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101 買い物上手

 

 なになに? 乾燥したドラゴンの肉に、爪、牙。それ以外にも例の青臭い緑の玉とか包帯とか。中々沢山あるけど、どうしてこれを俺一人で出来ると思ったんだ? そもそも俺はここに来てからまだ短いし、街の地理とかも全然分かんないんだけど……大臣……


 とりあえず簡単に出来そうな食べ物系を買うことにする。保存が効く食べ物といえば、ベーコンみたいなやつとか缶に入った川魚とかかな。

 市場はいつも行ってるからそれはすぐに終わりそう……てか、市場の人にメモ渡してみるか。あんだけ買ってれば手伝ってくれるでしょ。


「お! 今日は休みかい!? 買って行かねーか?」

「あの、ちょっと時間頂いても良いですか?」

「おう! もちろんだ。しかしなんだ?」

「これ見て欲しいんですけど……それってここにありますかね?」

「ん?……なるほどなぁ。これなら市場とかで大体揃うと思うぜ!? みんなに言っておいてやろうか?」

「ホントですか? 有り難いです!」

「そんなもん当たり前だろ!? いつもお世話になってるのはこっちだよ!」


 大臣の言った通りだ。これは俺一人で出来そうだ。それなら最初から俺を物資集める方に入れちゃえば良かったのに……俺の意思を尊重(そんちょう)してくれたの? 大臣が?


 それから近くのベンチで座って待っていると、相談をした市場の人がやってきた。


「いつものように荷車に()せちゃっていいか? 手間かもしれないけど、持ってきて欲しいわ。ごめんな?」

「いえいえ、それぐらいはもちろん」

「その間にあらかた集めておくからさ? それじゃな?」


 というわけで一度家に帰る。家の園芸でもしようかなんて野望を抱いていたスペースは完全に荷車を置くためだけのものになってしまった。なんかもったいない気がする……

 コロコロと(から)の荷車を引っ張りながら、街を進む。これってやっぱり目立ってるんだな。ルイスくんにも描かれてたけど、元々、目立つの好きじゃない……

 でもここに来てからなんか変わった気がするな。別に人に見られても良いかって思えるようになった。いや、そんなに変化してないかも。


 どうでも良いことばかり考えながらコロコロと荷車を引いて、もう一度市場まで戻ってきた。ふぅ……疲れた……


「お!戻ってきたな!? 大体集め終わったよ。ほらな!?」

「おぉ! 確かに……」


 目の前には小さなものから大きなものまで大小様々な箱が置かれていた。それにもう入ってるのかな?


「ちなみにどうしても市場になかったものはこれぐらいだな? てかなにをやろうとしてんだ?」

「ちょっとセントラル以外の国を見つけようとしてて。長旅になりそうなんです」

「えー! ならお守りも持ってかねーとな? ちょっと待ってろ!?」


 市場の人がお守りを取りに戻っている間。メモでチェックがされていないものを見てみる。


 ん? もうほとんど集まってるみたいだ。ないのはカバンぐらいか?

 カバンも探せば……って、五個も? 一体なにに使うつもりなんだ大臣は……


「待たせたな! ほらお守りだよ!」

「あ、これって女神様?」

「そうだな! やっぱりこれだよ! 旅の安全を祈ってるぜ!」

「ありがとうございました!」


 いつのまにか荷車にも荷物が積み終わっていて、これでやることは終わったようなもんだ。あとはこれを運んで、そしてカバンを見つけてっと。

 いつものように持ち手を引っ張ろうとしたが、全然動かない。そっか……いつもは食材だけだったけど、今日は色々あるから重たいんだ。


 ……動かねー。もしかしたら一人じゃ無理かも……まぁ、魔法も使いながら頑張ってみるか。

 半分は荷車に載せて、半分は軽く浮かせる。バレると面倒だからバレないように少しだけ浮かせる。

 それでも死ぬほど重たかったけど、まぁ、運べないほとでもないか……


「あれ? アキラさん?」

「お、ルイスくんだ。また絵を描きに行くの?」

「はい……今日は重たそうですねぇ。手伝いますよ!」

「ホントに? 助かる……」

「前みたいに後ろから押しますね?」

「ありがとう」


 うー、楽になるねぇ。いくらなんでもこれは重たかったよ。魔法を使っててもさ。


「ルイスくんっていつもこの辺にいるの?」

「はい。ずっと絵を描いてて……」

「今度また行くね。あの……初めて会った時にさ、描いてた絵あるじゃん?」

「はい? それがどうしたんですか?」

「アレに描かれてたけど柱みたいなやつって何? 気になっちゃってさ」

「アレですか? アレは……なんでしょうね? ちょうどバランス的にちょうど良かったので、描いてました」

「へー。それ凄いね」


 えー、それってなんか超能力的な素養があるんじゃない? 透視? とにかく凄い。天才だ。


「元の世界に似たようなのがあったからさ。つい驚いちゃって」

「あの時は……あの時も、絵が浮いてて……」

「え! アレはホントに驚いたよね!! ね!」

「その後も野菜とかが浮いてましたし……」

「いや、うっかり落としちゃってさ……」

「……これもちょっと軽くないですか? こんなに荷物が沢山入っているのに……」

「……中身が空っぽの箱もあるんじゃない? てか、ありがとう! 家に着いたよ!」

「中まで運びますよ! 手伝います!」

「いやいや! これは一応、俺の仕事だからさ!」

「でも、大変……」

「大丈夫! うん!」


 流石に荷物まで運ばせたらバレる。いや、なんでルイスくんにはバレそうになるんだろ?


「その絵も見に行くよ。あの時の絵」

「良いんですか? ありがとうございます!」

「うん。じゃあねー?」

「……それではまた」


 ひとまずバレることなく、荷車を運び切った。

 もうルイスくんには言っちゃっても良いかもなぁ。




読んでいただきありがとうございました!


よろしければ下の☆マークから評価などもよろしくお願いします!


ありがとうございました!

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