某日のギル・ゲーズボロ
「後どのくらいだ? 」
煌びやかな部屋に男がワインを片手に黒服の従者に尋ねる。
天井に飾られたシャンデリラがゆっくりと揺れている。
「はいギル様。半日ほどかかると先ほど船長から報告来ました」
黒服にサングラスの男は淡々と言う。
「ご苦労、下がれ」
ギルは自分の金色の髪を金色の櫛で整える。
「ようやくこの時が来たか、私のコレクションが全て集め終わる」
視線の先には壮大な青い景色。
ギルの唇はだらしなく緩み、笑みが溢れていた。
「嬉しいと思わないか、君も」
ギルの視線の先には白いワンピース姿の少女が豪華に装飾された椅子に小さく座っていた。
何も答えない少女に睨む。
「はい、ギル様……」
怯えたような表情で小さく返答する。
「ちと躾の度が過ぎたか? 」
少女の態度に些か後悔したように考え込んでいた。
「まぁどうせ売りに出す訳だし、気にすることもないか。こう言うのは従順の方が高値付くしな」
不敵な笑みでワインを口にふくませる。
「はい、おっしゃる通りです」
少女は定型文を読んでいるかのように覇気のない声で言う。
「ただ、人によっては調教される前の抵抗する感じが良いって人もいるんだよなぁ……こう従順すぎてもね、困るんだよな」
言いながら少女にワインをぶちまけた。
「大事な商品を汚すのは……背徳感みたいなの感じられて楽しいな」
ワイングラスを振り上げた。
「おっと、流石に商品に目立つ傷つけるのは商人としての恥になるな」
思い留まったギルはワイングラスを机に置いた。
気味の悪い笑いで、少女を執拗に触る。
「さぁ服をお脱ぎ」
ギルは悪びれることもなく命令する。
「はい、ギル様……」
少女は抵抗することもなく返事をする。
恥ずかしがる様子もなくワインの赤い色に染まったワンピースを脱ぎ始めた。
「良い子だ」
嬉しそうにするギルは首筋を舌で舐める。
少女は相変わらずの死んだ表情だ。
「一発くらいヤっとくか、どうせもうとっくに喪失してんだろうし」
ギルはベルトに手を当てた。
「ギル様」
唐突に部屋のドアが開いた。
「なんだよ、良いとこなのに……興ざめだな」
残念そうな顔で従者の顔を睨む。
「すみません、お取り込み中でしたか……」
少女の姿とボスの状況から見て慌てて部屋から出ようとしたが、ギルがそれを止めた。
「ノックなしで来るってことは取り急ぎの用だろ? 」
物事を見透かす瞳で従者に言い寄る。
「はい、ボス宛に電話が来ておりまして……」
ギルの威圧に怯える従者は語尾を濁した。
「そっか携帯あっちの部屋に置いてんだっけか」
頭に手を当てて、部屋を出た。
「あっその商品にまだ残ってる一級品の服を着せてとけ」
彼がいなくなって安心していた従者は彼が戻ってきたことに驚きながらも、小さく返事をした。
しばらくあられもない姿の少女と緊張の解けた黒服の男の変な空気が生まれた。
「こっちにこい」
黒服は強気な態度で少女を呼び寄せた。
船は横浜へと着実に帆を進めていた。




