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88 大臣!? じゃない?

 

 集会は入り組んだ場所で開かれてるらしいので、先ずはタグュールさんの家にエラさんと二人で入る。

 エラさんはヒヨコが隅に描かれた布を巻いていた。なにそれ、可愛いやつ。


「どうぞお越しになりました。早速ですがご案内しますよ」

「ありがとうございます」


 タグュールさんに着いていくと街の隅っこの方の路地裏(ろじうら)みたいな場所に古ぼけた建物があった。

 俺たちが住んでるところよりもちょっとだけ汚い。でも、基本的にはゴミとかも落ちてないし、綺麗な場所だと思う……


「それでは開けますね……あ、もちろんみなさんには内緒にしておいてくださいよ?」

「それはもちろんです」


 もうすでに中には数人居た。見た目では判断が付かないがこの人達も他国の人なのだろう。とりあえず挨拶しとこ。


「こんにちは。はじめまして」

「はじめましてー」


 エラさんとペコリと頭を下げると、あちらの方でも「はじめまして」と挨拶をする。

 ……どうしよ。アウェー感が凄い。


「この方達もセントラルの外から来たみたいですよ。特にこの男性は面白くて、別の世界から来たとか」

「あ、どうも」


 集まった人達がザワザワと騒ぎ出す。俺の方に疑惑(ぎわく)の目というか、疑った視線を向けてる人もいれば、素直に受け入れて驚いている人もいる。


「あの、別の世界ってどんなところだったんですか? 聞いてもいいかな?」

「別の世界? そうですねー、まるで違ったので、説明が難しい……」

「どうやってここに来たのかしら?」

「それもよく分かって無くて……死んだらここにいたって感じで」

「いや、面白いなぁ。もっと君の話を聞きたいんだけど、良いかな?」

「え? あ、でも……」

「私も聞いてみたいですねー」

「エラさんも!?」

「はい? そうです」


 色んな質問考えてきたけど、これじゃ無理だな……でも、考えてもみればそうか、俺も相当珍しいよな。

 もしかして頭の病気とかで本当は元々この世界に居たとかあり得る? その可能性は追いたくないね。


 質問責めにされながら、なんとかこちらも質問しようとしても、その都度(つど)家の中に新しい人が入ってくるからキリがない。

 内容としてはドラゴンがいるのかとか、ご飯や仕事のことなど幅広く質問された。特にみんなが驚いていたのはスマホとかパソコン系のやつだ。


 質問に答えることにも疲れてきた時に、また扉が開く音がした……また一から説明することになるのか……


「どうもー、遅れちゃったね?」

「え、あ……大臣!?」

「え! 君、知ってるの!?」

「知ってるもなにも、えー! 大臣も他国の人だったんですか!?」

「ん? もしかして僕とスューリを勘違いしてる? 僕はスューリの父親だよ。息子とはどんな知り合いなの?」

「仕事でよくお世話になってて……」


 目の前の大臣みたいな人は、どうやら大臣じゃないらしい。父親らしい。

 となると、え? 大臣も他国の血を引いてるってこと? 俺も勘違いするほど似てるから、この人が他国人ならそうなるよね。


「ツィーダさん。この人は別の世界から来たんだって! アンタなら興味あるんじゃない?」

「あーー! アキラくんだよね? スューから話は聞いてるよ」

「あ、そうなんですね……」

「えっと、お人好しなんでしょ?」

「えー、大臣がそんなこと言ってたんですか?」

「うん。君の話をする時は楽しそうだよ!」


 まぁ、嫌われていないだけマシか。てか口調まで似てるんだな。

 この人の話を聞きたい気持ちは凄いあったが、またまた人が入ってきて、一から説明することになる。

 これは後何回もここに来ないと質問とかの段階に行けなさそうだ。それにしても他国の人ってこんなにいんの?


「それじゃ、今日は解散で。新たな仲間も増えたことですし、会がより活性化することを願っています」


 もう時間も相当経った時、集会のトップみたいな人が号令をかけたことで解散になった。

 外に出てみると確かに時間が経ってる。その(あいだ)ずっと質問されていた。


「ふぅ……もう疲れちゃったよぉ」

「大変そうでしたね?」

「考えてきた質問も出来なかったし……」

「あ、それは私がしときましたよ。全部ではないですけど」

「いつのまに!? ありがとー……」

「それにしても驚きましたね。まさかこんな身近にいるなんてね?」

「ねー、大臣がそうだったんだ……不思議だなぁ」


 うーん。これって悪いこと知っちゃったかも。だって今までずっと隠して……いや、言うタイミングがなかっただけかもしれないけど、それでも本人の口からじゃなくて他人からこんな大事なことを。


「ユーリのところ行ってみます? まだ時間あるんで」

「行って良いのかな? だってね」

「行きますか? 多分、気にしないと思いますよ」

「うーん……そうだね。どっちにしろお父さんが知ったんなら大臣にもバレるよね。仲良さそうだったし」

「行くんですね?」

「うん。行こう」


 いつか俺が大臣のことを知ったってこともバレるんだし、先に教えておこう。それに俺たちの仕事でもあるわけだし。

 それにしても仲良さそうな親子だったな。大臣が人とちゃんと仲良くするなんて意外……とまでは失礼か。


 ちょっと行きづらいなとか思いながら、お城へと帰っていった。



読んでいただきありがとうございました!


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ありがとうございました!

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