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終わって始まる出会いの夜

新たなスキルを手に入れた!レベルが10上がった!

漢字・ひらがな混合のワードにルビが振れるようになりました!


小柄な影と大柄な影が夜空を翔る。

その傍を、大きな空気の塊がうねりながらついてきていた。まるで意思をもった生き物であるかのように。


〈さるまー…うれしい…たーへる…すき〉


そんなことを呟いて。


「…っく」


サルマーは苦々しい気分で痴態を演じた自分を思い出していた。


思いがけず再会できた大切な仲間。その中でもターヘルは特別だった。

サルマーやほかの仲間のように”聴く者(リラスチマーイ)”なわけではない、聖霊や幼聖などの魔の者と言葉を交わす力を持たない”聞かざる者(アッソーム)”だ。

言葉を交わせなければその力を借りることはできず、大した力は振るえない。

それが”獅子の眼(ヘイダル・アイン)”の常識だった。

それなのに、幼馴染のサルマーと離れたくない、ただそれだけの理由で”サクル”に、”聴く者(リラスチマーイ)”の能力集団に入ってきた。類まれな身体能力、ただそれだけを武器にして。

周りの冷遇を振り払い、幾度も修羅場を潜り抜け、主に認めさせるほど己の技術を磨きに磨いて、自分の居場所を自ら勝ち得た、本物の強者つわもの

与えられたものにすがるサルマーなどとは比べるべくもない、本当のはやぶさ


一番見られたくない相手にやらかしてしまった。


しかも、サルマーの協力者、風鯨ヴィアトーレイェメの言葉を、仲間は解するのだ。

こんな恥辱は初めてのことだった。

仲間の視線が、妙に温かい。

(死にたい)

死にたくなかったはずなのに、こんなに消えたいと思うことになるとは想像だにしなかった。時間を遡れるならばすぐにでも飛んでいって自分を羽交い絞めにして止めたい。


〈…さるまー〉


不穏な空気を感じて風鯨ヴィアトーレイェメが頭を摺り寄せてきた。慰めてくれている。


〈ありがとう、聖霊ヴィアトーレイェメ。〉

〈ありがとう…褒められた〉

《汝、偉大なる聖霊、下げ給いし慈しみに感謝する》


終術の詞を唱えると、力のようなものがパァンと弾け飛び、風鯨ヴィアトーレイェメの頭の上にある噴気孔から魔力が迸った。


「さすが、魔術師の国は魔力に満ち満ちてるわね」

「ほんと。からだが、かるい。」

「いやっほおおおおい」

「こら、お前ら。仮にも反逆して身を隠そうってやつが何のんきなことやってる。」


冷静に周囲を把握するアテフェフ。

もごもごと同意を示すロバーベフ。

はじけるファラフ。

たしなめるエビ。


この中に、またいられるなんて。


「今度こそ、手放すものか」


眼下にガヴィネルの街を見ながら、サルマーは口の中で呟いた。

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