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100 一緒に居る

 

 朝起きるとキッチンに向かう。今日はカエデさんが居た。朝ごはんを作ってくれているみたいだ。ふぅー!

 これから他国の仕事が終わるまでずっとこうした生活が出来るなら、一生他国なんて見つからないで良いよ。


「おはよう。朝ごはん?」

「おはようございます。食べますよね?」

「うん。ありがとう」

「もうすぐで出来上がるので、少し待っていてくださいね?」

「うん」


 はぁ……夢か?って疑問に思うくらい、現実味がない。だって昨日までカエデさんは朝いなかったから。

 やっと同居してるんだなぁって思えてきた。てか同居してるのって冷静に考えてヤバくないか。


「出来ましたよ? どうぞ」

「あ、俺も運ぶよ」

「ありがとうございます」

「礼を言われるようなことじゃ……」

「でも、嬉しかったので……」

「…………」


 うーん、どうしよ。マジで夢か現実か分からんくなってきた。死んでからここまで夢じゃないか?って疑問すら湧いてくるんだけど。


「い、いっただきまーす!……」

「私もいただきます」


 パクパクと美味しいご飯を食べた。いや、これは美味しいって伝えた方がいいぞ……でも恥ずかしい……なんでも恥ずかしがってるよ俺は。


「……これ美味しいよ。うん」

「ありがとうございます! 喜んでもらえて良かったです!」

「今日も一緒の仕事?」

「はい。見つかるまでは一緒です」

「そっかぁ」


 見つからないと良いねって言っても大丈夫? だって見つけるために仕事してるのに、それを見つからないと良いねって頭おかしくないか?

 ちゃんと全部食べた後は俺が食器を洗う。魔法を使って素早く洗っている俺を見て、カエデさんは(うらや)ましく思ったのか、ホウキを動かしたりして魔法の練習を始めた。


「魔法って難しいですよね。中々思い通りに行かなくて……」

「でもそんなに上手くなってたんだ。ちゃんと掃除出来てるし」

「そうですかね……」


 てかこんなにゆっくりしてたら絶対仕事行く気がゼロになるわ。俺も一応、切り替えとかないと。


「そろそろ準備しようかなぁ……」

「それじゃ、私も」


 二人で並んでお城へと向かうのはちょっと前にもあったな。ただ、なんか俺もフワフワしてて、よく分かっていなかった気がする。今もフワフワしてないか?


「……休みとかもらえたら、村に行ってみる?」

「そうですね……行きたいです」

「懐かしいね。初めて会った場所とかって覚えてる?」

「覚えてますよ。あそこは良く行く狩場(かりば)だったので」

「結構村から離れてなかった? 危なくない?」

「うーん。でもちゃんと気を付けていれば問題ないですよ?」


 弓矢上手いからな。でもなんでそんなに弓矢とか上手くなったの?


「カエデさんって弓上手いけど、なんで?……なんでって言われても感じかもしれないけど」

「村のみんなが優しく教えてくれたからです! 私は幼い頃に両親を亡くしてしまったので、みんなが親代わりという感じで」

「……そうだったんだ。じゃあ今度、絶対行こうよ。ね?」

「はい!」


 話をしているとお城に着いた。ここまでの道がいつもよりも短い気もしたし、長い気もした。


「エラさんの部屋? 集合場所って決めてたっけ?」

「近いところから行ってみますか? 大臣さんのお部屋に」

「そうだね。じゃあ行こうか」


 大臣の扉の前でドアをノックしてみると、中から声が二人分聞こえてきた。おそらくここで良いのかな?


「お邪魔しまーす」

「お! 二人揃って来たね!」

「今日もよろしくお願いします!」

「それじゃ、早速話したいことがあるんだけど……大丈夫かな?」

「もちろん。なにを話すんですか?」

「もしも他国の人達が友好的ではなかった場合に、どうするかって問題ですね。もちろん戦いたくはないので、逃走(とうそう)という選択肢が一番有力(ゆうりょく)なんですけど、話を聞く最中に接触(せっしょく)する必要があるんですよね? もしその時に交戦(こうせん)になったら逃げられないじゃないですか?」

「……場合によってはね?」


 場合によっては人を殺すことになるかもしれないのかな? それはマジで嫌でゴンス。敵意がないことを(しめ)す何かが必要なのかな?


「なので今まで会った信憑性の高い他国の人たちに話を聞こうと思ってるんです。タグュールさんとかにですね」

「うん。それが良いと思う」

「そうなったら四人で行動する意味がないじゃない? だから、ここで分かれておきたいんだよね? 二つに」

「というと?」

「話を聞く方と物資を集める方に分かれる。で、君たちはどっちが良いかなって?」


 うーん。その二つなら物資を集める方がやりたいな。話は聞き飽きた感がある。


「それなら俺は物資の方にしたいですね」

「それなら私はお話ですかね?」

「エラか彼のどっちかは居た方が話もスムーズに進むからね」

「私も物資を集める方が良いです」

「うーん。僕は彼なら一人でも出来ると思うんだよ。だから話は三人で聞かない?」

「え?」


 いや、二つに分かれようって言ったのに、えー、俺一人って言われてもなにすりゃ良いのよ……


「決まりだね! 調達(ちょうたつ)する物資はここに書いてあるから、これ全部よろしくね?」

「えー、結構多くないですか?」

「何日旅するかなんて分からないしさ? 君も死にたくはないでしょ?」

「まぁ、そうですけど……」

「じゃあ、僕たちは話し合いをしておくから、君は買い物よろしくね?」

「……買った物ってどこに置いとけば良いですか?」

「あぁ、うーん。君の家でも良い?」

「分かりました……じゃあ行ってきますよ……」

「頑張ってくださいね!」

「うん」


 一人でやることになってしまった。まぁ、でも買い物くらいなら一人でも出来るか……慣れてるし。

 一緒に仕事出来ると思っていたが、現実はそんなに甘くなかった。


読んでいただきありがとうございました!


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ありがとうございます!

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