。
そんなにこの街のことを考えてたわけじゃないけど、こうやって感謝されるのは悪い気がしないな。
「みんなはどこに? 分かりますか?」
「あの、ドラゴンの素材を取りに行ってるみたいです。鱗とかですね」
「あぁ……そっか……」
鱗持って帰ってあげたら親方驚くだろうなぁ。そういえば俺たちどうやって帰るんだろ? こんなに長居したら流石にみんな心配してるかもだし、早いとこ帰りたい。
「何か食べ物とか……」
「ドラゴンの肉ならいくらでもありますよ……それとも食べに行きますか?」
「あぁ……近くにお店とかあります?」
「そんなに歩かないと思いますよ」
「うーん……」
本当は今すぐにでも食べたいけどないならしょうがないかな。歩くのめんどくさいけど、行くかぁ? いやぁ、このまま食べないわけにもいかないし。
「ならすみません……食べに行きます」
「私もちょうど食べようと思っていたので。お気になさらず」
「はい……」
俺は気怠いまま外に出る。さっきの会話でなんとなく察していたが晴れていた。ずっと雨が降ってるわけでもないらしい。そんなこと前にも思ったな。
なんとなく街の様子を見てみると、賑やかな気もする。そういえばあの大量のドラゴンの死体はどうなってるんだろう。
「ドラゴンってどんぐらい居ました?」
「……数えられないほどです。これで当分、ドラゴンに困ることはないと思います」
「そうですか……まぁ、あれだけ居たらね」
この国お金の価値は大丈夫なのか? 今までドラゴンを狩って生活してた人たちは困ってそう。
俺に関係あるのかないのかよく分からないことを考えながら歩いて行くと広場に屋台が開かれまくってた。そして人も居まくってた。
「凄い人ですね」
「はい。ずっとお祭り騒ぎですよ」
「ここのやつ食べちゃっても?」
「屋台で食べますか?」
「まぁ、ちょっとぐらい食べたいかなぁって」
せっかくなら食べたい。こんな人混みの中に長く居たくはないが、それでもお腹は空いてる。今すぐにでもなんか食べたいぐらい。なら家で食べれば良かったのに。
適当に食べた後、人混みを掻き分けながらちょっと古めのお店に入った。前とは違う店。
中は予想外にガランっとしていた。外にあれだけ食べ物があるからわざわざ入らないのかもしれない。
店員さんがメニュー表を持って近くにきた。
「何食べますかぁ?」
「あ、ちょっと待って貰っても……」
「もちろんですよ! はは」
メニュー表を見ながら迷っていると、ヘルミーさんが話しかけて来る。
「好きな物を好きなだけ食べてくださいね」
「あぁ、ホントですか?」
「はい……実は私たちもどうやってお礼をすれば良いのか分かってないんです。なのでお気を使わずに」
「なら……出来るだけ沢山貰っても良いですかね?」
「ん? どういうことですかぁ?」
「まぁ……なんか沢山食べたいです……」
「は、はぁ……なら沢山作りますわぁ」
そう言って店員さんは厨房の方に消えた。自分でもなんで出来るだけとか言ったのか分からないが、マジでいくらでも食べれるような気がしたので、つい口から出てしまった。
「お気を使われなくても良いんですよ?」
「いや、そんなことないですよ? はい」
「そうですか……それならば良かったです」
気を使われ続けるのも辛いもんだ。このままずっと接してこられたらちょっと嫌かも……そして嫌とか言いづらいのもめんどい。
その後テーブルに沢山並んだご飯をバクバク食べて行く。その様子を見て店員さんとかも驚いていたが、それぐらいに腹が減っていたのだ。魔法を使うと眠くなって腹が減る。
それが面倒であんまり魔法の練習をしてないところもある。でも、こんなことがこれからもあるかもって考えるとちゃんと練習した方が良いのかな? 練習っていうか訓練とか特訓ってほうが正しそうだけど。
それからお腹いっぱいになるまでご飯を食べた。客は俺たちぐらいしか居なかったが、店員さんは満員ぐらい忙しそうだった。ちょっと申し訳ない。
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