表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/334

102 ホントに行くのか?

 

 カバンはどこにあるんだろう? 雑貨屋かな?……となるとアイラのところか?


「ふぅ……疲れた」


 でも今はちょっと休もう。まだお店も開いてるだろうし、時間はいくらでもある。

 ……こんな一人も時間も好きなんだよな。カエデさんと居ると楽しいけど、なんかドキドキしちゃうし。


「ルドリー、他国行きたくないよー」

(そんなこと我に言ってどうする)

「だって、俺、弓も使えないし、剣もないし。なにも出来ないじゃん」

(魔法でも使えばいいだろ)

「魔法も得意じゃないよ。だって今体が動かないしさ」

(それは魔法以外のこともやったからだろ)

「……契約したいんだけど、なんで出来ないの?」

(我に聞くな)


 その話を聞いてから何度か試してみたことがある。だってルドリーのことは信頼してるし、力はほしいし。

 もし成功すれば、剣が使えなくてもなんも問題がないからなぁ。必要なはずなのに、出来ない。


「親方ってなんで、グェールと契約出来たのかな?」

(さぁな)

「……もしかしてルドリーの方が嫌がってる?」

(我はいつでもその時を待っているぞ)

「マジでー。待たせてごめんね?」

(いくらでも待つさ)


 ルドリーって優しいんだよな。優しいからきっと大丈夫なはずだけど、どうして心配になっちゃうんだろ。

 俺に問題があるのかもなぁ。はぁ……


「よし。アイラん行こっと」


 返事はなかったが、独り言のつもりで(つぶや)いたので無い方がありがたい。

 リンゴを一つ拾って皮ごとかじり付く。歯形が付いたリンゴを持ちながら、家を出た。


 これ酸っぱい。真っ赤っかだから甘いのかなって思ったけど、匂いもしないし、酸っぱいしで美味しくない。でも、全部食べようかな。うん。そんなのあったよな?


 アイラの雑貨屋に入る前にリンゴは全部食べた。芯とかも柔らかかったから、そのまま丸ごと食べた。ドラゴン食べるようになって(あご)とかが強靭(きょうじん)になってる……


「お邪魔します」

「いらっしゃいませ」

「あの、ここってカバンとか置いてある? 出来るだけ沢山さ?」

「カバンならありますよ。こちらに」


 アイラが指していたのは、買い物に行くためのカバンだ。確かにこれもカバンだけど、大臣はそういうことを言ってるんじゃなさそうだな。


「もっと大きいのはない? 実はちょっと長い旅をすることになったから」

「そうなんですか? ミリアさまは?」

「あ、今回は来ないよ……最近調子どう? 元気そう?」

「私もほとんど会ってないです。忙しいみたいで」

「前よりも熱意凄いよね。このままほっといても大丈夫なのかな?」

「……アナタは知らないかもしれませんが! 昔はもっと凄かったんですよ? 倒れるまで作業してたりだとか……」


 それはすごい……それぐらいの熱意が無いと契約も出来ないのか? それは関係あるのか?

 自分の人生を()けてなにかに取り組めるって本当に羨ましいよ。俺はただ楽しいからドラゴン狩りが好きなだけだし、それ以外にドラゴン狩る理由なんて無い。

 ……俺にとってのドラゴンはそこまで悪いものじゃないから、そのせいで力が欲しくないのかも。


「てか、カバンは? 大きなカバンとかある?」

「あぁ、それなら奥に有ると思います。でも一つしかないですよ?」

「じゃあ、とりあえずそれちょうだい。他にカバンが買えそうなところ知らない?」

「他の雑貨屋さんにあるんじゃないですか?」

「じゃあ行ってみようかな……とりあえず奥に有るカバン見せてもらってもいい?」

「分かりました」


 アイラも昔と比べて仲良くなってきたように俺的には思ってる。

 アイラが持ってきたカバンは、なんかの革で出来た丈夫そうなカバンだ。これなら旅の途中に破けてしまうことも無さそう。


「お、じゃあコレ買うよ」

「ありがとうございます。お気を付けて」

「あ、ありがとう。気を付ける」


 いきなり優しくされたけど、なに? コワ。怖くないか! 別に。


 その後、数軒雑貨屋をハシゴして、なんとか五個のカバンを集めた。しかしもう暗くなってきちゃった。

 一回、大臣の部屋に行こうかな。このまま俺一人だけ仕事を終えてもいいかもしれないけど、もし待ってくれてたら申し訳ないし。


 ほんのり暗い中でお城へと歩いていく。大臣の扉をノックした時には、ここに来たことを後悔するぐらい夜になっていたが、中から応答か帰ってきた時はそんな気持ちも薄くなった。


「あ、大臣だけですか?」

「うん。みんなもう帰ったよ?」

「あー、じゃあ一応、全部集めた報告だけ……」

「えー! 思ったより早いね! 流石にもうちょっと掛かると思ってたんだけどね? はは!」

「後で確認に来てください。もし、ダメだったら大変なんで」

「もちろん!……他国に行く準備は出来てる? もう明後日にでも出発出来るかもよ?」

「……うーん。流石にもうちょっと時間が欲しいですね。弓も全然上達してないんで」

「魔法じゃダメなの?」

「魔法だと疲れやすいじゃないですか? 弓でやった方がね?」

「じゃあ明後日は休み。その次の日に出発にする?」

「まぁ、そうしますか?」

「明日は集まるだけでいいから。最終確認ね?」


 本当に他国に行くことになっちゃってる。えー、どれぐらいの期間旅をすることになるのか分からないけど、すごい不安だ。


「それじゃ、また明日?」

「明日もよろしくお願いします」


 うわぁ。考えれば考えるほど嫌になってきた。他国行きたくない……ここに居たい……

 でもそんなことを言っていてもなにも変わらないので、数日後には普通に旅立ってるんだろうなぁ。


読んでいただきありがとうございました!


よろしければ下の☆マークから評価等もお願いします!

頑張れます!


ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ