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96 魔力が上空に漂う

 

 スパーダさんと一緒に街の外へと出る。久々に剣を持っている俺を見て、門番がちょっと驚いていた。

 気を遣って話しかけては来なかったけど、もう話しかけてくるんじゃないか?って思うぐらい口が開いていた。


 門からちょっと離れたところで先を歩いていたスパーダさんが俺の方に振り向く。てか、名前かっこよすぎ。


「ほぉぁん。ここまで来ればよかろう」

「ドラゴンが来るまで待機ですかね」

「ふぉ? なんじゃ?」

「ドラゴン狩りですよね? なら来るまで待つのかなって」

「バカタレ! 剣でドラゴンを殺すでないぞ!」

「え!?……」

「ドラゴンは弓で倒すのだ! そんなことも知らんのか!?」


 あぁ……それはちょっと面倒なことになりそうだ。あ、俺が異世界から来たってことを教えれば良いのか?


「いやいや! 大丈夫なんです! 俺はドラゴン倒しても……」

「そんなわけがあるか!」

「今までもずっとそうしてきたんで……」

「なに!? ずっと!?」

「はい……」

「……ほぉぁん。恐ろしやぁー、恐ろしやぁー」

「え?」

「近々、国に悪いことが起こるじゃろう……あぁ、恐ろしい……」


 いやぁ……マジでどうしたら良いんだろ。スパーダさんに協力してもらえなかったら色々な計画が崩れてしまいそうだ……


「大丈夫ですよ?」


 そういえば本当に大丈夫なのか? 女神様はなんかいるような感じがするし、魔法とかファンタジーなものもあるし…………悪い気って魔力のこと? ルドリーもそんなこと言っていたようなないような……


「やめじゃ! お主に剣は渡せない!」


 ツカツカと近寄ってきて、剣をとられる。あぁ……やっとドラゴン狩りが出来ると思ったのに……


「わしは帰る!」


 まさにプンプンって感じで帰ってしまったスパーダさん。いやぁ、これは俺も悪いのかもしれない……


(面倒なことになったな)

「そうだねー……はぁ……」

(落ち込むな。他にもあるだろ鍛冶屋なんて)

「あるのかなぁ……てか、悪い気がどうのこうのってマジ?」

(どうかな……ありえるかも知れんが、なにで倒したかによって変わるようなものでもない)

「剣でも弓でも関係ないってこと?」

(そうだ。しかし、剣を使えばその分多く殺せるだろ?)

「……じゃあ、やっぱり辞めといた方がいいのかな……」


 えー、もうドラゴン狩り出来ないの?……いや! もっとちゃんとルドリーに聞いてみよう。もしかしたらスパーダさんを説得……それは無理かも知れないけど、俺自身がモヤモヤしちゃってるから解決したい。


「あるかも知れないっていったけど、なんで?」

(肉体が完全に腐敗した後のことは我々も知らない。魔力として空中に(ただよ)ったドラゴン達がどこに向かうのかも分からない)

「それによってはもしかしたら?」

(そもそも魔力の濃度が濃くなること自体にどんな影響があるのかだな。我々も過剰(かじょう)に魔力を(たくわ)えると良くない)

「どんな風に良くないの?」

(単純に暴力的になったり、意思疎通(いしそつう)が取れなくなったり、ここまで単独で飛んでくるようなドラゴンは皆そうだ)


 ……俺は大丈夫なの? めちゃくちゃ魔力貯めてるんじゃないの? えー、確かに昔に比べて狩りは好きになったけど……えー、嫌なんだけど。


「俺は大丈夫かな?」

(お前は魔力を放出できるだろ。つまり魔法が使える。そうでない人間がどうなるのかは分からないな)

「それだと街の人たちはどうなるの? 魔法使えないじゃん」

(魔力は毒ではない。ただ多すぎると害があるだけだ)

「へぇ……とりあえず俺はドラゴン狩りやめた方が良さそう?」

(世界は広い。お前が殺したことで大きな影響は現れないだろうな……ただもし、この街の全員がお前と同じように大量に殺すようになったら、その時はどうなるだろうな)

「やっぱりダメじゃん……」


 親方の野望は街のみんなが剣を使うようになることだ。もしそうなれば上空に魔力が溢れて、もしかしたら悪いことが起きるようになるかもしれない。

 親方のことは応援してるし、好きだけどそれによって良くないことが起こるのは嫌だなぁ。


(……果たしてそんなことが起こるのかは疑問だがな。だからあり得るかもしれない程度だ)

「大人しく弓でも練習するか! それなら誰にも迷惑かけないでしょ!」

(それで満足できるのならな)

「……」


 余計なこと言って! せっかくやる気が起き上がってきてたのに、どうしてそんな気分が下がるようなことを言うんだ君は!

 満足は出来ないかもしれないけどそれしかないんだ! このまま上手くなっていけばきっと前と同じように……


「帰ろう! 弓矢取りに行こう!」

(……好きにすれば良いさ。今からどれだけ上達出来るのか良く見ておくとするよ)

「見とけ! こっちには魔法があるんだ!」


 確かに今から練習したところで、大臣やカエデさんみたいに上手に弓を扱えるとは思わない。

 だから魔法の力を使う。そうすればもしかしたら前みたいに……前みたいに沢山のドラゴンを殺したら意味ないじゃないか!


 あぁ……魔力が……ドラゴンから出てくる魔力をどうにかしない限りは……

 問題を解決しようとしたはずが、新たな問題に直面してしまった。これはもうちょっと忘れよう……弓矢が上手くなるまでは忘れることにしましょう!


 現実逃避ではあるが、そうしないとなんにも出来なくなっちゃう、やりたいことをやろう!……それでいいのか?


読んでいただきありがとうございました!


よろしければ下の⭐︎マークから評価などもよろしくお願いします!


ありがとうございます!

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