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110 あったけど橋

 

 休憩が終わった後、またドラゴンにまたがり空を飛ぶ。もう全身のあちこちがバキバキになってきたし、空を飛んでる快感? みたいなのも無くなってきたから「早く目的地見つかれ!」って本気で思ってきてる。雨だし。


 雨だから遠くも見えない。下は草原がどこまでも続く、雨がモヤみたいになってて、空の景色は変わらない。どれだけ進んだの? とか思いながら飛んでいた。


「なーんにもないですね。こっちじゃないとかありますかね?」

「もしかしたらね。雨が晴れるのを待った方がいいかもしれない」

「でも、これがいつまで続くのかって分からないですよね? それなら探し続けた方が良いような気もするんですけど」


 火山を抜けたらすぐに見つかるだろうとか思ってたけど、逆にこれからが大変なのか? このまま永遠に空をさまよい続けることになるのかもしれない……


(こっちじゃないぞ)

「え?」

(こっちじゃなくて戻ったところに街がある)

「マジで? なんで知ってるの?」

(小さなアイツが教えてくれてるみたいだな。後ろをよく見てみろ。少しだけ光ってるだろ)

「あ、ホントだ。スティーかな?」


 ルドリーから応答がない。用件が終わったからかもう黙ってしまった。


 スティーがルドリーを通して街の場所を教えてくれてるみたいだ。てか、話すのチョー久しぶりなんだけど。

 あれ? もしかして大臣とかは聞こえてない? 教えてあげた方が良さそうだな。


「あの、すみません……」

「え? どうしたの?」

「なんかこっちじゃなくてあっちに街があるみたいです」


 進行方向ではなく、(かす)かに光っているほうを指差す。みんなはいきなり俺がなにを言い出したのかと驚いている様子だ。


「あ、ルドリーが……」

「そう? ならそっちに行ってみようか」


 大臣は俺の言うことを聞いて、その方向にドラゴンの向きを変えた。変えたっていうか、指示した。


「ルドリー久しぶりだね。なにしてたの?」

(話すようなこともなかっただろう)

「えー? あったでしょ? だって旅してんだよ?」

(余裕があるようには見えなかったがな)

「あー、どうだろ」


 気を使ってくれてたみたいな? ルドリー……ホントか?

 でも確かにここにきてやっと気持ちの整理がついてきたような気がしないでもない。いや、そんなこともないな。

 この状況を受け入れつつあるって感じか?……とにかくなるようになれって感じだな。


「あれかな? ちょっとうっすら明かりが見えるでしょ?」

「えー、確かに……雨でよく見えないですけど……」

「このままドラゴンで行くと驚かせちゃうからさ。もうちょっと近づいたら徒歩で行こうね?」

「分かりました! どんな人達がいるんだろう……」


 ワクワクとドキドキと不安とかとでめちゃくちゃ心臓がバクバクなってる。おそらくカエデさんもそうだろう。

 大臣やエラさんは平常心を保っているように見えた。やっぱりなんか普通の人と違うな。


「ここら辺で降りますかー? これ以上近づくともしかしたら見つかってしまうかもしれないですし」

「そうしよっか。降りるよー!」


 ドラゴンの群れが地上へと進んでいく。今まで完全に草原だった地面には少しだけ木々が生え始めていた。

 出来るだけ見つかりにくそうな場所にドラゴン達を隠して、明かりが見える方向に歩き出す。


 地上に来て分かったが、その明かりは少しだけ高いところにあった。もしかしたら灯台的な建物があるのかもしれない。だとするともう見つかってる可能性も……いや、こんなにザァーザァー降りなんだから多分、大丈夫なはず。


 その後スタスタと歩くとそこには街があった。マジであった。

 見た感じセントラルよりは少し小さめな気もするけど、普通に大きな国だ。街の外からの敵を侵入させないために作られたであろう石壁もそこそこの高さで積み重なっている。

 なので門を見つけないといけない。


「どこに入り口とかあるんですかね」

「探せば見つかるでしょ」

「どこでしょうかね」

「さぁね。僕には分かんないよ? ははは!」


 確かに。そうだろうけど、もう少しなんか……会話をしてもいいじゃん……会話を。

 会話をしてくれない大臣となんだか気まずい俺たち。うーん……もうちょっとセントラルで仲を深めてから旅に出ても良かったのでは? 今更過ぎるけど。


「入り口見つからないし、ちょっと魔法使う?」

「まぁ……それしかないんですかね」

「大丈夫だよ! バレないようにするからさ? はは!」


 そう言った大臣は姿を消してしまった。

 どんな魔法を使っているのかは知らないが、姿が見えないのならバレることはないだろうな。

 しばらく三人で無言の時間を過ごしていると、大臣が空から降ってきた。降ってきた。


「こっちにあったよ! 歩いてもいける距離だから歩こうか」

「分かりました……入れそうでした?」

「なんとかなるんじゃない? ダメでも魔法使えばなんとかなるよ! はは!」


 笑いながらゆらゆらと歩く大臣について行ったその先には、流れない水と上がったままの跳ね橋があった。

 ……なんて言うんだっけこれ。塀の反対バージョンみたいな……敵が入らないようにするやつ。

 えー……堀? よく分からんけどそんな感じのがあった。


「橋ですね」

「橋だね」


 大臣と二人で顔を合わせる。

 うーん。橋だな。


読んでいただきありがとうございました!


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ありがとうございました!

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