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129 ぶっ倒れたよ。

 

「アキラさん! 大丈夫ですか!」

「…………はっ!」


 はっ! と起き上がる。目の前には空と沢山の人の顔。おそらく俺は寝転がって……いや、普通にのぼせて倒れたな? 倒れるまで浸かってたのかこのバカは。

 受付っぽい人に差し出されたコーラみたいな炭酸を上半身を起こしてから飲む。美味い。


「大丈夫ですか?……」

「うん……びっくりしたぁ」

「あそこの湯は良く倒れるやつが居るんだよ。どうも興奮作用があるみたいでな」

「あぁ……通りで」

「ふっ……彼女さんにカッコ悪りぃとこ見せちまったかぁ? 慣れてないんだからぁ、危ねぇことすんなよぉ?」

「はい……」


 今考えてみれば普通に「もう出よっか?」みたいなこと言えば良かっただけじゃん。変にカッコつけちゃったなぁ。良くないぞぉー。


「もう戻りますか?」

「うん……そうする……」

「汗は流して行ったほうがいいぞ。ふふふ」


 受付のおじさんに言われたので、ちょっとフラフラする頭で泉に向かう。こんな調子でドラゴンの巣を制覇(せいは)出来るのかな。


「もし、ダメそうなら言ってください……」

「いやぁ、もう大丈夫だよ。うん」

「そうですか? なら……」


 泉で汗を流してみると大分頭がスッキリした。やっぱり冷たい水浴びると身体が冷えるな。当たり前だけど。

 まだ陽は高かったが、流石にもう一回温泉に入る気にもなれなかったので、ヘルミーさんの家に帰ることにした。帰り道、受付のおじさんに貰った炭酸を飲みながら。


「ただいまぁ……」


 寄り道することもなく真っ直ぐ帰ってきた。家の中には誰もいない。やっぱりみんな忙しいのかな。

 焚火の部屋に火は付いてなかった。なら焚火の部屋じゃなくてただの広い部屋だな。


 不意に雑貨屋で貰った変なのが頭に浮かぶ。本当に不意に。

 それを自分の荷物を置いてる場所に取りに行って、じっと眺めてみることにした。迷ってる人が買っていく謎の物。


「それってなんですか?」

「良く分かんない……けど、迷ってる人が買う物なんだって」

「名前とかは?」

「あぁ、そういえば聞いてないかも。何に使うのかも分からないし」

「……でも綺麗ですね。キラキラしてて」

「だけど、なんだろうね、コレ」


 宝石であろう石が散りばめられたコンパスみたいなやつを眺める。もし、ここにグェールが居てくれたらコレにも名前をつけてくれたのかな。

 今度また雑貨屋にも行ってみようかな。どうせ暇な時間もあるだろうし。なんなら今から行こうかな。


「雑貨屋の人に名前だけでも聞いてみようかな。雨になるといけないから」

「なら一緒に行っても良いですか?」

「もちろん。ついでに飲み物でも買いに行こうか」


 また外に出かける。明日が雨なら街を歩けるのも残り少ないだろうし、こういう無駄? な外出も悪くない。

 大臣はこういう時間に魔法を練習してんのかな。今度どうやって練習してんのか具体的に聞いてみたいな。

 俺も本当はもっと魔法とかも上手くなりたいんだよ。ただ普通に生きてるとそういうことは忘れがち、どんなメンタルで生きてたらあんな風になれるんだろ。


「どこだっけ? 覚えてる?」

「こちらで合ってますよ? 案内するので安心してください!」

「スゴ。なんでそんなに?」

「道を覚えるのは得意なんです! 昔から迷うことは少なくて」

「そうなんだ……」


 俺も昔は迷ったりなんてなかったけど、ここに来てからは良く迷ってる気がする。考え事とかじゃなくて、普通に道に迷ってる。


 そんな感じで歩いていくと前に見た雑貨屋があった。どうせなら何か買っていきたいけど、お金を払うわけでもないので、なんだか躊躇われる。まぁ、ちょっとぐらいなら……


「いらっしゃいませぇ」

「あ、こんにちは」

「おぉ、あなた方のことは覚えていますよぉ。確か、他の国から来た方々」

「はい……あの、聞きたいことがあってきたんですけど」

「なんなりと」

「この間の……これって名前とかはあります?」

「あぁ、名前ですか? 名前は……ないです」

「え?ない?」


 名前が無いなんてことはないだろう。だってヘルミーさんも知ってたし、街の人達も知ってた。それなのに名前が無いなんてありえん!


「はい。ないです。だからみんな勝手に名前を付けて呼んでるんですぅ。ユニとかペースとかジュピとか」

「ホントですか?……」

「私はアルって呼んでますよぉ」

「アル?……なら俺もそう呼びます……」

「どうぞ。なんと呼んでも良いですし、何に使ってもいいです」


 マジでこれはなんなんだ。西洋風な人の名前で呼ばれているみたいだけど、なんで? これがこの国で流行っている理由が知りたい。マジで意味不明だから。


「これっていつからあるんですか?」

「さぁ? 私が生まれた時にはありましたよ? 多分」

「そんなに?」


 謎は深まるばかりだ。そんなに昔からあるのに名前が付いて無い理由がマジで分からない。使用用途はもっと分からない。


「結局、分かんないね」

「そうですね……でも、素敵な物だと思いますよ?」

「確かに……そうかもだけど」


 綺麗ではあるし、嫌いでも無いんだけど、こんなに謎ばかりだと謎だ。

 それから親方の為に金属で出来たオシャレすぎる形をしたランプを買っていった。二つの金属の板が捻れに捻れている。しかし、肝心のランプ部分には捻れた金属がない。これもまた謎だ。

 どうやら暗いとこで付けると間接照明的になるらしい。なにそれ?


読んでいただきありがとうございます!


よろしければ下の☆マークからの評価などもよろしくお願いします!


ありがとうございました!

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