意味のわからない入学通知
中3、冬。皆は何をイメージするだろうか。迫ってくる受験。勉強。義務教育が終わることを実感し始める時期だろう。かく言う俺も公立高校目指して受験勉強をしていた。
…まさか無駄になるなんてな。
「じゃーなー!」
「おう、またな。」
俺は秋頃からの習慣になりつつある、学校帰りに塾により、勉強して、帰る。そしてまた夜に塾に行き、勉強。そんな生活だった。全く面白くもない。だが危険もない。そんな日常だった。家に帰り、ポストを見る。何も無い。家に入り、ただいまというと母親のおかえりという声が聞こえる。ここまでが日常。ここから俺の人生は狂い始めた…
「あ、秋斗!少し話があるの。来てくれない?」
「わかった。鞄置いたらすぐ行くよ」
話というのはなんだろうか。大方進路だろう。俺は志望校に安定して合格出来ると踏んでいる。
「あんた、国立の聖光学園から入学通知が来てるんだけど…」
はぁ?ありえない。あんなトータル450点取らないと入学出来ないような所から通知?間違いかドッキリだろう。落ち着け。
「間違いじゃないの?」
「いや、しっかり二条秋斗様って書いてあるよ。」
「これじゃあ受験辞退じゃないか…おかしくないか?」
「とりあえずお母さんは明日受験辞退の連絡しとくから。これ見ときなさい。」
そういって渡されたのはプリント類。恐らく母さんはもう読んだのだろう。
俺はそれを読んだ。読んでしまった。そこには信じられないようなことが書かれていた。なんだよ、魔法を扱うって…魔法を高校生位の年齢で扱うなんてまるで某映画じゃないか。馬鹿馬鹿しい…そう思っていた時。不意に窓に何かが当たる音。窓を開けるとそこには幼馴染みの咲希がいた。
「ねぇねぇ、私国立の聖光に入学することになったんだ。」
「奇遇だな、俺もだ。今さっき確認したところだよ。寮生活とか、完全に映画のパクリだよな…」
「ほんとにそれ。でもホントみたいだね。どんなところなんだろう!気になるなぁ…」
俺は楽しそうに笑う彼女の顔を見ながらこれからの不安を思っていた。