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130 良い奴

 

 ザァーザァーッ雨が降っている中で魔法の練習。なにをすれば良いのかなぁ。


「魔法の練習ってなんかあるかな?」

(それより先に剣を試したらどうだ?)

「たすかに」

(なんだそれは……)


 今日は一人でドラゴン狩り。一応みんなも誘ってみたけど、どうやら話すことがあるらしい。どうして俺には話すことがないんだ……

 まあまあ、計画を俺の代わりに立ててくれてると考えればスゲェありがたいんだけど、なんかとんでもないバカだと思われてないか? そんなにだっけ?


「どこにいんのかなぁー。雨だから早く終わりにしたいんだけどなぁ」

(そもそも今回お前の出番はないだろう?)

「……かもねぇ。でも魔法は使えたほうが良いじゃん」

(その必要もないな)

「え? なんで?」

(…………)


 …………あらら。なんで? 今質問したよね? なんで返事が返ってこないの! ねぇ!


 歩いているとルドリーみたいなトカゲが居た。ちょうど色も水色みたいな感じだし、鱗がキラキラしてるし。

 ちょうどいいからコイツをヤるとするか……グフフフ……


 ゆったりとした動きのトカゲに向かって剣を振り下ろす。それは特に問題なくスパッとトカゲを真っ二つにする。これなら普通に使えそうだな。やっぱり大臣って天才か?


「まぁ、剣はこれでいいかな」


 独り言を呟きながらトカゲを引きずって街の方に戻る。魔法を使った後は出来るだけ歩きたくない。


「ドラゴンの鱗ってなんで色が違うの?」

(さぁな。食べ物じゃないか?)

「ルドリーって生まれた頃からこんな感じの色だった?」

(違う。成長するにつれて色が変わっていった)

「食べ物なのかな?」


 そういうのは大臣の方が詳しいのかもしれない。


 街には近づくが、近すぎると人に見られる可能性……いや、俺は魔法使ってるとこ見られてもいいんだ! もうバレてるし。ならもっと街のそばで練習しよ。なんなら街の中でも! それは辞めとくか。


(何をするんだ?)

「魔法の練習。言ったじゃん」

(だからなにをするんだ?)

「ん?……あぁ、何しよ……何したらいいと思う?」

(魔法を使うならなんでもいいんだろ?)

「うん……」


 なんでもいいが一番困るんだわぁ。魔法かぁ。なにを練習しようかな。


 こんなに雨が降りしきってる中で、ずぶ濡れになってる自分を思い出した。なので傘を作った後、自分の体をカラッと乾燥させることにしよう。


 ……オラ!……出来た!


「よし……どう?」

(さぁな)

「淡白な返事だなぁ。そりゃそうか」


 他にも焚火をしてみる。

 ブワッと集中するとこんな雨の中でも関係ないみたいに大きな火が出来て、ちょっとビビった。もしかしたらスティーに頼まなくてもなんとかなるんじゃね?


 そんな感じで魔法を使っていると予想通り疲れて、眠くなってくる。しかもお腹も減る。

 あぁ、そういえば今日雨だからお店やってないんじゃないの? でも、ヘルミーさんに頼むのもなぁ。


 目の前で真っ二つになっているドラゴンに目が行く。そしてちょうど焚火も目の前にある。


「これ食べちゃおうかな……」

(好きにしたらどうだ?)

「確かに……」


 街の中に戻る前に、ドラゴンの丸焼きを作ることにした。調味料とかもないからそんなに……調味料も作ってみるか。

 自分の中に残ってる気力を振り絞って調味料一式を魔法で作り出す。塩とか醤油とか。足りなくなったらまた作ればいいし、今はこんなもんかな。


 別にこだわりともないから先に醤油やら塩やらを肉に振りかける。ジュージューッと音が鳴ってスゲェ美味そうだ。

 じっと眠くなりながら焼けるのを待つ。傘があるとはいえ足先は濡れる。出来れば大臣がやったみたいに小屋を作りたかったが、そんな体力もなかった。


「暇だなぁ……」

(知るか)

「冷たいなぁ……」

(雨だからな)

「……ルドリーはホントに俺と契約したいの?」

(当たり前だろ。どうしてだ?)

「なら、やっぱり迷ってるのは俺なんだなぁ。なんで迷ってるんだろ? なんで迷ってると思う?」

(真剣な話か?)

「もしかして検討付いてる感じ? 契約出来ない理由の」

(まぁな)


 マジか。俺はマジでなんでかよく分からないんだよな。てか、知ってるんならもっと早く教えてくれていいのに。


「で、理由はなんなの?」

(お前がお前のことを分かってないんだ。だから我を受け入れる余裕がない)

「……それはマジで! あるね……俺ってどんな人かなぁ」

(さぁな。ただ悪いやつではないだろ)


 肉からいい匂いがしてきた。さてもう食べるとするか……

 ガブリッとかぶりつくと肉汁みたいなのがバシャバシャって感じで出てきて美味かった。

 美味いけど、別に美味かったとしても俺は俺を理解出来ないんだ……はぁ……病みそう……


(お前は自分で思っている以上には良い奴だぞ)

「マジで?」

(周りの奴と比べたら分かるだろ)

「まぁ……」

(ただそこまで良い奴でもないぞ)

「どっちなの……」

(今は良い奴だ)

「そう……」


 確かに大臣とか親方と比べる良い人かもしれない……いや、親方は普通に良い人だなぁ。だとすると大臣よりは良い人? それは全人類か。


 それから目の前の肉を片付ける為にひたすら食べた。そこそこ大きかったが、全部食べれた。ここに来てからめちゃくちゃ大食いになっちゃったかもなぁ。


 焚火や傘を片付けて、手ぶらで街に戻る。きっと門番に同情とかされるんだろうな。手ぶらだから。


読んでいただきありがとうございました!


よろしければ下の☆マークからの評価などもよろしくお願いします!


ありがとうございます!

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